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本番でまさかの邪魔が入りました
しおりを挟む卒業パーティーが始まった。
会場内は、談笑をする出席者で賑やかな雰囲気だ。
もうすぐ私達の劇が幕を開ける。
さきほどの6人での円陣を思い出し、皆のぬくもりが残る手のひらを、ぎゅっと握りしめる。
うん、大丈夫。
私は一人じゃない。
喉を潤すために果実のジュースに口を付け、グラスを置いたと同時に会場中のライトが消えた。
辺りが驚きの声と悲鳴に包まれる。
いよいよ始まるのね。
ライトが会場前方のステージに当たり、光の中で寄り添う、私の婚約者のクロードと後輩のセレン。
こちらは影になっていて見えないはずだけど、私達の視線は交差し、お互いの健闘を祈り頷き合った。
さて、いっちょかましてやりますか!
会場の卒業生がざわめき、期待するような空気の中、クロードの声が響く。
「アメリア・ハワード、私は運命の女性と出会ってしまった。ここにいるセレンだ。君は副会長でありながら、セレンを嫉妬でいじめ抜いたそうだな。そんな女とは婚約破棄だ!」
こちらにもライトが当たり、私は台本通りに驚き、ショックを隠せない表情を作りながら立ち尽くす。
そんな私に、さらにクロードが追い打ちをかける。
「今から君の悪事を白日のもとに晒してやる。覚悟することだな。」
ピシッと私に指を指しつつ、クロードが台詞を言い切った。
セレンはクロードに腕を絡めながら、勝ち誇ったような表情を浮かべて私を見下ろしている。
うんうん、出だしは上々。
やるじゃない、さすがクロードとセレン。
みんなの視線が一気に惹き付けられたわ。
次は私の出番ね。
冤罪を着せられた哀れな悪役令嬢を演じきってみせましょう。
私は内心の沸き立つ闘志を隠しつつ、悲しみを込めた口調で話し始めた。
「そんな、わた」「では、アメリアは俺が貰ってやろう!」
あれ?
誰かが私の台詞に割り込んで来た。
声がした方向へ顔を向けると、そこに立っていたのは・・・
アーサー!!
またなの?
こんな時にまで絡んでくるの!?
抗議の手紙、ちゃんと読んでくれた?
やっぱりオブラートに包んだのは失敗だったか。
だいたい、なんでこれが余興の劇だって気付いてないの?
周囲の卒業生もざわざわしている。
「これって恒例の出し物の劇よね?」
はい、その通り。
普通は皆知っているはずなんですけどね。
「生徒会メンバーではないあの方も出演者なのかしら?」
いえいえ、あのお馬鹿さんはただの困った乱入者です。
アーサーは腕を組み、偉そうにライトを浴びて・・・って、カイル、彼にはライトはいらないから!!
思わず照明係のカイルのいる方角を睨み付ける。
絶対、この状況を楽しんでるな。
アーサーの方をよくよく見れば、彼の袖を一生懸命引っ張っている女の子がいる。
多分、エスコート中の彼女よね。
彼女を放って、堂々と他の女を貰ってやる発言とは・・・。
うん、控えめに言って、最低!!
周りが不審そうな目で見ているのを物ともせず、アーサーは一人で話し続けている。
「もともとお前には俺こそがふさわしい。子供の頃からお前は・・・」
さて、このお馬鹿さんをどうしましょうか。
私はチラッとクロードとセレンに視線をやった。
クロードは自分の脚本の邪魔をされたからか、はたまた私を貰う発言のせいか、怒りを隠しきれない表情をしている。
セレンは腐った生ゴミでも見るかのような目でアーサーを見ている。
あはは、セレンってば虫けらの時より数倍視線が怖いわ。
彼らが私の視線に気付くと、お互い目で会話を始める。
『アレ、どうします?』
『あの男はこれが余興だと知らないのか?それ以前に失礼なやつだ。』
『どっちみち邪魔だし、腹立つから排除しちゃえー。』
セレンから物騒な心の声が聴こえた気がするが、気配を感じて背後を見やると、寄ってきていたフレディとエミールがボソッと言った。
「排除に賛成です。」
「ようやく決着が付けられそうで、むしろ良かったかもしれませんね。」
みんなエスパーか!と思うほど、気持ちが通じていた。
一瞬ライトが瞬き、照明係のカイルも賛成だと伝えてくれているようだ。
では、決定です。
生徒会役員満場一致で、迷惑男アーサーを成敗します!
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