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7章 更なる強さを求めて
201 リーネの可能性
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迷宮の安らぎ亭で、これでもかと英気を養った。
日も落ちてきたので家に帰ろう。
みんなで夕食を済ませ、栄光の運び手には近々、自宅近くに購入した広めの物件に移ってもらうことを伝えた。以前家具は注文してあったし、ジーンさんに頼んで、20人以上が住めるように手を入れてもらっていたのだ。
後から入った参加者は専用の食者でベッドで寝泊りしているのに、最古参パーティである栄光の運び手がいつまでも床に雑魚寝では格好がつかない。
栄光の運び手の子供たちはそれでも自宅で良いと言っていたが、ここは自宅であって宿舎じゃないからな。他の参加者から不満が漏れて来ても困るし。カンパニーのためということで納得してもらった。
「はぁーっ!?信っじらんないっ!なにその男-っ!」
「まぁ、場所や家によって様々な慣習や考え方があるものですが……。マーサルシリルさんの気持ちを考えると、同情の余地はありませんね」
「うん。女の子がそこまではっきり言ったのに、それでもなおマーサルシリルさんの気持ちよりも、自分自身を優先させたってことだもんね。
仮に一緒になっても、幸せになれるとは思えないかな」
ミルズレンダとヴェルトーガの話をしたが、やっぱり女性陣の関心はミルズレンダでの一件のほうに集まっているようだ。
「そんでシン。ベイクにも狩人ギルドってあるんだよな?いままで知らなかったけど」
「あるよ。僕も盲点だったなぁ。狩人って冒険者よりも敷居が高いからさ。狩人ギルドを利用する機会があるなんて思ってなかったんだよね。
言われてみれば、狩人こそ街の外の魔物の専門家だからね。真っ先に思い当たるべきだったよ」
ディオーヌ様からの情報で、シンも得心がいったのなら、期待できそうだな。
じゃあ明日はマーサを迎えに行って、帰ってきたら狩人ギルドを覗いてみるとするか。
っと、女子組のノリについていけないのか、リーネが居心地悪そうに縮こまっているな。
「リーネ。ここの生活には慣れてきた?」
「えっ、あっはっ、はい……!まだまだ力不足ですけど、生活自体には少しずつ慣れてきました……」
「そうか。無理はしなくていいぞ。今日はどんな仕事をしたんだ?」
「はい……。いつも通り、リンシアさんのお料理の手伝いと、読み書き、計算を練習していました。日没前に宿舎を洗浄をして、夕食を取りに来た皆さんに洗浄をかけながら、夕食を配りました……」
「なるほど。お疲れ様。その調子で無理なく……、ってちょっと待った。
えっと、リーネ。夕食を取りに来たカンパニーの人たち皆に洗浄をかけたの?魔力大丈夫だった?」
「え?はい。大丈夫でしたよ……?生活魔法は消費が少ないって聞いていましたし、魔力切れも先日試しましたから……。
洗浄をいくら使っても、魔力切れになりそうだとは感じませんでした……よ?」
……マジで?
夕食を取りに来るカンパニーのメンバーって、栄光の運び手を含めると60人弱だよな?
宿舎6つの洗浄を済ませた直後に全員に洗浄を使用しても余裕とか、魔力めちゃくちゃ多くね?
「シンよ。今の話どう思う?
リーネってスキルを覚えられないし、魔法を覚えたのだって極々最近だ。いくら洗浄が生活魔法って言ったって、魔力量多すぎる気がしないか?」
「言われてみれば……。今の僕たちは訓練もしてスキルも得ているから忘れがちだけど、トーマに購入してもらって魔法を覚えさせられたときは、音魔法ですらそこまで長時間使えなかった……。
洗浄は生活魔法の中でも比較的消費が多いし、何の訓練も詰んでいない人間が、60人近い人間に一気に洗浄を使用しているのに、魔力切れの兆候すらない……?」
どういうことだ?
魔力には生まれつき個人差があって、たまたまリーネには天才的な魔力が宿っていた……?
なくはないかも知れないが、いまいち説得力が弱いな。
他の皆とリーネの違い。まぁすぐに思いつくのが、迷宮に入れないってところだよな。
……そういえば。
「なぁリーネ。リーネには辛いことかもしれないけど、1個確認させてくれ。
リーネって迷宮に入ると、段々気持ち悪くなって、最終的に意識がなくなっちゃうんだよな?
