神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

蠢く影

報酬

次に目を覚ましたこと時には新しい朝を迎えていた。食事を食べて体を清めてもらい、ネェージュを構いながらちびちびとお水を飲んでいると扉がたた叩きれた。

「マリさん、アルヴィンです。入っても構いませんか？」

「はい、どうぞ」

マリの許可を得てからアルヴィンは入籍してきた。
扉を完全に閉めない状態でマリに近づいてきた。

扉を半開きにするのは未婚の男性と女性が二人だけで会う場合は何かあれば助けを求めれるようにするためであり、危害を加えないという男性側の意志表示でもあるということをネェージュからおしえてもらう。

「おはようございます。マリさんお加減はどうでしょう？」

「疲れも怠さもないです」

「寒気は？」

「ないです」

アルヴィンの簡単な質問に答えるマリにアルヴィンら頷くと光魔法を使った光の球を小さく出すとマリの目の下を少し伸ばした。

「うん、貧血もなさそうだね。マリさんほかの人を呼んでもいいですか？」

一人誰なのかわからないが他はなんとなく誰がいるかわかっていたので頷く。
一人納得したように呟いたアルヴィンはマリの許可を取り後ろを振り返り部屋の外にいる人物に声をかけた。

ゆっくり扉が開き、エインズワース、モーガンブルーノ、キースそして、初老ぐらいのブルーノとキースの目と同じ男性が入ってきた。

「お初にお目にかかる。私はこのソグムを含むこの辺りの領地を収めているダグラス・オルグレンと申す。今回の非常時の解決感謝を申し上げる」

深くアタを下げられ固まってまり、キースとブルーノを交互に見た。

領主様きちゃった……ここは領主様のお屋敷かー、お二人のお父様かなー？

マリの視線に気づき苦笑いを浮かべて肯定をするように頷いた。

「お察しの通り、ブルーノとキースは私の息子で次男と三男だ。長男は生憎、嘔吐の方に残っていて、顔を出せないことは許して欲しい」

領主様の言葉にどう答えていいかわからず本格的にフリーズし始めたマリにエインズワースが声をかけた。

「マリさん今回の件本当にありがとうございました。あなたが居なければ被害がチフン村だけではなく、他の街や村にも被害が出ていたかもしれません」

エインズワースにも深く頭を下げられ、首をプンプンと振ると少し俯き加減で口を開いた。

「私は途中で倒れましたし、ご迷惑をおかけしました」

「いいえ、あのあとマリさんの予想通り地中からゴブリン達が15体ほど現れました。マリさんのおかげで被害が最小限で収められたので迷惑とは思っておりません」

「それに、こちらとしてはマリさんにほとんどを押し付ける形になったことをお詫びします」

ブルーノとキースが頭を下げてきた。

結果として最善な終わりを迎えた。あの時マリが信号弾や村へ戻ったとしても怒り狂った4体のゴブリンが村や街を攻撃してくる可能性があったことや、ぐったりとしたマリを乗せたネェージュがやってきて討伐を確認したこと。

焦げては居たが倒されており、既にゴブリン達は回収し解体を済ませ換金されたという報告も受けた。

「その、長男さんが居ないことや押し付けられたとかその謝られるほどではないですし、こちらも色々ありがとうございます」

マリはこれ以上謝罪はいらないとはっきりと口にした。そもそも集落へ一人で乗り込んだのはマリで押しつけられたという気持ちはない。

「時期が重なったとはいえ、今後このようなことがないよう此方も対処させてもらう。マリ殿にはそれ相応の報酬を渡させてもらう」

ちらりとエインズワースを見ると頷かれこれはどんなに大金でも受け取らなければならない。

「緊急依頼という形でめ……コホンッ謝礼も弾ませ、マリ殿が討伐したゴブリンの報酬。合わせて金貨白金一枚と金貨52枚」

あまりの金額に眩暈がしそうになるが大人しく受け取ることにした。これで土地や移築のためのお金には貯めていたとはいえ余裕ができた。

エインズワースから麻袋を渡されて中身を開けると見たことのない通貨が入っていた。それが白金貨だろう。

しっかり提示されたお金があることを確かめて空間魔法を使おうとしてアルヴィンを見たが首を振られた。しばらくは使わないほうがいいだろう。

お金をエインズワースに預けるとそちらの権限で金融ギルドに預けてくれるという。保証人のモーガンがということになるけれど。

あれからどうなったかという話と報酬を受けとったマリは魔力の枯渇により、体が魔力を求めて熱を出し、僅かに回復した魔力が暴走したということから3日はこの屋敷で安静にするという約束を取り付けられた。