俺のご主人様になれ!

秋山龍央

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第4話

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――今夜、俺の家に来い。

さて。九澄から脅迫を受け、九澄の暫定的な「ご主人様」になってしまったおれは、さっそく九澄にそんなことを提案された。

しかし、改めて考えて見ても意味がわからないな。
普通さ、逆じゃない? よくある脅迫モノAVのシチュだと「ぐへへ……このお前の恥ずかしい写真をばらまかれたくなかったら、俺に大人しく抱かれてもらおうか……」って感じじゃん。
なんで、脅迫されてるおれの方がご主人様側なの!?

……まぁ、色々と突っ込みたいコトはあるが、それはさておき。
九澄がおれに告げてきた内容は、こうだ。

『一緒にいるとこを誰かに見られたら厄介だから、19時過ぎに一人俺のマンションに来い。住所と部屋番号はあとでラインしとく。あ、オートロックマンションだから、エントランスのインターフォンでまず俺の部屋に連絡しろよ。一応、エントランスに誰もいない時に呼べ』

その長々とした説明を聞いたおれは「えっ、昨日の今日ですけど!? 今日さっそくなの!? もう!?」と思わず九澄に尋ねてしまったが、九澄に舌打ちとともに「なんか文句があんのか?」とドスのきいた声で聞き返されてしまい、もはや何を言うこともできなかった。
めっちゃ怖かった……。
なんなんだよ、やっぱり、あれがアイツの地なの?

「あー……本当に、この能力ってもはやただの呪いだよ……」

自宅の自分の部屋で、九澄の家に行くために、制服から私服へと着替えたおれは、そんなぼやきを漏らさずにはいられなかった。
九澄の家に行くのに気取った格好で行くのもしゃくなので、真っ白なTシャツと黒いジャージズボン、揃いの上着というありきたりな格好を選ぶ。これなら途中で誰かに会っても、ランニング中だと言い訳できるだろう。

自室から出てリビングへ行くと、机の上には「夕飯は鮭です。冷蔵庫にあるので温めてください 婆より」というメモ書きが置いてあった。
おれの家は祖母、父母、姉、おれの四人構成だ。
だが、父母は海外勤務だったり出張で各地を飛び回っていたりするので、年始年末や長期休暇シーズンでもなければ、あまり家には帰ってこない。だから、普段、おれと姉の面倒を見てくれているのはおばあちゃんだ。だが、今日はおばあちゃんは老人会のボーリングレクリエーションのため、まだ帰ってきていない。そして、大学生の姉もまだ学校後のバイト先から帰ってきていないようだ。

九澄との約束の時間にはまだ早いので、ありがたく夕飯を頂くことにする。
冷蔵庫からすでにレンチンすればいいだけになっている鮭の塩焼きと、冷凍庫に入っていた小分けのご飯を出して、電子レンジであたためる。そして、コンロの上に朝ごはんの残りだろう味噌汁があったので、それも火をつけて温める。

「ただいまー」

と、そこで、玄関のドアが開く音と、よく聞き慣れた声が聞こえた。

「おかえり、姉貴」
「まだばーちゃん帰ってないの? ったく、今日はサイアクだわ……」

「あのクレーマーオヤジ」「コンビニの店員にどんなサービス求めてんだよ」などとブツクサ言いながらリビングに入ってきた姉貴は、とても不機嫌そうだった。
バイトからの帰りにしても、ずいぶん早い。どうやら、バイト先で何事かがあったようだ。だが、あまり下手なことを聞いて姉貴に八つ当たりされても怖いので、とりあえず何も言わないことにする。

「夕飯、あたしのもあっためといて」
「分かった。あと姉貴、おれ、この後出かけるから」
「……どこ行くんだよ?」
「クラスの友達の家。ゲーム機の新しいの買ったっていうから、やらせてもらいに」
「あまり遅くまで居座って迷惑かけんなよー」

