神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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SS 新しい家族

大きな幸せ

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「都、具合は?」

「ん。リャーレさんの蜜飲んでから気持ち悪さもかなり落ち着いた。今度は食べつわりかも、何か食べてないと気持ち悪い」

「いや、食べれなかった反動だよ。でも果物は控えて、リャーレの蜜でかなり糖分取ってるはずだから」

 ルーナはあれから仕事を調剤師に切り替えて、自宅の隣に建てた古屋の一室で在宅勤務していた。都の側にベッタリとくっついて、その片手間に仕事をしていたが、かなり仕事を溜め込んでいて騎士団の医務官から調剤の催促が酷くなる一方だった。

「都、きつい?」

「眠い。食べちゃ寝て、食べちゃ寝て。良いのかな、こんな自堕落で」

「後で散歩にでも行こうか。運動した方が良い」

「そうだな。ルーナ、川に行かないか?そろそろ水灯籠が流れて来る季節じゃない?」

 水灯篭、一種の魔獣なのだが無害な為季節の風物詩としてそれを見に来る獣人は多かった。水を含んだ膜の中で核が発光し、川を流れて海へと向かうそれはキラキラと光り、その光景はとても幻想的だった。

「良いね、夕飯食べたら行ってみよう」

「今日の検診では何するんだっけ」

「獣体の有無確認、触診に魔粒子核と神核の状態確認。今やっちゃう?」

「俺は良いけど、みんなの前じゃないと怒るんじゃない?」

「はぁ。確かに、あいつ等3時には戻るから待ってろって言ってたな」

「嬉しいなぁ。みんな望んでくれてるんだ」

「当たり前でしょ?だって都の子供だよ?誰の子でも嬉しいに決まってる」

 都はルーナ膝に跨ると、ニコリと笑うとキスをして抱き付いた。ルーナも溢れる幸せに、都を抱きしめるとその胸に頬を預けた。

「はぁ。至福」

「俺も!」

 都が側にいると、いつものモヤモヤが消えて行く。はぁ、良い匂い。大好きだ、都大好き!

「ぎゅーー!」

「ははっ!ぎゅーーー!」

 ルーナと都は散々イチャイチャすると、洗濯物を干したり掃除をしてり。庭の手入れをしながら日中を過ごした。

「ふぁぁぁっふ」

「眠い?」

「ん」

 だが、ルーナは都を寝かせる訳にはいかなかった。今日行う検診では、魔粒子覚醒法という方法を使って子供の状態確認をする為、起床2時間経っていないと出来なかった。今は午後2時、昼寝をしてしまえば4時ごろまで起きない。そこから2時間後となれば夜になる。夜になれば量が減り出す魔粒子があって、そうなると正確な検診は出来ない。

「今が本当は1番良い時間なんだけどなー。あー!もうっ、何でみんな仕事とか行ったんだよ!休めよ!早退しろよ!検診なんだぞ!」

「ふふっ、なら先にやっちゃう?結果を知るだけでも安心でしょ?2人で先に見ちゃお?」

「えー。後からブーブー文句言われるの嫌なんだけど!特にサリザンド!」

「俺がちゃんと説明しとくから。やっちゃお!もぅ眠くて眠くて」

 眠気の限界に、都はルーナの手を取ると部屋に入って行った。ルーナの自室はベッド以外の全てが医療道具ばかりで、微かに香る消毒液の匂いを都は吸い込んだ。

「俺さ、こういう匂い好きなんだよなー。あと塩素の匂い……プールの焼けたアスファルトの匂いも好きだったな」

「どんな匂い?」

「んー。医務棟から出て来た時のルーナの匂いに似てるかな」

「えぇっ、めっちゃキツイ匂いじゃん。除染剤の匂いでしょ?」

「でも懐かしくて好きなんだよね」

「そんな事より、ほら座って。まずは赤ちゃんの状態を見るよ」

 ルーナは医療魔術具を出した。フラフープの様な輪っかの様なそれを台座に乗せて、ガチャガチャと金属のパーツを取り付ける。そして台座から取り外すと寝台に固定した。

「MRIみたい」

「なに?前世の世界の道具?」

「うん。医療機器で、大人が入る位のドームがあって、そこには強い磁場……磁力があって。身体中を一度に見れるんだ」

「あぁ、これもそれに近いかもね」

「へぇ、初めて見た」

「さ、起動させるよ。力を抜いて」

 ブン。という音と共に輪から光の帯が現れて、都の体を照らし始めた。激しく光は腹部を上下に照らし、ルーナは机の上の魔術具の板を見つめていた。

「都……」

「何?なんかあった?」

「すごく嬉しいニュースと、戸惑うニュースがあるんだけど」

「え」

「どっちから聞きたい?」

「嬉しい方から」

「ふふっ、俺の子がいる!兎の耳だっ!見てみる?」

 ルーナは魔術具を手にすると都にそれを見せた。そこには小さな塊が写っていて、まだ色もなく真っ黒な塊だったが確かに長めの耳が二つそこにあって、下には丸い尾の様な物が見えた。

