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田中神代

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09 真夜中のすれ違い

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 布団に入ろうとしたとき、不意に扉が開いた。
「っ……、」
 反射的に警戒してしまった。
闇になれた目で入り口を見ると、珍しくクァイリがいた。
小脇に古びたカバンを抱えて。
「…珍しいな、こんな時間に」
 こんな時間に,と言うか。
お前が部屋に帰ってくる事自体が、珍しいよな。
「研究はキリが付いたのか?」
「キリ,と言うか、」
 そう口ごもりながら、カバンを抱えて自分のベッドへ行く。
多分、俺との会話よりも研究か何かのことを考えているんだろうけど.
「……明日から,研究しに出ることになった」
「これまでとは違うのか?」
 今までも研究ばかりだっただろ。
研究してない時間の方が少ないだろ。
「あー、っと」
 言いづらそうに、口ごもる。
珍しいな、こいつがハッキリ言わないのは。
「……旅,出ることになった」
「……は?」
 じゃ、おやすみ、とそれだけ言ってベッドへ寝っ転がる。
いやいやいや、言うだけ言って、それはないだろ。
言うべき事も言ってないだろ。
「お前,何で旅なんかに」
「研究しに…」
 いや、お前の事だろうから,そうだろうけど。
「いつからっ?」
「明日  早いから……」
 尻すぼみに答える。
そして次の質問を口にする前に、寝息が聞こえてくる。
「………、いや、唐突過ぎるだろ」
 あれか?
旅人が来たことに関係あるのか?
何か、おもしろい話でも聞いたのか?
「何だよ、くそっ…」
 一言も相談もなしに。
まったく,こいつの考えていることが分かんねぇ。
舌打ちをして、改めてベッドに寝転ぶ。
 スシャータが心配するように、近くによってくる。
頭を撫でながら、天井を見上げた。
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