根掘り葉掘り突っ込まれたらどうしようかなと思ったが、姉貴はよっぽど苛ついてるようで、それですんなりと話は終わった。内心ホっとするが、なるべくそれは表には出さないように努める。
さすがに「うちの学校の教師に脅迫されてるから、その教師の家に今から行く」とかは言えないよなー。というか、先生のところに行くってことも説明が難しいから、何から何まで嘘を突き通さないといけない。苦しいところだ。

「あ。出かけるならポテチのバター塩味と、単4の電池買ってきて」
「え? やだよ、めんどくさい」
「アンタのこと、ばーちゃんに聞かれたら、説明すんのあたしなんだからね。それぐらい買ってきなさいよ」

そう言われると立場が弱いのはおれだ。
しぶしぶ、了承の意を姉貴に告げる。

あーあ……学校でも家庭でも脅されて大変すぎじゃない、おれ?





九澄に教えてもらった住所を地図アプリにいれてみると、徒歩で30分もかからない距離が示された。
……そういや学校のウワサで、九澄の実家はけっこうな資産家だから、駅近くの実家が持っているマンションがあるのでそこに一人暮らしをしていると聞いたことがある。話半分に聞いていたウワサだが、あながち本当かもしれないなーなんて思いつつ、おれは九澄のマンションに向かう。

――が、おれの前にそびえ立つマンションは、おれの予想を遥かに凌駕していた。

「……マンションっていうより、億ションじゃん」

駅に近いどころか、駅から伸びる空中回廊により、駅直通としてつながっている建物。
1階から2階にはスーパー、ドラッグストア、コンタクトショップ、歯科、銀行という店舗がはいっており、3階はフロアやレンタル会議室、そして4階から30階までが住居となっている高層マンション。それが、九澄に言われ、地図アプリに示された住所だった。
住居人用のエントランスは、1階のスーパーと別に設けられているようなので、そちらへとりあえず行ってみる。
なんてことのない風を装って歩いているものの、こんなオシャレッティな高層マンションには来たことがないので、心臓はバックバクである。

「……手土産とか持ってこなくて良かったんだよね?」

広々としたエントランスは、幸い誰もいなかった。真っ白な大理石の床を歩くたび、おれの安物のスニーカーがキュキュッと音を立てるので、さらに場違い感マシマシだ。
エントランスホールに設けられたパネル式の インターフォン で、言われたとおりに九澄を呼び出す。
もしかして訪れる建物を間違えたんじゃないか、と危惧していたものの、おれの呼び出しに間をおかず『九澄です』と応答があった。

「えっと……おれだけど」
『――時間通りだな。エレベーター乗って23階に上がれ』

おれの映像が向こうからは見えているのだろう。九澄は短い応えだけを寄越した後、すぐにブツリとインターフォンがきれた。

……おいおい。他人に見られたくないから手短に済ませたんだろうけど……せめて、「いらっしゃいませ」ぐらい社交辞令として言ったらどうなんだ、この教師。
いや、おれたちの状況はそんなフレンドリーなもんじゃないけどさ。だからって、ねぇ?





「おお……」

――が、おれがそんな風に感じていたわずかな不快感も、九澄の部屋にお邪魔したと同時に霧散した。

「すごいな、広い。それに……広い!」

バカ丸出しのコメントを繰り返すおれに対し、一歩先にいた九澄の方が呆れたような顔をしている。
いや、だってこの部屋の豪華さの前では、おれみたいな庶民はボキャブラリーを消失するのも道理だと思う。

おれが通された場所はリビング兼応接間のような部屋だったが、そこはべらぼうに広い。おれの部屋の二倍は広いだろう。
L字型のオフホワイトのソファに、フローリングの床と同じ色合いの、木目の美しい応接用テーブル。壁紙と飾り棚は同じオフホワイトで揃えられ、その空間を間接照明が優しく照らしている。
オフホワイトと落ち着いた色合いの木目の二色だけでデザインされた空間。そしてそのソファの正面には、うちの家のものより三倍くらいは大きなサイズのテレビが置かれており、また、テレビの向こうには煌々とした夜景が広がっている。そう、テレビを設置している裏側にあたる部屋の壁――そこの一面が広々とした窓になっており、そこからおれたちが住む街並みが一望できるのだ。

