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第4話 アーティファクト
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「ぎしゃああああ」
人の何倍もの身の丈を持つトカゲが雄叫びを上げ、突っ込んで来る。
私は手に魔力を宿らせ、それを刃状に変えて迎え撃つ。
「五月蠅いわね」
手を薙ぐと、トカゲは気持ちの悪い青い体液をばら撒いて真っ二つになる。
バジリスク。
魔物としてはかなり高位に分類され。
討伐には入念な準備の下、数十人で行われるのが通例の強力なモンスターだ。
だが、聖女を目指すべく自信を完全に仕上げている私の敵ではない。
私はバジリスクの体液で汚れた床の上を、特に気にも留めず歩いて進む。
目指すは最奥にある遺物だ。
聖乙女伝説には育成パートの他に、休日を利用してのダンジョン探索パートも用意されている。
但しレベル制では無いので、魔物を倒しても能力は上がらないし、そのクリア報酬であるアーティファクトも特にゲーム内で使われる事は無い。
言ってしまえば只の趣味的要素でしかないのだ。
だがそれはゲーム内……ハッピーエンド(最悪ノーマル)で終わった場合の話。
実はアーティファクトには強力な能力が備わっており、それは世界を滅ぼす程の邪心に対抗する力だったりする。
それがゲーム内で使われないのは、邪心が復活するとその時点でバッドエンドとなって残念なスタッフロールが流れてしまうためだ。
「あった」
遺跡の最奥では巨大な扉が私の行く手を阻む。
私は魔法を唱え、封印を開放する。
すると扉は音も無く消え去り、遺跡の心臓部を私へと晒す。
奥には槍を模ったアーティファクトが鎮座され。
その手前には巨大な蛇がとぐろを巻いている。
それは只の蛇ではない。
頭部が美しい女性の上半身を持つ危険な魔物。
ラミアクイーンだ。
こいつと戦うには、戦闘用のステータスが最低50は必要になる。
だが今の私は限界突破を繰り返している為、そのステータスは低い物でも200を超えていた。
私の敵ではない。
「消えなさい」
此方に気づき、動き出すよりも早く。
私は魔法でラミアクイーンを粉々に消し飛ばした。
「一つ目」
槍は仄かに暖かい。
手に取ると、そこに秘められた力がよく分かる。
やはりゲームの設定どおりだ。
私の目的は只一つ。
邪神を復活させ、この手で葬る事。
その為にはアーティファクトが必要なのだ。
何故そんな真似をするのか?
それは勿論、聖女エリスを失脚させ。
世界を救ったヒロインとして返り咲くためよ。
きっと王子も世界を救えば、もう一度私の元に戻って来てくれるはずだ。
エリスには少し可哀そうだけど、彼女には邪神との戦いで死んでもらうわ。
「ふふふ。あの子のせいで私は全てを失ったのだから、そうなってもしょうがないわよね?」
私は槍を手に遺跡を後にする。
人の何倍もの身の丈を持つトカゲが雄叫びを上げ、突っ込んで来る。
私は手に魔力を宿らせ、それを刃状に変えて迎え撃つ。
「五月蠅いわね」
手を薙ぐと、トカゲは気持ちの悪い青い体液をばら撒いて真っ二つになる。
バジリスク。
魔物としてはかなり高位に分類され。
討伐には入念な準備の下、数十人で行われるのが通例の強力なモンスターだ。
だが、聖女を目指すべく自信を完全に仕上げている私の敵ではない。
私はバジリスクの体液で汚れた床の上を、特に気にも留めず歩いて進む。
目指すは最奥にある遺物だ。
聖乙女伝説には育成パートの他に、休日を利用してのダンジョン探索パートも用意されている。
但しレベル制では無いので、魔物を倒しても能力は上がらないし、そのクリア報酬であるアーティファクトも特にゲーム内で使われる事は無い。
言ってしまえば只の趣味的要素でしかないのだ。
だがそれはゲーム内……ハッピーエンド(最悪ノーマル)で終わった場合の話。
実はアーティファクトには強力な能力が備わっており、それは世界を滅ぼす程の邪心に対抗する力だったりする。
それがゲーム内で使われないのは、邪心が復活するとその時点でバッドエンドとなって残念なスタッフロールが流れてしまうためだ。
「あった」
遺跡の最奥では巨大な扉が私の行く手を阻む。
私は魔法を唱え、封印を開放する。
すると扉は音も無く消え去り、遺跡の心臓部を私へと晒す。
奥には槍を模ったアーティファクトが鎮座され。
その手前には巨大な蛇がとぐろを巻いている。
それは只の蛇ではない。
頭部が美しい女性の上半身を持つ危険な魔物。
ラミアクイーンだ。
こいつと戦うには、戦闘用のステータスが最低50は必要になる。
だが今の私は限界突破を繰り返している為、そのステータスは低い物でも200を超えていた。
私の敵ではない。
「消えなさい」
此方に気づき、動き出すよりも早く。
私は魔法でラミアクイーンを粉々に消し飛ばした。
「一つ目」
槍は仄かに暖かい。
手に取ると、そこに秘められた力がよく分かる。
やはりゲームの設定どおりだ。
私の目的は只一つ。
邪神を復活させ、この手で葬る事。
その為にはアーティファクトが必要なのだ。
何故そんな真似をするのか?
それは勿論、聖女エリスを失脚させ。
世界を救ったヒロインとして返り咲くためよ。
きっと王子も世界を救えば、もう一度私の元に戻って来てくれるはずだ。
エリスには少し可哀そうだけど、彼女には邪神との戦いで死んでもらうわ。
「ふふふ。あの子のせいで私は全てを失ったのだから、そうなってもしょうがないわよね?」
私は槍を手に遺跡を後にする。
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