42 / 580
2章 強さへの道標
040 迷宮で何を優先するか
しおりを挟む
「悪いけど俺には判断できねーわ。2人の意見を聞かせてくれ」
35歳のおっさんが14歳11歳の少年少女に判断を委ねる。まぁリンカーズで言ったら俺って0歳児みたいなもんだし多少はね?
「私としては先に進みたいかなー。オーサンも言ってたけどさ、このまま3階層で戦っていても強くなれない気がするんだよねー」
リーンは進みたいと。
「僕も4階層に進むべきだと思う。確かにお金がかかるけれど、今はそれ以上に稼げているからね。
4階層ではどの程度の収入が見込めるのかも、結局は一度試して確認するしかないわけだし」
シンの言うことは分かりやすいな。今のところ判断材料が不足しているのならば、1回試してみるべきだってことだ。
「へぇ~?あんた達、冒険者を始めてまだ100日も経ってないんじゃなかったかい?もう3階層を突破するなんてなかなかやるじゃないか」
カズラさんが口を挟んでくる。やっぱり3階層の壁で足止めされるケースは多いらしいな。
「トーマがいなかったら、未だに2階層すら満足に回れていなかっただろうけどね。
おかげさまで生活にも余裕が出来たし、お金よりも僕たちの成長を優先しても良い段階だと思うんだ」
成長を優先する、か。
「生活費を稼ぎたいだけならこのまま3階層を回るべきだと思う。でも迷宮に深く潜るほどに、危険度が増す代わりに得られるものも多くなる。
階層を進めることは、戦闘経験とスキル取得には間違いなく有利に働くし、報酬面だって深い階層のほうが基本的に実入りが良いんだ。進める時に進まないのは勿体無いと僕は思う」
若者2人から、先に進みたいという熱意を感じる。
気付かないうちに俺は守りに入ってしまってたのかな。経費がどうとかと悩んでいたのが少し恥ずかしい。
「了解した。最悪金に困ったら階層戻せば良いだけだしな。先に進むとしようか。
あとはいつ進むか、魔法薬はいくつ購入するか、か」
俺も腹をくくる。小さく安定するよりも前に進むべき時だ。
「3階層に上がった時も訓練の翌々日だったし、明日の体調次第では明日進んでしまおう。
カズラさん、明日の朝取りに来るから、下級暗視ポーションを9個ほど用意しておいて貰える?トーマは銀貨9枚ちゃんと払えるよね?」
初日から9個買うのか。いや、足りないよりも多いほうがいいのか。足りなくなったら死に直結するわけだしな。
「大丈夫だ。この後も迷宮行くんだし問題ないよ」
「よーっし!明日は4階層に挑戦だーっ!」
挑むのは良いけど事故るワケには行かない。体調次第では延期もあり得るとちゃんと確認しておいた。
魔法薬は3日くらいは持つらしいし、明日休んでもギリで無駄にはならんだろ。
陽天の報せまではそのままカズラの魔法薬屋を物色して時間を潰す。
魔法薬は簡単に言えば『スキルや魔法の効果を代替するための消耗品』で、製作するには専用のスキルが必要になるらしい。
ただ魔法と比べると、少し応用が利く使い方が出来る魔法薬もあるとか。
その分時間経過で品質劣化が起こるのだと考えると、やっぱり魔法の方が使いやすいような気がする、
製作に専用スキルが必要ということは、カズラさんも昔は、ひょっとしたら今も?迷宮で戦っているわけで、まず間違いなく俺たち3人よりも深い階層まで到達していたことだろう。
職人や商人ですら必要なスキルを得るために魔物と戦うリンカーズでは、その辺を歩いてるおっちゃんが実は迷宮の深階層を闊歩する猛者であったりするのだ。
そりゃあ気軽にテンプレ的な絡み方するチンピラなんて生きていけないわけだ。
鐘がなったので予定通り3階層へ。
明日次第では今日が最後の3階層探索になるかもしれない。卒業試験のつもりで挑んでみるか。
などと気合を入れては見たものの、やはり3階層で苦戦することはなかった。
訓練明けの疲労感マシマシデバフ状態だったけれど問題なく回れた。というか普段より調子良く狩れている気さえしてくる。
なんというか無駄な力が入ってないっていうか?
シンとリーンもなんだか立ち回り方が今までと違うような。次の行動までを、以前よりスムーズに移行しているように見えた。
これがオーサンの訓練による成果なのは間違いないだろうけど、オーサンのおかげで強くなったと考えるとなんか癪だよな。
いや感謝はしてますけどね?オーサンと知り合ってなかったらとっくに死んでたかもしれないってのは大袈裟じゃないだろうし。
想定していたよりも殲滅が早く、体力の消費も感じられなかったので、1度で切り上げる予定を変更して2度探索を行った。
おかげで俺の取り分だけで銀板3枚を超える報酬を得られた。
こうして考えると、1800リーフの経費はそこまで負担が大きいわけではないのかもな。
宿に戻る前に2人の家に行き、2人の前で魔力切れを起こさせてもらった。
意識が無かった時間は「僕の剣を補修再生してる時と同じくらいかな?」と説明されたので、長く見積もっても1時間弱といったところだろう。
意識を取り戻してから吐き気と眩暈が治まって普通に歩けるようになるまで、更にもう1時間前後かかったかな。時計は無いので全て体感でしかないが。
もしも迷宮内で魔力切れを起こしてしまった場合、最短で2時間ほどで動けるようになると思っていいのだろうか。
まだまだ色々検証しないと駄目だなぁ。
35歳のおっさんが14歳11歳の少年少女に判断を委ねる。まぁリンカーズで言ったら俺って0歳児みたいなもんだし多少はね?
