庭師マイクは見た!新婚の旦那様が不倫?!

NO*NO(ののはな)

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昔話は突然に

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「この写真の男は私だが…20年以上前だな」

20年?!えっ?!まさかの若者時代だった?!

「なんだ?マイク。みんなも驚き過ぎだろう」

いやいや、変わらな過ぎ…あ、そっか、変わらない人っているよな、そういえば。

僕は育ての親である、“辺境伯の子供たち”の幹部のサティを思い浮かべた。

「私は昔から老け顔で、10代後半から大して変わっていない。皺が増えたぐらいだな」

淡々と話す旦那様に毒気を抜かれたのか、表情の読めなかった奥様の鉄仮面がほぐれた。

「それは分かったけど、何故これが今届いたの?この人とは…どんな…いつまで…」

どんどん声が小さくなる奥様を胸に抱き寄せた旦那様は、奥様の耳元で囁いた。

「メイベル、私が今愛しているのはメイベルだけだ。
…過去の私は初恋のクラリスをずっと引きずっていた。クラリスがノーマンと結婚して2人の間に子供が出来て…諦めようとして恋人も作ろうとしたし自棄になってた時期もあった。その頃の、その時だけの女性だ」

「今は…」

「どうしているのかは知らない。その時も、突然いなくなったんだ。私は気にもしなかった。メイベル、信じて欲しい。私には君だけだ」

「イグナス…」

「メイベル…」

おーい!僕たちがいるの見えてる?

「旦那様!よーく分かりましたから話を進めましょう!」

メイが切り込んだ。頼りになるなあ。

「普通、奥様宛てに旦那様の不倫写真が送られてきたら修羅場ですね?最悪離婚です。しかも新婚家庭に。この女性は旦那様に未練があって、それを狙ったのでは?」

「新婚というか、旦那様が結婚したから行動したのかもしれません。誰とも結婚しないと思っていた旦那様が結婚したから逆上した可能性は?」

サラもなかなか鋭いことを言うなあ。

「別れさせたいだけなのかしら?旦那様はあんまり変わってなくてもこの女性はこのままじゃないでしょう?復縁も出来ないでしょうにはた迷惑な人ね」

マリもおっとりしてるようで結構キツいこと言うな…う~ん、世の中には美魔女ってのがいるからなあ。サティとか。

ずっと考え込んでいたフィル親方が方針を固めた。

「とにかく、この女性の素性を調べましょう。旦那様、言いにくいこともあるかと思いますがどうやって知り合ったかとか、名前とか、キッチリご申告を」

「何もやましいことは無いよ。酒場で出会って、ナンシーという名前だった」

…旦那様、普通淑女とは酒場では出会いませんし、ナンシーですか…絶対とは言えませんがほぼ偽名でしょうね。

フィル親方と目を見交わした僕は口を開いた。

「この写真を預からせてください。“辺境伯の子供たち”の方で調べてもらいます」

このドルトレッド伯爵家は“辺境伯の子供たち”の“表”の組織だが、僕だけは“裏”の一員なんだ。

これはきっと表沙汰には出来ない事だという予感がした。







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