神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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新生編

地獄

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 休憩をしていた隊員達が慌てて部屋に雪崩れ込んできた。
ビクトラと朱雀は目頭を赤くしてグレースの枕元に駆け寄った。

「「グレース!」」

「サリザンド、身体は、身体は大丈夫なのか!?」

「大丈夫ですよ。ただ、魔粒子の補給に関してですが黒素地がどうとかの前にこの魔道具、かなり根を張ってて吸収を妨げてます。制約の解除、呪法の解除は出来ましたけどこの根は肉体を作り替えないと無理ですね。」

サリザンドは隊員達に、グレースのまだ透ける手を光に翳して根を見せた。

「それに、この方元々魔粒子核をお持ちじゃない。そればかりはどうしようも無いので、都度の補給が必要なお体になるでしょうね。でも、肉体がしっかりできて、自然供給できる様になれば無茶しなければ大丈夫ですよ。」

ビクトラと朱雀は、ほっと胸を撫で下ろした。

「んだがよ、いづ戻ってくんだ?」

空気にひびを入れるようにソレスが呟く。

「……‼︎おい!どうなんだ⁉︎戻って来るのか!?」

「一か八かです。不確定要素はこれでもかと言う程にあります。しかし迷っている暇も無い。最後の仕上げをしなくてはなりません。皆さんの覚悟を聞きたい。」

サリザンドが真剣な眼差しで室内の隊員を見回した。
ビクトラと朱雀は「どんなことでも」と即答し、リャーレも続いたが、
アガット達は「仕上げの内容による」と渋った。

「お助けする事に文句はない。しかし我々はこの帝国を守るのも勤め。内容次第では助力出来ぬ場合もある。すまない。ビクトラ、朱雀殿」

ビクトラは首を振って「構わない」と伝えた。
しかし、サリザンドとルーナは口元を少し緩め「俺達が経過観察しなくていいなら絶対断らないけどな。」と笑った。

サリザンドはルーナと身体構成の違いや必要とされる魔粒子の色光を話し合い必要な人数と要員を発表した。

「えー。発表します。まず!朱雀さん、ソレスさん、ガットさん、ガランさんは参加出来ません!理由は、朱雀さんは言わずもがな受肉が出来てない、後は色の問題です。このメンバー入れると赤、緑の過剰接種になるので我慢してください。」

朱雀はルーナに飛びかかりそうになった所をコレットと近衛騎士のハインに止められ泣きながら地団駄を踏んでいた。

「他のメンバーは強制です。」

サリザンドに強制と言われ、参加メンバーは顔を引き攣らせた。

「いやいや、本当死ぬような事じゃないんで、気を楽にして下さい。」

「本当。気を楽にしてくれないとグレース様消えちゃうんで。皆さんもグレース様が消えたらどうなるかは、先日摂政から聞いてますよね?頑張りましょーー!」

あまりの気軽さに、参加メンバーは少し気が楽になって笑みを見せる隊員もいた。

「で、その方法とは?」

アガットが訝しげに聞いた。

「なら、お堅いアガット隊長から行きますかね。参加者以外は退出して下さい!!はーい!退散して下さい!出てって下さい!お疲れ様でした!廊下の隊員も戻って頂いて結構です!」

「我は此処を離れぬ!!嫌だ!!」

朱雀はビクトラにへばり付いて駄々をこねた。

「おい、ルーナ。こいつがここにいるのは大丈夫なのか?」

ビクトラはへばり付く朱雀の気持ちも分かると、ルーナに頼んだ。

「いや、多分朱雀さんが耐えられないんで退出をお勧めします。それに耐えれなくて暴れられると本当困るんです。」

ビクトラは朱雀の頭に手を置き、ポンポンと叩いた。

「朱雀、我慢だ。グレースの為に耐えてくれ。」

ビクトラにしがみつく腕が更に強くなるが、ビクトラは息をふっと吐いて立ち上がると朱雀と向き合い、鳩尾に膝を思い切り打ち込み気絶させた。

「ぐっっはっ!!」

朱雀は目を見開いてビクトラに倒れ込んだ。

「ガット、連れて行ってくれ。結界をはっとけ。こいつが暴れたら騎士棟が崩壊する。」

「了解」

部屋にはサリザンド、ルーナ、を含めて十名の隊員が残った。

「さ、皆さんにとってはある意味天国、ただ理性があると地獄です。なので、これを飲んでください。」

ルーナは皆の前に紫色の液体を置いた。

「「「え!?強壮薬?」」」

ルーナは楽しそうに笑いながら答える。

「はい。地獄に行きたく無いでしょ?」

全員の顔が青ざめた。














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