「私としては先に進みたいかなー。オーサンも言ってたけどさ、このまま3階層で戦っていても強くなれない気がするんだよねー」
リーンは進みたいと。
「僕も4階層に進むべきだと思う。確かにお金がかかるけれど、今はそれ以上に稼げているからね。
4階層ではどの程度の収入が見込めるのかも、結局は一度試して確認するしかないわけだし」
シンの言うことは分かりやすいな。今のところ判断材料が不足しているのならば、1回試してみるべきだってことだ。
「へぇ~?あんた達、冒険者を始めてまだ100日も経ってないんじゃなかったかい?もう3階層を突破するなんてなかなかやるじゃないか」
カズラさんが口を挟んでくる。やっぱり3階層の壁で足止めされるケースは多いらしいな。
「トーマがいなかったら、未だに2階層すら満足に回れていなかっただろうけどね。
おかげさまで生活にも余裕が出来たし、お金よりも僕たちの成長を優先しても良い段階だと思うんだ」
成長を優先する、か。
「生活費を稼ぎたいだけならこのまま3階層を回るべきだと思う。でも迷宮に深く潜るほどに、危険度が増す代わりに得られるものも多くなる。
階層を進めることは、戦闘経験とスキル取得には間違いなく有利に働くし、報酬面だって深い階層のほうが基本的に実入りが良いんだ。進める時に進まないのは勿体無いと僕は思う」
若者2人から、先に進みたいという熱意を感じる。
気付かないうちに俺は守りに入ってしまってたのかな。経費がどうとかと悩んでいたのが少し恥ずかしい。
「了解した。最悪金に困ったら階層戻せば良いだけだしな。先に進むとしようか。
あとはいつ進むか、魔法薬はいくつ購入するか、か」
俺も腹をくくる。小さく安定するよりも前に進むべき時だ。
「3階層に上がった時も訓練の翌々日だったし、明日の体調次第では明日進んでしまおう。
カズラさん、明日の朝取りに来るから、下級暗視ポーションを9個ほど用意しておいて貰える?トーマは銀貨9枚ちゃんと払えるよね?」
初日から9個買うのか。いや、足りないよりも多いほうがいいのか。足りなくなったら死に直結するわけだしな。
「大丈夫だ。この後も迷宮行くんだし問題ないよ」
「よーっし!明日は4階層に挑戦だーっ!」
挑むのは良いけど事故るワケには行かない。体調次第では延期もあり得るとちゃんと確認しておいた。
魔法薬は3日くらいは持つらしいし、明日休んでもギリで無駄にはならんだろ。
陽天の報せまではそのままカズラの魔法薬屋を物色して時間を潰す。
魔法薬は簡単に言えば『スキルや魔法の効果を代替するための消耗品』で、製作するには専用のスキルが必要になるらしい。
ただ魔法と比べると、少し応用が利く使い方が出来る魔法薬もあるとか。
その分時間経過で品質劣化が起こるのだと考えると、やっぱり魔法の方が使いやすいような気がする、
製作に専用スキルが必要ということは、カズラさんも昔は、ひょっとしたら今も?迷宮で戦っているわけで、まず間違いなく俺たち3人よりも深い階層まで到達していたことだろう。
職人や商人ですら必要なスキルを得るために魔物と戦うリンカーズでは、その辺を歩いてるおっちゃんが実は迷宮の深階層を闊歩する猛者であったりするのだ。
そりゃあ気軽にテンプレ的な絡み方するチンピラなんて生きていけないわけだ。
鐘がなったので予定通り3階層へ。
明日次第では今日が最後の3階層探索になるかもしれない。卒業試験のつもりで挑んでみるか。
などと気合を入れては見たものの、やはり3階層で苦戦することはなかった。
訓練明けの疲労感マシマシデバフ状態だったけれど問題なく回れた。というか普段より調子良く狩れている気さえしてくる。
なんというか無駄な力が入ってないっていうか?
シンとリーンもなんだか立ち回り方が今までと違うような。次の行動までを、以前よりスムーズに移行しているように見えた。
これがオーサンの訓練による成果なのは間違いないだろうけど、オーサンのおかげで強くなったと考えるとなんか癪だよな。
いや感謝はしてますけどね?オーサンと知り合ってなかったらとっくに死んでたかもしれないってのは大袈裟じゃないだろうし。
想定していたよりも殲滅が早く、体力の消費も感じられなかったので、1度で切り上げる予定を変更して2度探索を行った。
おかげで俺の取り分だけで銀板3枚を超える報酬を得られた。
こうして考えると、1800リーフの経費はそこまで負担が大きいわけではないのかもな。
宿に戻る前に2人の家に行き、2人の前で魔力切れを起こさせてもらった。
意識が無かった時間は「僕の剣を補修再生してる時と同じくらいかな?」と説明されたので、長く見積もっても1時間弱といったところだろう。
意識を取り戻してから吐き気と眩暈が治まって普通に歩けるようになるまで、更にもう1時間前後かかったかな。時計は無いので全て体感でしかないが。
もしも迷宮内で魔力切れを起こしてしまった場合、最短で2時間ほどで動けるようになると思っていいのだろうか。
まだまだ色々検証しないと駄目だなぁ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
388
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる