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黙ってしまったニーナ~スタンリー視点~
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めちゃくちゃに抱きたいってのは、正確にはウェディングドレスを引き裂いて組み敷いて、彼女が泣き叫ぶのも構わずに彼女の全身をしゃぶりつくしてから、上に乗って体の奥深くに猛りを突き立て、腰を打ち付けるように振りたいってことだ。
そんなことはできないのは分かっている。もう、過去に一度やってしまっているから。彼女を乱暴に傷つけてしまったことがあるから。
やらないとも。やらないけど、気が狂いそうだ。会わなければよかったのに。こんな苦しいなら、再会すらしたくなかった。
あ、無理だ。ニーナにもエイベルにも会えない人生は、そこで詰んでいる。
矛盾した思考に身悶えする俺は、うめき声を抑えてひたすら高ぶりを堪えていた。
だいたいな、股間を綺麗にするのが目的とはいえ、握って擦ったら出ちゃうに決まっているだろう。ま、俺はこう見えても元騎士。言わば超人だ。そんな無様な真似ができるわけない。
「うわぁぁあ」
気づくとニーナが股間に吸い付いていた。
「ニーナ、ちょ、何してんの、やめ──」
「下のお世話くらいさせてください」
ベルベットのような舌がまとわりつき、俺の肉棒をトルネードしていく。何言っているか分からないよな、俺もだ。
こう、なんていうか、グリングリン舌が巻き付いていくんだ。
小さいのに肉厚の唇がすぼめられ、搾り取るように俺の黒騎士を吸い出し、バキュームするもんだから、全身に震えが走った。俺はしゃくり声をあげ、放出していた。
彼女の口の中に。
やってしまった! 今度こそ転がった汚物を見るような目で見られる。嫌われる。
硬く目をつぶると、ごくんと音がした。
「?」
おそるおそる目をあけると、彼女が口の端から白い液を滴らせながら、俺の汚い汁を飲み干していた。
絶句する俺の前で、舌を出す。
「にがっ」
そりゃそうだろうよ、見せるなよ。
「エロイーズが、股間の看病も妻の仕事のうちだって。そして、もし出ちゃったらこうしろって」
エロイーズ……ほぼ処女の彼女に、何を教えているんだ。
でも唯一自由に動けた──いや、ある意味一番自由ではないのだが──俺の黒騎士はようやく宥められ、クタッと眠りについた。
楽になったのだ。
体力が落ちているのだろう、今はまるで黒騎士の付属品のようである俺自身も、意識が遠のいてきた。
「眠ってください」
スープの皿と洗面器を片付けながら、彼女は優しく囁いた。
「休息が必要ですよ」
そうだな、君が近くにいると、たぶん黒騎士はまたすぐ目覚める。君が近くにいるだけで、抜き放った剣のように収まりがつかず、猛り狂うのだから。
「愛している」
俺は朦朧とした意識のまま、そう口走っていた。
「君を愛している」
ニーナは困ったように返した。
「ちがいますよ」
何言ってるんだ。だって、君にしか反応しないんだぞ。
「私に欲情しているだけです」
そう、欲情している。でも君が好きだからだ。
──と、口に出せたかどうかは分からない。
途切れる寸前の意識の中で、でも、君は信じてくれないんだろう? そう思った。
そんなことはできないのは分かっている。もう、過去に一度やってしまっているから。彼女を乱暴に傷つけてしまったことがあるから。
やらないとも。やらないけど、気が狂いそうだ。会わなければよかったのに。こんな苦しいなら、再会すらしたくなかった。
あ、無理だ。ニーナにもエイベルにも会えない人生は、そこで詰んでいる。
矛盾した思考に身悶えする俺は、うめき声を抑えてひたすら高ぶりを堪えていた。
だいたいな、股間を綺麗にするのが目的とはいえ、握って擦ったら出ちゃうに決まっているだろう。ま、俺はこう見えても元騎士。言わば超人だ。そんな無様な真似ができるわけない。
「うわぁぁあ」
気づくとニーナが股間に吸い付いていた。
「ニーナ、ちょ、何してんの、やめ──」
「下のお世話くらいさせてください」
ベルベットのような舌がまとわりつき、俺の肉棒をトルネードしていく。何言っているか分からないよな、俺もだ。
こう、なんていうか、グリングリン舌が巻き付いていくんだ。
小さいのに肉厚の唇がすぼめられ、搾り取るように俺の黒騎士を吸い出し、バキュームするもんだから、全身に震えが走った。俺はしゃくり声をあげ、放出していた。
彼女の口の中に。
やってしまった! 今度こそ転がった汚物を見るような目で見られる。嫌われる。
硬く目をつぶると、ごくんと音がした。
「?」
おそるおそる目をあけると、彼女が口の端から白い液を滴らせながら、俺の汚い汁を飲み干していた。
絶句する俺の前で、舌を出す。
「にがっ」
そりゃそうだろうよ、見せるなよ。
「エロイーズが、股間の看病も妻の仕事のうちだって。そして、もし出ちゃったらこうしろって」
エロイーズ……ほぼ処女の彼女に、何を教えているんだ。
でも唯一自由に動けた──いや、ある意味一番自由ではないのだが──俺の黒騎士はようやく宥められ、クタッと眠りについた。
楽になったのだ。
体力が落ちているのだろう、今はまるで黒騎士の付属品のようである俺自身も、意識が遠のいてきた。
「眠ってください」
スープの皿と洗面器を片付けながら、彼女は優しく囁いた。
「休息が必要ですよ」
そうだな、君が近くにいると、たぶん黒騎士はまたすぐ目覚める。君が近くにいるだけで、抜き放った剣のように収まりがつかず、猛り狂うのだから。
「愛している」
俺は朦朧とした意識のまま、そう口走っていた。
「君を愛している」
ニーナは困ったように返した。
「ちがいますよ」
何言ってるんだ。だって、君にしか反応しないんだぞ。
「私に欲情しているだけです」
そう、欲情している。でも君が好きだからだ。
──と、口に出せたかどうかは分からない。
途切れる寸前の意識の中で、でも、君は信じてくれないんだろう? そう思った。
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