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5章 カルネジア・ハロイツァ
108 カルネジア家の対応
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「朝早くに失礼致します。先日の件での報告に参りました」
朝食の準備をしていると、朝っぱらから来客があった。
まだみんな寝ているので俺が対応したところ、相手はなんとカルマさん。
「詳細はこちらに記してありますので、のちほどご確認ください。
口頭にて簡潔に報告させて頂きますと、まずは冤罪の証明と犯罪奴隷の解放。
諸々公的な手続きが御座いますので、10日ほどお時間を頂きたい。
10日以内に皆様の冤罪を晴らし、ご両親もこちらに、必ずお届けいたします。
それとトーマ様、トルネ様の希望も、当代様にはお伝えしてあります」
話は聞いたけど了承した覚えはない、みたいな言葉遊びじゃないだろうな?
カルマさんに言っても仕方ないことだけど。
「それでは私は、これにて失礼致します。
今回の件で、色々動かなければならないことも多いので」
用件が済むと、カルマさんはさっさと帰ってしまった。
いや全部カルネジア家の自業自得だろ。精々頑張ってくださいな。
朝食の支度に戻ろ。
「つうわけで、さっきカルマさんから報告が来た。
奴隷解放は、最長でも10日ほどで終らせるってさ。2人の両親も、ちゃんとここまで送り届けてくれるらしいよ。
詳細はこの手紙に書いてあるから、適当に読んでくれ」
朝食を食べながらみんなに報告する。
手紙も読んでみたが、リンカーズの法手続きとか詳細に説明されてもわからない。
ただ、口頭では説明されなかったハロイツァの現状も記載されていた。
既に犯罪奴隷印は刻まれ、完全拘束状態のうえ、監視もつけられているそうだ。
仮に一瞬でも逃亡、反抗の意志を見せた時点で処分することを伝えてあり、それなりに従順だそうだ。
そこは死んでもチンピラを貫いて欲しかったよ、ハロイツァくん。
「うん。内容を確認した限り、信用できそうだね。
奴隷印はもう仕方ないとして、なんとか元の生活に戻れそうだよ」
シンが言うなら信用して良さそうだ。
商人教育のおかげで、法律関係の知識も、一般人よりかなり詳しいみたいだからな。
「また父さんと母さんと一緒に暮らせるなんて、夢みたいっ!
早くこの家を2人に見せてあげたいねっ」
「ところで。私とトーマがこのまま一緒に住んでて、大丈夫なんでしょうか?
ご両親も良い気はしないのでは?」
まぁ確かになぁ。俺なんて親父さんに撲殺されそうだ。
自分の留守中に娘と結ばれた男が自宅に住んでて、しかも娘以外にも女作ってるんだもんな。
……俺も自分のことじゃなかったら、死ねって言ってたと思う。
「それは心配ないんじゃないかな。トーマに至っては現在の家の所有者だし。
部屋数も元々余ってるところに、何故か3人が一緒の部屋だから、今も足りてるわけだし」
俺はベッドだけの部屋で70日くらい過ごしてたから、ベッドさえあれば何処でもいいんだよね。荷物もさほどないし。
「どこでもいいなら私の部屋にきなさい!」とリーンセンパイに決められて、その流れにトルネも追従した形だ。
「それじゃあご両親が戻ってくる前に、最低限の家具くらいは準備したほうがいいかな?