それってさ。最近試した魔力切れの症状と似てたりしないか?」
「えっ?あ、言われてみれば……。迷宮に最後に入ったのはもう12年も前なので、うろ覚えになりますけど……。
改めて言われてみれば、似ているかもしれません……?」
「そっかそっか。そして初めの頃は意地になって、何度も試しては気絶してしまっていたんだよな?」
「はい……。今となっては、当時は皆に迷惑をかけてしまったなと思っています……」
ん~。原理はさっぱり分からないけど。でもそれしか考えられないよな?
「だそうだけど。どう思うよ?」
「……トーマ。そんなことってありえるの?
つまりリーネは、迷宮に入ると魔力が吸われて魔力切れを起こしてしまう体質で、そのおかげで今は大量の魔力を持っている。そう言いたいんでしょ……?」
「…………え?」
「原理はさっぱり分からないが、そう考えると辻褄が合う。こりゃ攻撃魔法も覚えさせてみたほうがいいな。
リーネ。近々俺たちは迷宮の外で魔物を狩ることになるかもしれない。その時にお前を連れていきたいから、戦闘訓練は真剣に取り組んでおくようにな」
「えっえっ、ええええええ……!?」
「俺たちに混じって戦えなんて言わないって。ただ、迷宮に入れないだけで、迷宮外の魔物と戦える可能性があるなら、お前の選べる将来の可能性が少し広がるわけだから、魔物狩りに同行してもらって試しておきたいんだよね」
「私が、魔物と戦える可能性……?」
「無理なら無理で構わねぇんだけどな。ま、今まで通り真面目に訓練してくれれば問題ないよ」
素の魔力量が多ければ多いほど、魔力量増加の効果も高まるからな。下手すると空間魔法の使い手になれる素質まであるんじゃないか?
「……なんだか、思っていた以上に変わった人材みたいだね、リーネは」
「ああ、流石にスキルのある俺たちのほうが上だとは思うけど、スキルが同じだったら、多分リーネのほうが魔力多い気がするな。
まったく、こんな才能が人知れず消えかかってたなんて、考えるだけで恐ろしい」
大体、リンカーズって世界の99%はまだ未開領域なわけだから、迷宮に入れなくっても全く問題なく戦う人生を送れるんだよな。誰かの助けがあれば、の話だけど。
なんにしてもシンが言うとおり、思った以上に面白い才能だった。
リーネが呪われているとか言ってた奴はアホだな。
こんな才能の塊みたいな奴、世界に愛されてるに決まってる。
日も落ちてきたので家に帰ろう。
みんなで夕食を済ませ、栄光の運び手には近々、自宅近くに購入した広めの物件に移ってもらうことを伝えた。以前家具は注文してあったし、ジーンさんに頼んで、20人以上が住めるように手を入れてもらっていたのだ。
後から入った参加者は専用の食者でベッドで寝泊りしているのに、最古参パーティである栄光の運び手がいつまでも床に雑魚寝では格好がつかない。
栄光の運び手の子供たちはそれでも自宅で良いと言っていたが、ここは自宅であって宿舎じゃないからな。他の参加者から不満が漏れて来ても困るし。カンパニーのためということで納得してもらった。
「はぁーっ!?信っじらんないっ!なにその男-っ!」
「まぁ、場所や家によって様々な慣習や考え方があるものですが……。マーサルシリルさんの気持ちを考えると、同情の余地はありませんね」
「うん。女の子がそこまではっきり言ったのに、それでもなおマーサルシリルさんの気持ちよりも、自分自身を優先させたってことだもんね。
仮に一緒になっても、幸せになれるとは思えないかな」
ミルズレンダとヴェルトーガの話をしたが、やっぱり女性陣の関心はミルズレンダでの一件のほうに集まっているようだ。
「そんでシン。ベイクにも狩人ギルドってあるんだよな?いままで知らなかったけど」
「あるよ。僕も盲点だったなぁ。狩人って冒険者よりも敷居が高いからさ。狩人ギルドを利用する機会があるなんて思ってなかったんだよね。
言われてみれば、狩人こそ街の外の魔物の専門家だからね。真っ先に思い当たるべきだったよ」
ディオーヌ様からの情報で、シンも得心がいったのなら、期待できそうだな。
じゃあ明日はマーサを迎えに行って、帰ってきたら狩人ギルドを覗いてみるとするか。
っと、女子組のノリについていけないのか、リーネが居心地悪そうに縮こまっているな。
「リーネ。ここの生活には慣れてきた?」
「えっ、あっはっ、はい……!まだまだ力不足ですけど、生活自体には少しずつ慣れてきました……」
「そうか。無理はしなくていいぞ。今日はどんな仕事をしたんだ?」
「はい……。いつも通り、リンシアさんのお料理の手伝いと、読み書き、計算を練習していました。日没前に宿舎を洗浄をして、夕食を取りに来た皆さんに洗浄をかけながら、夕食を配りました……」
「なるほど。お疲れ様。その調子で無理なく……、ってちょっと待った。
えっと、リーネ。夕食を取りに来たカンパニーの人たち皆に洗浄をかけたの?魔力大丈夫だった?」
「え?はい。大丈夫でしたよ……?生活魔法は消費が少ないって聞いていましたし、魔力切れも先日試しましたから……。
洗浄をいくら使っても、魔力切れになりそうだとは感じませんでした……よ?」
……マジで?
