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蠢く影

引き渡し

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ゾロゾロと21人の盗賊を列車ごっこのように引っ張り街へ走っていく。

盗賊達は自分達の意思ではない力で引っ張られているからか足がもつれ転ぶものもいるがそれを構うことなく進んでいく。

苦痛の声も、耳に届いていないかのようにただ真っ直ぐ街へと向かう。

マリの中では汗の汚れの混じった匂いが嫌でただ早く解放されたい気持ちで走っていた。

「気持ち悪いー早くお風呂入りたーい」

マリはそう心の底から思っていることを吐き出してソグムの街へと急ぐ。

街が見えてきた時にホッと息をしたが鼻につくしばく匂いが取れなさそうな激臭にうっと息をつまられせ息を吐きアイテムスペースから布を取り出すとそれを口元に巻いた。


長く感じた道のりを進み、やっと門のところに来るといつもより騎士が多くそこに集まっていた。

マリに聞くことなく自分達が持っていた縄で縛り上げた。

その場にいたモーガンが近づいてきて苦笑いを浮かべていた。

「マリさん、本当に捕まえるとはな」

「私だって遭遇が嫌で避けてたけど、依頼が東で集めてたら来たから捕まえたー」

のんびりと答えながら全員が縛り上げられるの見届けて魔法を解いた。

「氷よ解けて」

「ホォ」

ポタポタと雪解けのように解けていく。ネェージュも魔法を解いた。

「お怪我はありませんか?マリさん」

振り返るとアルヴィンが立っていた。

「近寄りたくもないので魔法で足止めしたので大丈夫です」

「何でだ?」

「臭い」

「プっくく」

マリの返答に吹き出しそうになったところを耐えて笑っているモーガンを突いた。

「確かにあれはやですよねー」

汗と雨風でついた砂や埃が身体中にべっとりとついていて体は黒くなり、変な匂いを辺りに撒き散らしている。

「というわけで早くどっかにやってください」

「わかりました。おい、さっさと歩け!」

アルヴィンは頷くと、ノロノロと歩いているお頭に早く走るように怒鳴るとびくっと肩を揺らしスタスタとキチンと歩き出した。

「ではマリさん申し訳ないのですが、奴隷省へ売り渡す時に売ったお金と捕まえた報酬をお渡すので、明後日の2回目の鐘の時間に中央広場までお越しください」

「了解でーす」

モーガンとアルヴィンと別れ足早に月華の宿に戻り、速攻でお風呂に直行した。
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