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11章 新たな都市の建設
430 スキル神殿の誘致
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ダイナミック自殺から一夜明け、今日はネヴァルドでスキル神殿の誘致に関する話を聞きにいく。
ネヴァルドの冒険者ギルドに到着すると、1人の鳥系獣人が俺を待っていた。
「お初にお目にかかります。私はスキル神殿の神殿長を務めさせて頂いている『ダイバース』と申します。
貴方が、スキル神殿の建設を望んでいるというトーマさんで間違いないですか?」
「間違いありません。初めまして、トーマです。
新しい街を建設しますので、そこに新たなスキル神殿を建てたくて、本日はお話を伺いに参りました。
どうぞ宜しくお願いします」
冒険者ギルドの会議室をお借りして、ダイバースさんにルイナスリームの説明をする。
「なるほど。新しい都市ですか。費用の負担と送迎さえして頂ければ、我々はすぐにでも神殿の建設と、儀式魔法陣の設置に取り掛かれますよ」
「それは有り難いです。建設費用は勿論こっちで出しますので、どうぞ宜しく。
それでですね、実は儀式魔法陣をなるべく大きなものにしたいのですけど、そういった事は可能でしょうか?」
「大きな儀式魔法陣ですか? 究極的には可能ですけど、色々問題が山積みですよ? それらを解決できるのであれば、建設と設置には協力を惜しみません」
「なるほど。それでは解決すべき問題について教えてもらえますか」
「ええ。まず当然ですが設置場所ですね。巨大な魔法陣を設置する広大な土地が必要です。祝福の儀と識別は一組ですからね。2つの魔法陣を余裕を持って設置出来る広い土地。これが1つ」
まぁ土地は大丈夫だろうな。なんの問題もない。
「次に、巨大魔法陣を扱えるスキル担当官を用意すること。儀式魔法陣が巨大化するほど、消費魔力は増加していきます。
大きさにもよりますが、普通のスキル担当官では満足に起動させられないかもしれません」
魔力はなー。
俺が祝福の儀の魔法陣を使えれば手っ取り早いんだけど、そのへんどうなのかなー?
「そして最も問題なのが材料の調達です。儀式魔法陣には心核と呼ばれる、大変稀少で高価な素材が必要となります。
通常のスキル神殿に設置している魔法陣で、ちょうど心核1つ分なのですよ。
広くしたいのであれば、それだけ心核が必要になります。ですが心核は狙って入手出来る物ではありませんから」
「あ、心核は10個ずつ、合計20個までなら出せますよ。心核さえ用意できれば可能なんですか?」
「――――は? 今、なんと……?」
「え? ですから心核を20個までならご用意可能ですよって」
「……いやいやいや。心核って20個も個人で所有できるものじゃないでしょう? なにを仰っているんですか?
仮に手に入れたとして、どうやって入手したのですか?」
おおすげぇ。マーサはあれだけ取り乱したのに、ダイバースさんは冷静なままだ。
「調べてもらえば分かると思いますが、先日ボールクローグで迷宮が大量発生する事件がありまして。最終的に100近い迷宮が現れ、冒険者に討伐されました。
その際に俺らのパーティは結構頑張って迷宮殺しをしましたから、心核をある程度確保できたんですよ」
「なる、ほど……。その話で思い出しました。先日ボールクローグからスキル担当官の数が足りないとの要請を受けて、応援人員を派遣したんですよね。
なるほどなるほど。トーマさんの話には信憑性があるようだ。
済みませんがトーマさん。スキル神殿の建設予定地を1度見せてもらえませんか? 実際どのような場所なのか、私自身の目で確認したいのです」
「勿論大丈夫ですよ。俺はゲートが使えるので、ダイバースさんの都合が良ければ今からでも行けますよ」
すぐに見に行きたいという話だったので、ダイバースさんを連れてルイナスリームに戻った。
「とりあえず街の中心近くに通常の神殿を、街の外に10倍の大きさの魔法陣を置きたいと思ってます。
実際に土地をご覧になって、設置は可能そうですかね?」
「通常の神殿の他に、巨大魔法陣を設置する理由はなんなのですか? スキル神殿を2つも設置する意味が理解できませんが」
「ええ。実は魔物ではない生物が、国境壁の外で生き残っていることが分かりまして。魔物ではないので、彼らはスキルを取得することが出来るんです。ですが体格的な問題で、今の魔方陣に入ることが出来なくて。
ここルイナスリームでは、そういう生物達にもリーゼリア様、ラーゼリア様の恩寵を齎してあげたいと思ってるんです」
「なんと……! スキルを覚えられる生き物が、国境壁外で生き延びていたのですか……!