「ルーナ‼︎あはっ、ルーナ!嬉しいっ、ルーナの赤ちゃんだよ?」

「うんっ、そう。俺達の子だよ?都、ありがとう。俺の子が欲しいと思ってくれて」

「当たり前じゃん。最初はサリューンの子じゃないと駄目なんだろうなって思ってたんだけど、本当はルーナの子を産んであげたいと思ってたんだ。いつも我慢してくれているルーナに、贈り物をしたかったんだ」

「良いんだ。そんな事どうでも良いんだよ……都が俺を想ってくれている。それが分かっただけで嬉しいから」

「パパだね、ルーナ」

「うん!この子の父親なんだな……会いたいね」

「うん。あ、で……」

「はぁ。これはなんて言うか……大変かも」

「え。なに?何が起きてるの」

「多分サリューン様とサリザンド……これはなんだろ。まだ形が定まって無い子も居る」

「はぁっ⁉︎え、うそっ」

「多分だけど、俺達毎晩代わる代わる寝てるでしょ?丁度育成帯に着床しやすい状態の時に連日寝たから……出来たのかも。下手したら4つ子じゃ済まないかも知れない」

「え!」

 ちょと待って!こっちって今じゃ自然分娩なんだよね?
魔粒子が以前程生み出せなくなったから自然とそうなったって。
ぐえっ!死ぬよ、あんな陣痛何度も経験したくない!

「ね、ねぇ。聞きたくないんだけど、もし今エッチしたらそれも妊娠する可能性があるって言う事?」

「まぁ、そうだね。魔粒子の量や質によって着床の可否は変わる。妊娠し難い種族は出生率を上げる為に妊娠3ヶ月位まではあえて行為回数を増やして多産を目指すって奴もいるよ」

「ね、ねぇ。多産ってどれくらい」

「んー。爬虫類系、鳥類は多くて10人」

「‼︎」

 怖い!怖すぎる!10人?嘘だろっ。双葉1人でも大変だったんだ!10人……あ、でもここには10人の男達がいる訳だし、アリなのか?大変な次期は一度に終わらせるに限るよな。

「あ、後。産後が1番妊娠しやすいから。育成帯が分厚くなって、産後修復に栄養を求めるから着床しやすいんだ。ビクトラとかはここら辺に頼んで来そうだけど」

「えっ!ビクトラさん?いやー。どうなんだろう、カムイが居るから気を遣ってそんな事言わなさそうだけど」

「え?聞いてないの?」

「何を?」

「この出産が終わったら、各月で都と共寝をする月を決めようってビクトラが提案したんだよ。それって確実に生んで欲しいって事でしょ?まぁ案の定サリザンドが突っぱねたけど」

 ううっ、これは面倒い。絶対カムイが不貞腐れるし、サリーの不機嫌度が上がる。ビクトラさんが出勤した後が怖い!

「な、ならっ!い、今から妊娠出来る?」

「えぇっ?ま、まぁ出来なくは無いけど、出産時が大変だよ。だって育成度合いが他の子と違うんだ。3ヶ月も違えば下手したらその子だけ流産って事もあり得るよ」

 そうか。そうだよね。子供を危険に晒す事は絶対ダメ!

「わ、分かった。取り敢えず……4つ子かぁ」

「うーん。それがイマイチはっきりしないんだよね。ここの黒い部分……魔粒子の塊にも見えなくないけど、育成帯の澱にも見えるし。これは来月まで待って確認した方が良さそう」

 子沢山のテレビを見て、俺は羨ましいよりも大変そうだと思った。でも、ここに居る全員の子供が俺は欲しい。兄さんの子は自然妊娠は出来ないだろうから、人工授精ででも欲しいんだ。きっと、本当の血の繋がった家族が欲しいだろうから。

「でもでも!良いやっ、たくさん産みたい!皆んなの赤ちゃん欲しい」

 ドクンと胸が鳴る。きっと大きな幸せが待っているから。














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