夕食を取りに来るカンパニーのメンバーって、栄光の運び手を含めると60人弱だよな?
宿舎6つの洗浄を済ませた直後に全員に洗浄を使用しても余裕とか、魔力めちゃくちゃ多くね?
「シンよ。今の話どう思う?
リーネってスキルを覚えられないし、魔法を覚えたのだって極々最近だ。いくら洗浄が生活魔法って言ったって、魔力量多すぎる気がしないか?」
「言われてみれば……。今の僕たちは訓練もしてスキルも得ているから忘れがちだけど、トーマに購入してもらって魔法を覚えさせられたときは、音魔法ですらそこまで長時間使えなかった……。
洗浄は生活魔法の中でも比較的消費が多いし、何の訓練も詰んでいない人間が、60人近い人間に一気に洗浄を使用しているのに、魔力切れの兆候すらない……?」
どういうことだ?
魔力には生まれつき個人差があって、たまたまリーネには天才的な魔力が宿っていた……?
なくはないかも知れないが、いまいち説得力が弱いな。
他の皆とリーネの違い。まぁすぐに思いつくのが、迷宮に入れないってところだよな。
……そういえば。
「なぁリーネ。リーネには辛いことかもしれないけど、1個確認させてくれ。
リーネって迷宮に入ると、段々気持ち悪くなって、最終的に意識がなくなっちゃうんだよな?
それってさ。最近試した魔力切れの症状と似てたりしないか?」
「えっ?あ、言われてみれば……。迷宮に最後に入ったのはもう12年も前なので、うろ覚えになりますけど……。
改めて言われてみれば、似ているかもしれません……?」
「そっかそっか。そして初めの頃は意地になって、何度も試しては気絶してしまっていたんだよな?」
「はい……。今となっては、当時は皆に迷惑をかけてしまったなと思っています……」
ん~。原理はさっぱり分からないけど。でもそれしか考えられないよな?
「だそうだけど。どう思うよ?」
「……トーマ。そんなことってありえるの?
つまりリーネは、迷宮に入ると魔力が吸われて魔力切れを起こしてしまう体質で、そのおかげで今は大量の魔力を持っている。そう言いたいんでしょ……?」
「…………え?」
「原理はさっぱり分からないが、そう考えると辻褄が合う。こりゃ攻撃魔法も覚えさせてみたほうがいいな。
リーネ。近々俺たちは迷宮の外で魔物を狩ることになるかもしれない。その時にお前を連れていきたいから、戦闘訓練は真剣に取り組んでおくようにな」
「えっえっ、ええええええ……!?」
「俺たちに混じって戦えなんて言わないって。ただ、迷宮に入れないだけで、迷宮外の魔物と戦える可能性があるなら、お前の選べる将来の可能性が少し広がるわけだから、魔物狩りに同行してもらって試しておきたいんだよね」
「私が、魔物と戦える可能性……?」
「無理なら無理で構わねぇんだけどな。ま、今まで通り真面目に訓練してくれれば問題ないよ」
素の魔力量が多ければ多いほど、魔力量増加の効果も高まるからな。下手すると空間魔法の使い手になれる素質まであるんじゃないか?
「……なんだか、思っていた以上に変わった人材みたいだね、リーネは」
「ああ、流石にスキルのある俺たちのほうが上だとは思うけど、スキルが同じだったら、多分リーネのほうが魔力多い気がするな。
まったく、こんな才能が人知れず消えかかってたなんて、考えるだけで恐ろしい」
大体、リンカーズって世界の99%はまだ未開領域なわけだから、迷宮に入れなくっても全く問題なく戦う人生を送れるんだよな。誰かの助けがあれば、の話だけど。
なんにしてもシンが言うとおり、思った以上に面白い才能だった。
リーネが呪われているとか言ってた奴はアホだな。
こんな才能の塊みたいな奴、世界に愛されてるに決まってる。
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