それは……、なんと素晴らしいことなのでしょう……!」
予想外の反応にぎょっとしてしまった。
ダイバースさん、感極まって泣いているんだが。
え、実際の動物に会ってもいないうちから泣くの?
「ああ、トーマさんは異邦人でしたね。でしたらご存じなくても仕方ありません。
リヴァーブ王国建国史を紐解くと、太古の昔には人と手を取り合って魔物に立ち向かった、様々な生物たちが登場するんです。
長い時間を経て、彼らとまた手を取り合うことが出来るなんて……。
リーゼリア様、ラーゼリア様、貴女達の導きに感謝致します……!」
「なるほど。彼らは遥か昔から俺達人間の隣人だったのですね。
ではなおさら、彼らのための儀式魔法陣を用意してあげたい想いが強くなりました。
ダイバースさん。巨大魔法陣の設置、どうかお願いできませんか?」
「ええ、むしろこちらの方からお願いしたいくらいですよ。
ありがとうトーマさん。こんな素敵な事に携われるなんて、夢のようですよ……!
すぐに建設の手配を進めて参ります。心核は1番最後に必要になりますので、その時になったらお譲りください」
なんか俺が思っていたよりも、スナネコやガルムたちは俺達の親しい隣人として、この世界の人々に認知されていたようだ。
そのおかげで神殿の士気がめっちゃ高い。
ま、宗教関係は敵に回したくないもんな。
味方でいてくれるなら、それに越した事はないか。
ネヴァルドの冒険者ギルドに到着すると、1人の鳥系獣人が俺を待っていた。
「お初にお目にかかります。私はスキル神殿の神殿長を務めさせて頂いている『ダイバース』と申します。
貴方が、スキル神殿の建設を望んでいるというトーマさんで間違いないですか?」
「間違いありません。初めまして、トーマです。
新しい街を建設しますので、そこに新たなスキル神殿を建てたくて、本日はお話を伺いに参りました。
どうぞ宜しくお願いします」
冒険者ギルドの会議室をお借りして、ダイバースさんにルイナスリームの説明をする。
「なるほど。新しい都市ですか。費用の負担と送迎さえして頂ければ、我々はすぐにでも神殿の建設と、儀式魔法陣の設置に取り掛かれますよ」
「それは有り難いです。建設費用は勿論こっちで出しますので、どうぞ宜しく。
それでですね、実は儀式魔法陣をなるべく大きなものにしたいのですけど、そういった事は可能でしょうか?」
「大きな儀式魔法陣ですか? 究極的には可能ですけど、色々問題が山積みですよ? それらを解決できるのであれば、建設と設置には協力を惜しみません」
「なるほど。それでは解決すべき問題について教えてもらえますか」
「ええ。まず当然ですが設置場所ですね。巨大な魔法陣を設置する広大な土地が必要です。祝福の儀と識別は一組ですからね。2つの魔法陣を余裕を持って設置出来る広い土地。これが1つ」
まぁ土地は大丈夫だろうな。なんの問題もない。
「次に、巨大魔法陣を扱えるスキル担当官を用意すること。儀式魔法陣が巨大化するほど、消費魔力は増加していきます。
大きさにもよりますが、普通のスキル担当官では満足に起動させられないかもしれません」
魔力はなー。
俺が祝福の儀の魔法陣を使えれば手っ取り早いんだけど、そのへんどうなのかなー?
