神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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王都編

私、僕、あたい、俺?

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 外の騎士達に驚いたグレースは思わず姿を隠す様にうずくまった。

「なんで?なんで?追われてる!?ゔーー!」

ひーーー!ほっといてー!それに私、テュルケットじゃ無いから!
私の降臨演出し過ぎたんじゃないの?ちょっとーー!神々の遊びに付き合わせないでーー!

声に出せない叫びを噛み殺す様にグレースは唸り頭を抱えた。
そして、外の声に意識が向いた時、腹に刺さる何かに気がつく。ビクトラの呼び掛けに気を取られながらも、腹に刺さる物が気持ち悪くて幾重にも重ねられた漆黒のドレープドレスを手繰り上けた。そして、腰に真珠の留飾りで縛られた褌の様なシルクの布を引っ張りあげ手を差し入れる。

「何か挟まってる?よっと。なに?」

それを掴んだ瞬間ビリっとした刺激が身体中に走り、ザワザワと鳥肌が立った。グレースは視線を下にやると、骨張った所のない柔らかな曲線を描きつつ、真っ直ぐに伸びた両脚の真ん中に寝起きの良い息子がいた。

「ぬぉ!あ!?」
「え?私、男になってる!?」

呆然としながらも、ここが雄の楽園だと聞かされて何となくそんな事になるんじゃないかと考えもしたが、実際にそれを見るのとでは衝撃が違う。そしてその数秒後に更なる衝撃に壁に頭を打ち付けた。

「あれ?これもあるの?」

慌てて服を全部脱ぎ捨て、小屋入り口の鏡で全身をみてみる。
全体の身体に骨張った部分は無いものの、女には無い筋肉が薄らとあった。すらっと長い首に薄い肩、なだらかな腰回りに、男性の物より幾分大きめな乳首。全体的に女性的な体つきをしているが、胸の膨らみや尻に肉は無く足の甲や骨盤などは女の物とはまるっきり違う物だった。
しかし、その肌は陶器の様に滑らかで華奢な作りではあるものの息を呑むほど美しいとグレース自身も思った。

この下半身に鎮座する見慣れぬ物よ!
そして女性器のタッグに溜息がでるわぁ、、、。
しかも完全に起きてらっしゃる。まぁ、寝起きは仕方ないと聞くし、ほっときゃ落ち着くでしょ。

そう思いつつも鏡を睨んだ。

「これ二つもいるかね?どっちかにしてくれたら良かったのに。」

けどまぁ、40過ぎにしては若々しい身体だし綺麗だと自分でも思う。あれ?こっちでも前世の年齢なのかな?まぁとりあえず、ありがとうございます!神様!美形設定ゴチです!うれすぃーー!
が、しかしですよ!やっぱ何度見てもこれはどういう事ですか。
両生ですか。マジか、はぁ、、、しかし、悩み続けても意味がないな。

グレースは先に進むしか無いと両手で顔をパンッとたたいて気を取り直した。

復活したところで、今世での私を拝みますか。

どれどれ、と鏡を見た。
髪は腰まである黒髪。神様オプションでセンター分けされた髪が両サイドで大きな三つ編みを作り、後ろで自分では無理であろう花の形に結ってある。そしてそのまま腰まで髪が流れていた。

「器用だなー。神様。すごっ。」

右に左にと身体を回して全体を観察する。

瞳は黒だかその縁はキラキラとオパールの様に七色に輝いている。
顎は細く卵型の輪郭が柔和な印象を与えた。
神様ありがたや。グレースは素っ裸で鏡に向かって正座して拝んでいた。

カチャ

グレースは鏡に手をつき、自身の顔をまじまじと見ていたが、扉の開く音に呆然とした。なんと、扉を開けたのは黒地に肩とセンターに金糸でライン刺繍された隊服に、白のマントを左肩にかけた正装姿のビクトラだった。

「…っ!!」

グレースは固まって動けず、呆然とビクトラを見上げワナワナと震えだし、ビクトラもまたグレースの生まれたままの姿に鼻血を吹き出し立ったまま気絶した。

「バ◯ス!!!!!」
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