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エピローグ

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リーンゴーン、リーンゴーン、リーンゴーン。

鐘が鳴る。


秋空は見事に晴れ。

クララはついにこの日を迎えた。


クララとヴィクトールの結婚式が営まれている。


そう。生前は結婚が叶わなかった。

しかも、医師よりもハイスペックな人と結婚することになった……。

クララは胸が張り裂けそうな気持ちだった。


「クララ、おめでとう」

お祝いに、友人のマリーが駆けつけてくれた。

「ありがとう、マリー」

マリーは見覚えのある男性を連れていた。

「マリー……? あれ? テリー様?」

「どうも、テリーです」

ルーカス公爵令息だ。

ルーカス家は筆頭公爵で、歴史も古い。

「実は私、テリー様と婚約したの」

「あら、それはおめでたい話ですわ」

マリーは左手薬指に指輪をはめていた。

二人の婚約は正式に決まったようだ。


友達も結婚。

そんなめでたい話があるのか?

クララは心からお祝いの言葉をかけた。


そう。生前は友達が次々と結婚。

自分だけが置いてけぼりを食らっていた。

30代に入ってから、友達や同僚の結婚を素直に祝えないでいた。

しかし、今世は自分は結婚ができた。

だから、友達の婚約も素直に喜べるのかもしれない。


それに、ヴィクトールには騙されていなかった。

結婚をしてくれた。


「来世生まれ変わったら、結婚して子供を持って……」と日記帳に書いていたことも思い出した。


生まれ変わったら、王子様と結婚。

こんな話があるものか。


(もう、私は結婚詐欺なんて恐れなくて良いんだわ。それに、婚約破棄という憂き目を見ることも無く)

「でね、クララ」

「どうしたの?」

マリーの目が輝いていた。

何か面白い話が始まりそうだ。

「知ってた?」

「ん?」

「ヴァネッサと王太子殿下のことよ」

「二人に何かあったの?」

「そうよ。クーリハーマー王国では有名な話よ。そう、王太子殿下も、ヴァネッサも浮浪者になったわ」

「えええええええ?????」

クララは詳しい話をマリーから聞いた。

「そういうわけなの」

クララは心の中でガッツポーズを決め込んだ。

「因果応報だわ。やっぱり神様って存在するのね」

「罰、当たったわね」

「で。残るシンディは?」

「シンディは平民と結婚するも、相手はギャンブラー。なんと、借金に溺れていたため、やっぱり貧民になったわね」

「そうだったの……」

意地悪3人組はそのような結末に至った。


これも勿論原作にはない。

ヒロイン、ヴァネッサはハッサンと結婚して次期王妃としての教育を受ける。

それがハッサンルートのエンディングだった。


むしろ、不遇な悪役令嬢の方が幸せになってしまった。











★☆★☆

















その後、二人の間には二男一女が授かった。

そして、マリーはテリーと結婚をした。

二人の結婚式にはヴィクトールと共に参加をした。

マリーもテリーとの間に3男が授かった。


ヴァレンティ王国とルーカス家と友好的な関係を築いた。










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