異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
320 / 580
8章 異風の旋律

288 スタンピード⑤ 小休止

しおりを挟む
「あれ? ここにも魔物いねぇの?」


 急いで引き返して前線部隊と合流したのだが、なぜか戦闘が行われていなかった。


「いやいやいや! アンタが魔物を皆殺しにしてったんじゃねぇか! なんでアンタが分かってねぇんだよ!?」

「あら? じゃあアレで全部なのかな?
 とりあえず目に見える魔物は殺してきたから、みんなは少し休んでて。まだ終わったとは思えないし」

「なにサラッと皆殺し宣言してんだよ……。ま、まぁありがたく休ませて貰うぜ……!」


 言うなり地面に腰を下ろす面々。やっぱ疲労がたまってるよな。
 
 でも俺はあんまり疲れてる気もしないんだよなぁ。リカバーの必要性も感じない。
 まぁ疲れてないならいいか、とりあえずリーンとトルネの方に加勢しようか。嫁贔屓で。


 リーンとトルネの居る場所までを、横になぎ払うように殲滅していく。

 そうか。自分の動きの粗が目立つなと思っていたけど、これって五感強化のおかげなのかな?
 自分の動きのより細かい部分まで感じ取れるようになっている。

 殺す。殺す。魔物を殺す。一心不乱に魔物を殺す。
 スキルのおかげか、全然疲労を感じない。
 これじゃまるで自分の体がゲームキャラになってしまったようだなぁ。

 疲労ゲージのない無双ゲームをやってる気分。

 いくつの部隊の前を通ったのか覚えてないけど、みんな消耗は見られるけど、闘志に衰えを感じさせない。

 殲滅しながら途中の櫓にちょいちょい登って、大型魔物の接近を確認してみるけど、グランドドラゴンやアサルトドラゴンの影は今のところ見えないな。
 このまま心核魔獣までは打ち止めになるんだったら助かるんだけどなぁ。


「ト、トウマ!? なんでこんなところにいるんですか!?」

「あ、トルネ発見。リーンも近くにいるのかな?
 いや中央付近に魔物がいなくなっちゃってさ。暇になったから様子を見にね」

「なんで中央付近が真っ先に殲滅完了してるんですかーーーっ!!」

「まぁまぁトルネ。積もる話は後にして、まずは殲滅の方片付けちゃおうぜ」

「なんでそんな軽いノリで殲滅片付けちゃおうぜ、なんて言えるんですかもーーっ!!」


 トルネも元気だな。疲労どころか普段より元気に叫んでる。

 さて、今まで頑張ってくれた嫁に、少しでも楽をさせてやらないとな。



「えええ……。ホントに殺し尽くしちゃったんですけど、なんなんですかこの人ぉ……」

「じゃあこのままリーンのところまで行ってくるから、トルネは不測の事態に備えつつ休憩しててよ、っとそうだ」


 ついでにトルネを抱き寄せて唇を奪っておく。


「あ、うん……。いってらっしゃい……」


 ま、頑張ったご褒美だな。俺の。


 いやぁそれにしても戦線が長いわ。両翼に辿り着くのも一苦労だね。
 迷宮殺しの時みたいに魔物を無視できれば、大した距離でもないんだろうけどなぁ。


「あ、トーマ! 我慢できなくて私に会いに来ちゃったのー!?」

「そうそう。大好きなリーンに会いに来たんですよ。大分余裕がありそうだな」

「いやいやトーマに余裕云々言われたくないなー。端のほうの魔物の勢いは収まってきてるみたいだねー」

「へぇ? それじゃカルネジア家にまでは加勢に行かなくていいか。
 そんじゃここ殺し切ったら、シンの方も見てくるよ」

「ふふ、兄さんをお願いね? 私の旦那様は頼りになるねー」


 リーンと一緒に魔物を殲滅する。

 改めて見るとスネークソードってホント優秀な武器だよなぁ。
 そりゃマーサに上位互換を要求するわけだわ。

 リーンともキスを交わして、来た道を走って戻る。
 どうやら魔物が再度現れているところはないみたいだな。

 せっかくなので通りがかったついでに、トルネにもう1度キスをしていく。
 位置が良かったなトルネ。1回儲けたわ。俺が。


 中央に戻って確認したけど、やはり魔物は現れていないらしい。
 本当に、これで乗り切れたのか……?

 反対側の部隊も、大型魔物に梃子摺っているところは多かったようだが、人死には出ていないということで何よりだ。
 全体確認が終わるまではなんとも言えないが、犠牲者セロ人ってのが結構現実味を帯びてきた気がするな。


「あれ? トーマ。中央はもういいの?」

「ああ、中央もリーンの方も片付けてきた。ってことで加勢に来たんだ」

「うわ、リーンの方も片付けてきたの? 今頃ハルがドン引きしてる気がするよ……」


 軽口を叩きながらも殲滅を開始。
 やっぱ一番長い付き合いだからか、シンとの連携が一番取りやすいな。得物がロングソード同士ってのもあるのかも知れないけど。

 それにしても、心緑の流刃はほんと綺麗な武器だなぁ。
 っていうか、魔装術や攻撃範囲拡張まで薄く緑がかっている。あれって多分魔法効果なんだろうな。


「トーマさぁ。なんかまた早くなってない?」

「うん。上から見てたけど気持ち悪かったよ? なんで離れた視点からでも追えないような動きしてるのかな」


 殲滅が済んで、ハルも櫓から降りてきた。
 しかし、ハルも五感強化取ってるんだから、あとは慣れの問題じゃないかな。


「うん。今トーマが絶対見当ハズレなこと考えてるって思うな。
 明らかにトーマが早くなってるからね?」

「俺の事はまず置いといてだな。シンはどう思う? これで魔物の波は終わったと思うか?」

「ん……。流石に迷宮の氾濫の知識はないから、判断できないね……。
 ただ殺してきた迷宮の深さを考えると、ここで終わっても不思議ではないかなって思う」

「つまり、独断で動くのはちょっと危険そうだな。シンはカルネジア家の殲滅を手伝ってもらえるか? 多分リーンも反対側の殲滅を手伝ってると思うしな」

「そうだね。そして殲滅が終わったら、またここで待機してるよ。
 総指揮のエルハの指示があるまでは、僕達は持ち場で待機しておいた方がいいでしょ」

「了解だ。じゃ俺はこのまま中央に戻るな。2人とも最後まで気をつけて」


 2人と別れて持ち場に戻る。やはり魔物はいなかった。

 さて、魔物の氾濫自体は乗り切ったかな?
 リヴァーブ王国って戦争って概念がないから、大規模な軍事集団って今までいなかったんだろうな。

 氾濫した迷宮が1箇所だったなら、大規模な部隊を編成して上手く指揮を取れば、俺達がいなくても被害を出さずに氾濫を乗り越えられる気がする。
 今回ボールクローグの戦士達の実力を見て、本当にそう感じた。

 王家の次に偉い四大精霊家カルネジア家の私兵が250人だもんなぁ。小規模過ぎる。

 ま、それだけ人間同士の争いが少ない世界ってことなんだろうけどさ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...