それとも本人が帰ってきてから選ばせようか」
「うーん、そうだねえ……。
椅子と食器、あとはベッドくらいは用意したほうがいいかな。帰ってきた初日に買い物に行けるかわからないから。
それ以外のものは、2人で買い物でもしてもらって、ゆっくり揃えてもらおうよ」
話が決まったので、迷宮に行く前に、木工職人の工場によってベッドを注文。
ちなみに俺が使ってるベッドも、ダブルサイズ?のものを新しく注文することにした。
3人で寝るのは、ほんと狭くて寝辛いんだよね、普通サイズだと。
リーンとトルネを嫁に貰うと決めた以上、色々考えて向き合っていかないとなぁ。
そんなことを考えながら迷宮に向かう。
「それじゃあ今日は、12階層行ってみようか」
探索の足は止めない。どんどん先に進もう。
12階層から出現するのは『泥怪人』。
人型で成人男性以上の大きさ、動きは鈍重だが、重量を生かした一撃はなかなかの威力で、体が濡れた泥状なので打撃が効きにくい。
もし捕まってしまうと、見た目以上の怪力と、泥による拘束からの窒息で、それなりに危険な魔物という認識。
ゴーレムなんていう割には生命体らしく、ぶった切ってやれば普通に死ぬらしい。魔力制御核、みたいな物は存在しない。
ドロップは『魔石材』。粘土と共に建築物の材料などに使われる。強度に優れていて経年劣化しにくい建材らしい。単価は50リーフ。
実際に戦ってみると、今更鈍重な魔物に苦戦することもなく、あっさりと殲滅できた。
ただし、メイスやスリングショット、ストーンバレットで攻撃を与えても、泥の体に沈み込むだけで、有効な攻撃手段にはならなかった。
メイスで頭を吹っ飛ばそうとしても、衝撃を殺されてしまうのか、爆散するほどの威力が出せなかった。
加えてマッドゴーレムは、ブラックウルフの遠吠えの影響を受けず、遠吠え中にも襲い掛かってくる唯一の魔物だった。まぁ脅威ではなかったが。
ちなみにドライヤー魔法も有効で、正面の水分を飛ばしてしまうと、動けなくなって絶命するようだ。ただはっきり言って、魔力の無駄遣いでしかない。
マッドゴーレムに梃子摺っている間に、ブラックウルフの遠吠えというコンボは、なかなかに強力かもしれない。打撃に強い耐性を持ち、恐らく痛覚もないマッドゴーレムの耐久性を考えると、なかなかに悪くないタンク役だと思う。
この性能だったらこう運用すると強そうだ、とか考えるのは結構楽しい。
キャラやユニットが多いゲームは沢山あるけど、強キャラを決めうちで使うよりも、状況次第で活きる性能のキャラを組み合わせて、シーンに合わせたデッキを組むようなゲームの方が好きだった。
……うちのメンバーが、全員強キャラ勢になりつつあるのは仕方ない。
だってこれ、現実だもの。
遊び心で死にたくはないよなぁ。
朝食の準備をしていると、朝っぱらから来客があった。
まだみんな寝ているので俺が対応したところ、相手はなんとカルマさん。
「詳細はこちらに記してありますので、のちほどご確認ください。
口頭にて簡潔に報告させて頂きますと、まずは冤罪の証明と犯罪奴隷の解放。
諸々公的な手続きが御座いますので、10日ほどお時間を頂きたい。
10日以内に皆様の冤罪を晴らし、ご両親もこちらに、必ずお届けいたします。
それとトーマ様、トルネ様の希望も、当代様にはお伝えしてあります」
話は聞いたけど了承した覚えはない、みたいな言葉遊びじゃないだろうな?
カルマさんに言っても仕方ないことだけど。
「それでは私は、これにて失礼致します。
今回の件で、色々動かなければならないことも多いので」
用件が済むと、カルマさんはさっさと帰ってしまった。
いや全部カルネジア家の自業自得だろ。精々頑張ってくださいな。
朝食の支度に戻ろ。
「つうわけで、さっきカルマさんから報告が来た。
奴隷解放は、最長でも10日ほどで終らせるってさ。2人の両親も、ちゃんとここまで送り届けてくれるらしいよ。
詳細はこの手紙に書いてあるから、適当に読んでくれ」
朝食を食べながらみんなに報告する。
手紙も読んでみたが、リンカーズの法手続きとか詳細に説明されてもわからない。
ただ、口頭では説明されなかったハロイツァの現状も記載されていた。
既に犯罪奴隷印は刻まれ、完全拘束状態のうえ、監視もつけられているそうだ。
仮に一瞬でも逃亡、反抗の意志を見せた時点で処分することを伝えてあり、それなりに従順だそうだ。
そこは死んでもチンピラを貫いて欲しかったよ、ハロイツァくん。
「うん。内容を確認した限り、信用できそうだね。
奴隷印はもう仕方ないとして、なんとか元の生活に戻れそうだよ」
シンが言うなら信用して良さそうだ。
商人教育のおかげで、法律関係の知識も、一般人よりかなり詳しいみたいだからな。
「また父さんと母さんと一緒に暮らせるなんて、夢みたいっ!
