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噴き出す力

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じわりと引き出された力が彼女を包んでいる、ララはわけがわからず茫然としていた。

「とうとう種子が芽生えたか、ごめんよララ、キミを花嫁として選んだ時からそれは植え付けられていた」
闇精霊の嫁になるために種子が芽生えたらしいララは自分が自分で無くなる感覚をおぼえる、だが、不思議と怖いという感覚はなかった。

「そう、私は貴方に選ばれるために生まれた……あぁ思い出したわ。生を与えられる前の記憶を」
ふわりと宙を舞うララは薄っすらと微笑んでいた、それは人ならざる者の命である。青く黒く輝いて幾度も明滅しては光り輝いていた。

「ああ……なんて素晴らしいの、私は私ではない、新たな生命体」
彼女の身体が一際輝くとそれは霧散して形をなさなくなった、人としての生命を散らして新しいものに成り代わった瞬間だ。

「ララ、私のララ」
精霊神がそう呟くと彼の身体も人の形をやめて同じように宙にただよう生命体へと変化した。2色の闇色はやがて交差して同化した。そして、再び離れてふたつの輝く球体へと成った。

「私の貴方、シェイドよ。愛しい人」
「うん、ずっと待っていた。やっと思い出してくれたのだね」


***

「恥ずかしい!」
開口一番にいった言葉はそれだった、あの時、酩酊状態のような感覚に包まれていた彼女は我に返るとただ羞恥心に苛まれた。
「うぅ……なんということかしら!」
「まぁまぁ、済んだことだし?」
「済んだことですって!?ああ、貴方はそうでしょうとも!神なんだから!」

顔を真っ赤にして咆える彼女はいまはすっかり人の形に戻っていた。感覚までも人に戻ったいまはただ「恥ずかしい」という感情に襲われる。
「あああああ!もう!愛だの、恋だの!正気の沙汰ではないわ!」
「ははっ、そういう所は人間らしいのだな」

ふしゅーと湯気が上がりそうなほど茹蛸になっているララは「もう勘弁して」と言った。再び人のなりに戻った彼女は恥じらいの感情を吹き出してしまう。まだ神の領域には達していないらしい。

「とにかくね私はいままで通り人として生きていくわ。この身が通常でなくなってもね」
「うん、それで良いと思うよ」
しれっとそういうシェイドはにっこり笑う。例え人とは違っていても彼女は彼女なのだと。

「私はその……愛しているとは言ってもこう人間的なものではないのよ」
「うん、わかっているさ、精神の繋がりのようなものを感じとれた。いまはそれで良い」
「……理解してくれたなら、まぁ良いか」




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