……けれども、おれはすごいと感嘆すると同時に、さびしい部屋だな、とちょっぴり思った。
それがなぜかは、自分でもよく分からなかったけれど……もしかすると、この空間には生活感というものがまるでなかったからかもしれない。
まるで、モデルルームみたいな部屋なのだ。
観葉植物や絵画、ポスターどころか、雑誌や新聞なども何一つない。この部屋には九澄の好き嫌いを示すものが何一つ置いてない。
寝室や私室に行けば、また違うのだろうか? でも、一人暮らしの男の部屋にしては本当に殺風景だ。殺風景すぎる。

「とりあえず座れよ。なにか飲むか?」
「あ、いや……」

そんなことを考えていると、九澄への返答が少し遅れてしまった。
九澄はそれを、おれが緊張しているとでも思ったのだろう。「酒……はダメだからな。水でいいか」と一人ごちて、間仕切りのあるダイニングへと向かっていってしまった。

「…………ふぅ」

九澄のそんな背中を目で追いつつ、とりあえずせっかくなので、L字型のソファに座ってみることにする。その座り心地はまさに天国のようで、どこまでも身体が沈み込んでいくようだ。
おお、これはすごい。寝転んでみたいけど、それはガマンだな。

「一ノ瀬、ほらよ」
「……ありがとうございます」

しばらくすると九澄が戻ってきた。その手には500ミリリットルのペットボトルが2本あり、そのうちの一本をおれに差し出してきた。
おれは礼を言ってミネラルウォーターを受け取ったものの、なんとなく飲む気はしなくて、隣に腰を下ろした九澄をじっと見つめる。
というのも、新たに気がついたことがあったからだ。

「九澄先生、昨日オナニーした?」
「ぶッ!!!!!」

おれの問いかけに、九澄が口をつけていた水を吐き出す。

「なっ……テメェ、一ノ瀬……げほっ、何言って……」

気管にでも入ったのか、ゴホゴホと咳き込みつつ、涙目でおれを睨みつけてくる九澄。

「でも、本当のことだろ?」
「なっ……」
「あ。その反応からすると、もしかしておれとのコト、思い出しながら一人でしたの?」
「…………っ」

おれの言葉に、みるみる内に顔を真っ赤にさせて黙りこくる九澄。
が、おれが何も言わず、じっと九澄の顔を見つめ続けていると、九澄は観念したようにこくんと小さく頷いた。

ふむふむ。なるほど、やっぱりな。

さっき、九澄が水を取りにいく時に気がついたんだよ。
「アレ? なんか九澄の頭の上の数字が増えてないか?」って。昨日最後に見た時は「10088」だった。それなのに、今の数字は「10091」になっているのだ。
だから、九澄が昨日、オナニーをしたから数字が増えたんだろうと予測したんだが、当たっていたようだ。
まぁ、おれとのコトをオカズにしていたっていうのは予想できなかったけど。

……あれ。でも、この数字の基準ってどうなってるんだ?

昨日、おれが事故って九澄を押し倒した時……あの時に、「10088」にカウントが増えたのは見た。でも、その後に九澄に中のローターを出させた時――あの時も九澄はナカイキというのでイってたみたいだけど、カウントは増えてなかったよな?

ナカイキでイくと、カウントは増えないってことなのか?
それとも、あれはおれが「命令してやらせた行為」だから、自慰行為には入らないんだろうか。

…………よし、試してみるか!

