神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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王都編

ハウス!

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 ニニギとのやり取りで、グレースは本当の意味で前を向く決意をし、そしてこれからすべき事を考えた。

トラップの解除。それが優先かな?

「ねぇ、予言の内容からトラップの場所って分かるの?」

——— いや、トラップの場所は俺らでも分かる。トラップはあくまでもトラップだよ。アイツが予言で何を動かそうとしてるのか分かった上でトラップは解除したほうが良いと思うよ。

そう、そう言う情報欲しかった!!そうか、トラップが本命じゃ無いんだもんね。

「帝都か、、そう簡単に予言の書の原本なんて手に入れられないんじゃない?」

「それにさ、私ってどういう立場で帝都行けば良いの?このまんまで行けるもん?私の身体ってさ、人間なの?その、何?神様的な物だったりする訳?」

——— 君の身体はこっちの人間と一緒。ただ体質というか性質と権能がヤバいってだけ。まぁ、はたからみたら神様降臨!って思うだろうね。

「だめじゃん。私、テュルケットじゃないし。」

———そーなんだよねー。まぁそうねぇ、テュルケットの使徒って事にしたら?教会やら皇宮やらは誤魔化せるんじゃない?

「本当の事言っちゃダメなの?なんかさ、ドラマとかでも良くあるんだけどさ、下手に嘘吐いたり隠し事するとそれが後々フラグになって大変な事になるんだよねー。最初からオープンにしたら?」

——— いやさ、それ君だから信じるかも知れないけど、急にやってきた異世界の人間から、お前んとこの馬鹿神の所為で他がヤバいから国宝の予言出せって言われて信じる?それこそ極刑レベルの所業として扱われるよ。

「うーん。それはそうなんだけどなー。じゃあ、テュルケットの子供って事にしたら?テュルケットと、その予言使った人との子供って事で!こっち男同士で子供産めるんでしょ?ならアリ?」

——— いや、無しだよ。何年前にソイツ死んだと思ってんの。300年位前だよ。テュルケットの使徒もテュルケットの子供大して違い無いし。

「だから、天界で結ばれて、天界で生まれた事にすれば良いじゃん。だから力も違うし、親の尻拭いしに来たって言えばさ納得してもらえない?使徒っていったら、使徒なのにテュルケット非難とかしたら絶対許疑われそうだし。」

———うーん。いいのかなぁ?まぁ任せるよ。

ニニギとのやり取りが一息つくと、後ろから朱雀が声をかけた。

「グレース、大丈夫だ。帝都へも行けるし、予言の書ももしかしたら手に入るかもしれん。」

振り返ると、果物を山ほど抱えた朱雀が立っていた。

「お帰りなさい、すごいね。大量だぁ。て、近いよ?どうしたの?」

朱雀は物凄い形相でグレースを抱き上げると、胸元や肩、頬に着いた血の後を凝視した。

「これは、何だ?何が起きた!グレース!大丈夫なのか?」

え?何で私詰問されてるの?
怖いよ!すっごい綺麗な顔してるんだけど、全然ドキドキしない不思議。パーソナルスペースにグイグイくるな朱雀。

——— 朱雀、だめだよ!人間は距離感大切にしてるから怖がってる。近すぎだって!その血はグレースの物じゃないから、落ち着きなって。

「ニニギか。邪魔をするな。グレースとの時間だ、外せ。」

「え!?ちょっとまって!ダメダメダメ!ニニギ、まだ聞きたい事あるから!まって!」


——— はぁ。メンド。もう少しなら相手してあげれるけど、本格的な修復作業が始まったら当分みんなこっちに顔出せないからね、呼べばすぐ来るなんて思わないようにね?その為の朱雀なんだからさ。

抱き締める腕の力が強くて、もがいても降ろしてもらえないグレースは、朱雀に抱かれたまま呼び掛けた。

「本当、動くための情報もらったらそう呼びたてたりしないから、今だけお願い!」

両手を擦り合わせて懇願するも、溜息だけが返ってきた。

「グレース、何故我が怖い?伴侶である我を何故恐れる?」

「「はぁぁぁ!?伴侶!?」」

——— 朱雀!めっ!!!キスでは伴侶になりません!!まずは色恋を勉強しなさい!!いま、今大国主も天照も忙しいから磐長姫に教わんな!ちょっと~~、これで巡行とか上手く進む気配ないんですけど!!
とりあえず、朱雀ハウス!!一旦こっちに戻ってこい!

「断る!今天界に戻ればグレースが危ない。」

え?私、危険に晒されるの?いや、まぁそういう旅だから当然なんだろうけど、アンタの方が危ないわ!

——— 危なくありません!外に白虎居るみたいだし、ってか首輪着けてんじゃん白虎!!あららぁ~グレースやるじゃん!だから、とりあえず戻ってこい!言うこと聞かなきゃ玉に戻すぞ!

「朱雀さん、とりあえずお家に帰んな?私も今はしないといけないこと沢山あるし。」

グレースは朱雀の頭をそっと撫でて、首に手を回して優しく抱き着いた。そして顔を朱雀の肩に埋めながらお願いした。

「あのね、私の為にさ。消えちゃった神様がいるんだ。だからさ、頑張ってみようかと思う、、、予言、、、なんてなんとか出来るのか分かんないけど。正直伴侶とかってのは考えて無い。そんな関係になるのは難しいかもしれない。でも、この世界や人との関わり方を知った朱雀さんとなら、もっと旅が楽しいだろうなっておもう。だから、行ってきて!お願い!」

ぐぬぬぬ、恥ずかしい、羞恥心が!!
でも朱雀には暫くどっか行ってて欲しい!怖いよコイツ!
負けるな私、これは若作りじゃない!今は若いんだ!頑張れ!!
振り回されるな!!行きます!!


意を決してグレースは頭を上げると、両手を組んで口元によせ、上目遣いで朱雀を見つめ、ゆっくりと瞬きを二度した。
羞恥で涙目の瞳、少し尖らせた口元、ピンクに染まった頬。その姿は朱雀からすると酷く庇護欲を掻き立てられる姿であったが、グレース自身は自爆寸前であった。

「旅には朱雀さんが必要だから。一緒に旅するなら学んで来て欲しい。お願い、朱雀さん。」

「わかった。直ぐに戻ってくる。安心できる伴侶として側に立とう。待っていてくれ。」

グレースのお願いに二つ返事をすると、そっと下ろして口付けをした。

それ!!それがアウトだよ!何て自分本位!
ニニギ、さっさと連れ帰って!!
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