早くこの家を2人に見せてあげたいねっ」
「ところで。私とトーマがこのまま一緒に住んでて、大丈夫なんでしょうか?
ご両親も良い気はしないのでは?」
まぁ確かになぁ。俺なんて親父さんに撲殺されそうだ。
自分の留守中に娘と結ばれた男が自宅に住んでて、しかも娘以外にも女作ってるんだもんな。
……俺も自分のことじゃなかったら、死ねって言ってたと思う。
「それは心配ないんじゃないかな。トーマに至っては現在の家の所有者だし。
部屋数も元々余ってるところに、何故か3人が一緒の部屋だから、今も足りてるわけだし」
俺はベッドだけの部屋で70日くらい過ごしてたから、ベッドさえあれば何処でもいいんだよね。荷物もさほどないし。
「どこでもいいなら私の部屋にきなさい!」とリーンセンパイに決められて、その流れにトルネも追従した形だ。
「それじゃあご両親が戻ってくる前に、最低限の家具くらいは準備したほうがいいかな?
それとも本人が帰ってきてから選ばせようか」
「うーん、そうだねえ……。
椅子と食器、あとはベッドくらいは用意したほうがいいかな。帰ってきた初日に買い物に行けるかわからないから。
それ以外のものは、2人で買い物でもしてもらって、ゆっくり揃えてもらおうよ」
話が決まったので、迷宮に行く前に、木工職人の工場によってベッドを注文。
ちなみに俺が使ってるベッドも、ダブルサイズ?のものを新しく注文することにした。
3人で寝るのは、ほんと狭くて寝辛いんだよね、普通サイズだと。
リーンとトルネを嫁に貰うと決めた以上、色々考えて向き合っていかないとなぁ。
そんなことを考えながら迷宮に向かう。
「それじゃあ今日は、12階層行ってみようか」
探索の足は止めない。どんどん先に進もう。
12階層から出現するのは『泥怪人』。
人型で成人男性以上の大きさ、動きは鈍重だが、重量を生かした一撃はなかなかの威力で、体が濡れた泥状なので打撃が効きにくい。
もし捕まってしまうと、見た目以上の怪力と、泥による拘束からの窒息で、それなりに危険な魔物という認識。
ゴーレムなんていう割には生命体らしく、ぶった切ってやれば普通に死ぬらしい。魔力制御核、みたいな物は存在しない。
ドロップは『魔石材』。粘土と共に建築物の材料などに使われる。強度に優れていて経年劣化しにくい建材らしい。単価は50リーフ。
実際に戦ってみると、今更鈍重な魔物に苦戦することもなく、あっさりと殲滅できた。
ただし、メイスやスリングショット、ストーンバレットで攻撃を与えても、泥の体に沈み込むだけで、有効な攻撃手段にはならなかった。
メイスで頭を吹っ飛ばそうとしても、衝撃を殺されてしまうのか、爆散するほどの威力が出せなかった。
加えてマッドゴーレムは、ブラックウルフの遠吠えの影響を受けず、遠吠え中にも襲い掛かってくる唯一の魔物だった。まぁ脅威ではなかったが。
ちなみにドライヤー魔法も有効で、正面の水分を飛ばしてしまうと、動けなくなって絶命するようだ。ただはっきり言って、魔力の無駄遣いでしかない。
マッドゴーレムに梃子摺っている間に、ブラックウルフの遠吠えというコンボは、なかなかに強力かもしれない。打撃に強い耐性を持ち、恐らく痛覚もないマッドゴーレムの耐久性を考えると、なかなかに悪くないタンク役だと思う。
この性能だったらこう運用すると強そうだ、とか考えるのは結構楽しい。
キャラやユニットが多いゲームは沢山あるけど、強キャラを決めうちで使うよりも、状況次第で活きる性能のキャラを組み合わせて、シーンに合わせたデッキを組むようなゲームの方が好きだった。
……うちのメンバーが、全員強キャラ勢になりつつあるのは仕方ない。
だってこれ、現実だもの。
遊び心で死にたくはないよなぁ。
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