おれがここに来たのも、九澄のご主人様役を務めるためだもんな。
うん、九澄だって文句はないだろう。
文句があるなら「じゃあご主人様とやらはできないわ」って言って帰ればいいだけだし。どちらになろうともおれに損はないのである。

「九澄先生。今、ここでやってみせてよ」
「…………は?」
「昨日、アンタがどんな風に一人でヤったのか、おれに見せてよ」
「なっ……!」
「できないとは言わせないぜ? マゾで変態の先生はそういうのが好きだから、今、ここにおれを呼びつけたんだろ?」
「………………」
「九澄先生?」
「………………少し、待ってろ」

九澄はソファから立ち上がると、リビングから出て、隣の部屋へと向かった。
よしよし。九澄はおれの言葉に頷きはしなかったが、それでもその態度からして、おれの求めている行為は実践してくれるつもりはあるらしい。むしろ、よく見れば九澄の瞳は興奮に濡れているようでもあった。
……九澄の目は、茶色い瞳だと思っていたが、よく見るとほんの少し黄色がかった茶色なんだな。はしばみ色、というんだろうか。

しかし、こうして考えると、九澄は今のおれにとって最高の相手だな。

たとえば今のおれが真っ当な恋人ができても「おっ、昨日オナニーした?」とか、絶対に尋ねられるわけがない。九澄の性的趣向がマゾヒスト傾向があると分かっているからこそ、そして何よりおれが「脅されている立場であり、お互いとも相手のことを恋愛対象とはしていない」からこそ、あんな風な、嫌われてもかまわないような無茶を要求できるわけである。

「……そういや、九澄は恋人とかいないのか?」

九澄から渡されたペットボトルを開け、口をつけつつ一人ごちる。
学校の中でさえ、九澄は女子からも男子からも人気がある、魅力的な人間だ。特殊な性的趣向があるとしても、そんな趣向をひっくるめてお互いを愛し合えるパートナーくらい、掃いて捨てるほど見つかるだろう。
あ、でも『あんなに相性のいい調教プレイ、あんなに相性のいいご主人様は、今まで誰もいなかった』って言ってたっけ。なら、以前はそういう相手がいたけど、今はフリーだってことか? そもそも九澄って同性愛者なのか? それとも、マゾヒスティックな気質なだけで、ご主人様の性別は特に問わないとか?
うーむ、童貞のおれには、考えても未知の世界すぎてよく分からなんだな……。

そんなことを考えていると、ドアがバタンと開く音がした。
見れば、先ほど隣室へ行った九澄が、なにやら手に色とりどりのモノを抱えてこっちに戻ってきていた。

……って、え?

ちょっと待って、え?
九澄先生、何を持ってきたんです?

「おかえり、九澄先生」
「…………」
「えっと、それは何?」

いまだに顔を赤らめたまま、両手で抱えるようにして様々なモノを持っている九澄に対し、とりあえず隣に座るように促す。
九澄は先程とはうってかわり、躊躇いつつおれの隣に腰を下ろした。そのため、九澄の抱えていた器具がより間近で見れるようになる。

九澄が持ってきていたものは、全部で5つあった。

まず1つはローションだ。20センチほどのボトルに入った、白濁した色のローション。
2つ目は昨日と同じ、ピンク色をしたローターだ。だが、昨日と違い、数は3つある。
そして最後が……なんだか、よく分からない。
色は、紫色をしている。長さは、13センチほど。丸いボールが紐で連なって連結しており、先端のボールは直径1センチほどだが、根本にいくほど大きくなっているようで、大きいものは2.5センチほどだろうか。

多分、これも大人のオモチャなんだろうが……まさか、これも尻にいれるものなんだろうか?
え、こんなボールみたいなのが、男の身体の中に入るの?
マジで? 本当に?

