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07 薬水
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ごりごりごりごり、と薬草を擦る音が部屋に響く。
普段はペースト状の薬草を使用するディエントは、軽く息を上げていた。
ジッとその作業を見つめるクァイリと、奥の机で書類を書いているアンダス。
30分ほどして、煎じる作業に入る。
自前のトーチを使い、薬草を煎じる。
もちろん、水や薬草の量などは量っていない。
煎じる時間も同じく。
ほどなくして、小びんに薬水ができあがった。
作業の間,少し離れた場所に置かれていた花のテイム,フローリアはその小びんに対して
ざわりざわり,と反応する。
「では、どうぞ?」
挑戦的な笑みで、促す。
クァイリは頷いて、作業に取りかかった。
ほどなくして,机の上に3本の小びんが並ぶことになった。
もちろん品質は問題なく、問題のフローリアも受け入れた。
「……ちなみに、」
なぜか負けた気になるディエント。
別に勝った気も何も感じていないクァイリは、道具を片付ける手を止める。
「何を目的に,私についてくるのですか?」
暗に、反対する理由はない,ということではある。
内心、認めてくれたことに喜びながら,表情に一切出さないクァイリ。
ディエントの問いには、アンダスが答えた。
「私たちはテイムについて研究をしているんですよ」
当たり前だといえば当たり前の研究。
「私は人との関わり合いの歴史と言う観点から、
クァイリはテイムの生態という観点から、
テイムとはどういった生き物なのか、研究しています」
ただ、永く研究されてきた割には、解明されていることは非常に少ない。
だから"ありふれた研究"になったのかもしれないが。
「そうですか」
その答えに、ディエントはそう相槌を打って終わった。
あまり興味がないと分かる返事に、少し残念そうになるアンダス。
薬水を作る器材を片付け終わり,荷造りし終えたクァイリが奥へ行く。
その後ろ姿を、何とも言えない気持ちでディエントは見送る。
(少々、勢いに任せている感じはありますが…)
ウキウキと旅支度をしているであろうクァイリを思う。
気持ちが先走って,周りが見えていない学生を、止めるべきだとアンダスは考える。
一度立ち止まって、ゆっくり考えてみるべきだと。
(…ただ、あの子にとってここの環境は、良いとは言えませんし、)
この研究室にしても、単に隔離しているだけ。
根本的な,この学園全体の環境は、何一つ改善されていない。
一人の人間として、チャンスが来たら迷わず掴むべきだとも、考えていた。
(もしかすると、)
どうにも判断しかねていたアンダスは、ふと思う。
今思えば遠い日々の中、死ぬ間際になって後悔するであろう,あの出来事。
(この子なら……,受け入れられるのかもしれない)
そう
アンダスは迷い、果てに私情を理由に、クァイリの旅立ちを協力することにした。
普段はペースト状の薬草を使用するディエントは、軽く息を上げていた。
ジッとその作業を見つめるクァイリと、奥の机で書類を書いているアンダス。
30分ほどして、煎じる作業に入る。
自前のトーチを使い、薬草を煎じる。
もちろん、水や薬草の量などは量っていない。
煎じる時間も同じく。
ほどなくして、小びんに薬水ができあがった。
作業の間,少し離れた場所に置かれていた花のテイム,フローリアはその小びんに対して
ざわりざわり,と反応する。
「では、どうぞ?」
挑戦的な笑みで、促す。
クァイリは頷いて、作業に取りかかった。
ほどなくして,机の上に3本の小びんが並ぶことになった。
もちろん品質は問題なく、問題のフローリアも受け入れた。
「……ちなみに、」
なぜか負けた気になるディエント。
別に勝った気も何も感じていないクァイリは、道具を片付ける手を止める。
「何を目的に,私についてくるのですか?」
暗に、反対する理由はない,ということではある。
内心、認めてくれたことに喜びながら,表情に一切出さないクァイリ。
ディエントの問いには、アンダスが答えた。
「私たちはテイムについて研究をしているんですよ」
当たり前だといえば当たり前の研究。
「私は人との関わり合いの歴史と言う観点から、
クァイリはテイムの生態という観点から、
テイムとはどういった生き物なのか、研究しています」
ただ、永く研究されてきた割には、解明されていることは非常に少ない。
だから"ありふれた研究"になったのかもしれないが。
「そうですか」
その答えに、ディエントはそう相槌を打って終わった。
あまり興味がないと分かる返事に、少し残念そうになるアンダス。
薬水を作る器材を片付け終わり,荷造りし終えたクァイリが奥へ行く。
その後ろ姿を、何とも言えない気持ちでディエントは見送る。
(少々、勢いに任せている感じはありますが…)
ウキウキと旅支度をしているであろうクァイリを思う。
気持ちが先走って,周りが見えていない学生を、止めるべきだとアンダスは考える。
一度立ち止まって、ゆっくり考えてみるべきだと。
(…ただ、あの子にとってここの環境は、良いとは言えませんし、)
この研究室にしても、単に隔離しているだけ。
根本的な,この学園全体の環境は、何一つ改善されていない。
一人の人間として、チャンスが来たら迷わず掴むべきだとも、考えていた。
(もしかすると、)
どうにも判断しかねていたアンダスは、ふと思う。
今思えば遠い日々の中、死ぬ間際になって後悔するであろう,あの出来事。
(この子なら……,受け入れられるのかもしれない)
そう
アンダスは迷い、果てに私情を理由に、クァイリの旅立ちを協力することにした。
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