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R18 第二十八話「殿下が私のものになったら」

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◇◇◇

 正直、殿下と一緒にいるのが落ち着かない。

 殿下は毎日抑制剤を飲んでいるが、近くに寄ると甘いミルクのような香りがしてきて、思わず下半身が反応しそうになってしまう。

 キスだって、あともう少しで襲ってしまうところだった。
 なんだろう、ああいうことをしているときの殿下は、妙に色気を感じる。

 それだけじゃない。

 今まで私に対して生意気だった殿下が、魔術を教えてほしいと私に頼み込んで、私が教えたら忠実にこなしていく。

 自分が次期国王であることを自覚し、真面目に生きている姿が私にとっては紳士的で、時々鼓動が速くなってしまう。

 だが殿下は特に私のことをどうも思っていなさそうだ。

 回復したらもうキスをしなくていいと言ってきたし、自分の目的のためなら身体も差し出してしまうのだろう。

 私はもっと口づけをしたかった。そして、その身体を暴きたかった。
 こう思ったのは私だけなのだ。

 殿下を部屋に送って、自分は隣室の私用の部屋にこもる。

「……」

 先ほどのキスで自分の雄の部分は覚醒してしまった。

 グランも王宮の護衛に行ったことを確認して、そっとスラックスのチャックに手をかけ、寛がせる。

 屹立した自分のものはこれでもかというくらい膨らみ硬くなっていて、愛液も少々零れていた。
 キスだけで、こんなにも興奮してしまうとは。

 でも、あれは殿下もいけないだろう。
 あんな甘ったるい声を出して、興奮しない男はいるのか。

「っ……ふ……」

 自分のものをそっと扱き上げていく。

 どうしたら早く射精できるかや、どうしたらもっと気持ちよくできるかなんて、自分じゃいくらでもわかっている。

 だけど、あのときの殿下とのセックスほど、気持ちよくない。
 私はグランと同じく、Ωの男性や女性とはセックスをしたことがなかった。

 もしラットの状態になったら、孕んでしまうことだってあるだろうし、勢いで孕ませようとしてしまうこともあるかもしれないからだ。

 Ωの令嬢に誘惑されたこともあるが……靡かなかった。
 だがどうしてか、殿下の誘惑には負けてしまう。

 男性にしては細い腰つきに、私より低い身長。
 大きな蒼い瞳に、私とは違う金の髪。

 魔術を教える際に私の言うことを全て聞いてくれる健気な姿。
 好みでないわけがない。

「……っ、はぁ……」

 上下に扱く速さを上げていく。
 殿下はどうやったら自分のものになってくれるだろう。
 そして殿下をものにできたとき……めちゃくちゃに犯してしまうと思う。

 たくさん奥の良いところを突いて、涙でぐしょぐしょに濡れるまで突き上げて……孕ませてしまいたい。

 そう思った瞬間、勢いよく私の陰茎から白濁が飛び散った。

「……。……はぁ」

 殿下で抜いてしまった。
 一気に罪悪感が溢れ出し、濡れたタオルで飛び散った精液を拭いていく。

 隣室だったが、気づかれなかっただろうか。

 声も小さくしたのだが……。
 だめだ、今すぐ教会で懺悔したい。殿下で自慰行為をするなんて、私は浅はかすぎる。

 その日はこのことを忘れるために、一人で廊下の掃除を三往復くらいしてしまった。
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