「そして最も問題なのが材料の調達です。儀式魔法陣には心核と呼ばれる、大変稀少で高価な素材が必要となります。
通常のスキル神殿に設置している魔法陣で、ちょうど心核1つ分なのですよ。
広くしたいのであれば、それだけ心核が必要になります。ですが心核は狙って入手出来る物ではありませんから」
「あ、心核は10個ずつ、合計20個までなら出せますよ。心核さえ用意できれば可能なんですか?」
「――――は? 今、なんと……?」
「え? ですから心核を20個までならご用意可能ですよって」
「……いやいやいや。心核って20個も個人で所有できるものじゃないでしょう? なにを仰っているんですか?
仮に手に入れたとして、どうやって入手したのですか?」
おおすげぇ。マーサはあれだけ取り乱したのに、ダイバースさんは冷静なままだ。
「調べてもらえば分かると思いますが、先日ボールクローグで迷宮が大量発生する事件がありまして。最終的に100近い迷宮が現れ、冒険者に討伐されました。
その際に俺らのパーティは結構頑張って迷宮殺しをしましたから、心核をある程度確保できたんですよ」
「なる、ほど……。その話で思い出しました。先日ボールクローグからスキル担当官の数が足りないとの要請を受けて、応援人員を派遣したんですよね。
なるほどなるほど。トーマさんの話には信憑性があるようだ。
済みませんがトーマさん。スキル神殿の建設予定地を1度見せてもらえませんか? 実際どのような場所なのか、私自身の目で確認したいのです」
「勿論大丈夫ですよ。俺はゲートが使えるので、ダイバースさんの都合が良ければ今からでも行けますよ」
すぐに見に行きたいという話だったので、ダイバースさんを連れてルイナスリームに戻った。
「とりあえず街の中心近くに通常の神殿を、街の外に10倍の大きさの魔法陣を置きたいと思ってます。
実際に土地をご覧になって、設置は可能そうですかね?」
「通常の神殿の他に、巨大魔法陣を設置する理由はなんなのですか? スキル神殿を2つも設置する意味が理解できませんが」
「ええ。実は魔物ではない生物が、国境壁の外で生き残っていることが分かりまして。魔物ではないので、彼らはスキルを取得することが出来るんです。ですが体格的な問題で、今の魔方陣に入ることが出来なくて。
ここルイナスリームでは、そういう生物達にもリーゼリア様、ラーゼリア様の恩寵を齎してあげたいと思ってるんです」
「なんと……! スキルを覚えられる生き物が、国境壁外で生き延びていたのですか……!
それは……、なんと素晴らしいことなのでしょう……!」
予想外の反応にぎょっとしてしまった。
ダイバースさん、感極まって泣いているんだが。
え、実際の動物に会ってもいないうちから泣くの?
「ああ、トーマさんは異邦人でしたね。でしたらご存じなくても仕方ありません。
リヴァーブ王国建国史を紐解くと、太古の昔には人と手を取り合って魔物に立ち向かった、様々な生物たちが登場するんです。
長い時間を経て、彼らとまた手を取り合うことが出来るなんて……。
リーゼリア様、ラーゼリア様、貴女達の導きに感謝致します……!」
「なるほど。彼らは遥か昔から俺達人間の隣人だったのですね。
ではなおさら、彼らのための儀式魔法陣を用意してあげたい想いが強くなりました。
ダイバースさん。巨大魔法陣の設置、どうかお願いできませんか?」
「ええ、むしろこちらの方からお願いしたいくらいですよ。
ありがとうトーマさん。こんな素敵な事に携われるなんて、夢のようですよ……!
すぐに建設の手配を進めて参ります。心核は1番最後に必要になりますので、その時になったらお譲りください」
なんか俺が思っていたよりも、スナネコやガルムたちは俺達の親しい隣人として、この世界の人々に認知されていたようだ。
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