とりあえず、九澄がソファに置いた紫色の大人のオモチャを手にとってみる。
シリコンでできているそれは、おれが思ったよりも柔らかい質感で、そして弾力があった。

「………………」
「………………」

そして、室内に流れる沈黙。
オモチャをぐにぐにと弄びつつ、ちらりと九澄の様子を横目でうかがってみる。
九澄は顔を赤らめつつも……おれの次の行動を待ちわびるような表情を浮かべていた。
あれだ、飼い犬が、ご主人樣の命令を今か今かと期待してじっと見つめてくるような、あんな感じ。はしばみ色の瞳は羞恥に濡れつつも、おれの次の言葉を期待しているようだった。

……この状況で、ワッツディス?とか聞いたら、やっぱりマヌケすぎるよなぁ……。

つーか、九澄はおれに「ご主人樣の才能がある」なんて言ってたけど、やっぱりそんなの九澄の勘違いな気がしてきたよ……。っていうか絶対に勘違いだろ。自分がマゾ寄りなのかサド寄りなのかとか、今まで考えたこともないし、こんな大人のオモチャの知識なんざまるでないし。

あー、もういいか。
ここは大人しく正直に、これがどういうものか聞いてみよう。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥、とか言うし? それで九澄が「なんだ、この程度の知識もないのか。俺の見込み違いだったようだな」って呆れるなら、むしろおれにとってラッキーだし。

「九澄先生、これ何? どうやって使うの?」
「……っ、」
「ん?」

びくりと肩を震わせる九澄。
おれが小首を傾げながら話の先を促すと――なぜか、九澄は唇をきゅっと噛み締めてなにかを決意したような表情になり、自分の履いていたズボンへと手をかけた。

って、なんで!!?!!!??

九澄の突然の行動に、その手を思わず止めようと思い――だが、そこでおれはハッと気がついた。
先ほどおれは九澄に『昨日、アンタがどんな風に一人でヤったのか、おれに見せてよ』と告げていた。おれ的には先程の命令とは別モノとして、これはどういった使用方法をするものなのかを、純粋に聞きたかっただけなのだが……。

……でも、本当におれの言うコト、なんでも従っちゃうんだ。

いつも学校内では誰からも好かれてて。同僚の教師連中からもウケがよくて、授業だってわかりやすいと大評判で、文化祭の時には一躍スターになるような、あの九澄が。時々、素行不良の生徒に絡まれることがあっても余裕綽々な態度であしらったり、逆に、モンスターペアレントと化したおじさんおばさんに怒鳴りつけられても臆さない、あの九澄が。

……おれの命令に、こんなに簡単に従ってくれるんだ。

…………なんか、おれもドキドキしてきたかも。
ドキドキというか、ワクワクみたいな。

倒錯した状況のせいか、沸き立つような興奮を覚え始めながら、九澄がベルトを外してズボンを下着ごと脱ぐのを見つめた。脱いだズボンをソファの背もたれ部分へときちんとかけて置くあたり、九澄の育ちの良さがうかがえる。そういえば、進路指導室の時もそうだったな。

「昨日オナニーした時は、上は脱いだの?」
「い……いや。昨日は、全裸で……」
「じゃあ今日も裸になってよ。九澄先生は変態だから、裸でも恥ずかしくないんだろ?」
「は、恥ずかしくないってわけじゃねェよ……。っ、こんな明るい場所で、俺だけ裸なんてのは、恥ずかしいに決まってるだろうが……」
「でも先生、勃ってるじゃん」

おれが指で示した九澄の股間――そこは、もうなかばまで頭をもたげていた。

「っ! ぅ……」
「つまり九澄先生は、恥ずかしいのに興奮しちゃうんだ? 本当に変態だなぁ」
「ァ、あッ! い、一ノ瀬……っ」

おれが手を伸ばして九澄の陰茎を指で触れると、そこは喜ぶようにびくびくと波打った。
いや、本当に喜んでるんだろう。九澄の顔を見れば、九澄ははぁはぁと息を荒くし、瞳の中にハートマークでも浮かんでいそうな蕩けきった表情でおれを見つめている。

……そういや、つい触ってしまったが、同性の性器なんて触るのは初めてだな。
でも、不思議と嫌悪感はない。
むしろ、おれが指で触れただけで嬉しそうにビクビクと跳ねている陰茎に、もっと触れて、いじってみたいとすら思っている。

「――ほら、九澄先生。そこのテーブルの上で、裸で昨日のオナニーの再現してみてよ。手を抜いてもすぐに分かるからな?」
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