僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第8章 僕は隣国王子に恋をする

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季節は春。
僕はもう22歳になり、待望の赤ちゃんを授かった。
元気な元気な男の子だ。
幸運に恵まれるようにと「アシェル」と名付けた。







おぎゃー、おぎゃー、
泣き喚く赤ん坊の声が城中に響いた。
部屋の前を通りかかった使用人たちは、微笑ましそうに笑っている。
僕はアシェルを抱き寄せると、左右に優しく揺すった。

ん、ん、おぎゃー!! 
さっきより酷くなる泣き声。
咄嗟に自身の胸元にアシェルの顔を寄せた。
チュパチュパと僕の乳首を吸うと、途端に静かになった。

「おいしいかなー? 」

ニコリと話しかけると、キャッキャと笑い出す。
母乳の垂れた自身の胸を軽く拭くと、肩に抱き上げ背中をとんとんと優しく叩いた。

「……げぷっ」

うとうととし始めるアシェルをベビーベッドに乗せた。
静かに寝息を立てた彼に僕はため息をついた。

「……本当に乳母を雇わなくていいのか」

ルークが僕を見兼ねて声をかけた。
この子を自分で育てたいと言ったのは僕だ。
最後まで親としてきちんと面倒を見たかった。

「僕がみたいの」

「しかし、産んでからまだ3日しか経っていない。身体はつらくないのか」

ルークは僕のことを心配しすぎだ。
そんなに頼りないかと思い、頬を膨らましてルークを見遣った。

「……わかったわかった。ほら、もう寝よう」

困ったように笑うと、ルークは僕を抱き上げて寝室に向かった。
最近、ルークはよく僕を抱き上げて移動する。
歩くことくらい大丈夫なのに。

柔らかいベッドに下ろすと僕の顔を腕で囲み、ルークは包み込むようにキスをした。

「ふふふ、なぁに」

ルークの行動はエスカレートする。
首筋を舌が這う。
熱が混じった視線に、下半身がピリッと痺れた。
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