「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「二連休、奇跡みたいな温泉デート①」

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「……マジで空いてたん、ここ」
 ハンドルを握る俺をちらちら見ながら、蒼汰が何度も予約画面を確認する。

「奇跡だろ?」
 どこも予約いっぱいで諦めムードだった俺。
 溜息をついたそのとき、ぽつんと空きが出ていた小さな温泉宿を見つけた。

 古い木造、山の中、口コミも少なめ。
 でも写真を見た瞬間、なぜか惹かれた。
 部屋には小さいが露天温泉もついているらしい。

「ここ、見つけたとき絶対俺たち向いてると思ってさぁ」
「そやなぁ。静かそうやし、自然もあるし……二人だけの世界、みたいな?」

 蒼汰がそう言って、シートベルトを指でちょん、と弾く。

「……“二人の世界”って、そういうこと自然に言うよな」
「え、なんか変なん?」
「変じゃない……可愛いって言ってんの」
 蒼汰の耳が、ぽっと赤くなる。

 山道を抜け、看板も控えめな宿に到着。
 木造の玄関、少し古めかしいランプ、川の音。

「やば、雰囲気よすぎやん」
「俺たちだけで貸し切ったみたいやな」

 チェックインして案内された部屋は、
 畳の香りがふわりとして、縁側の先には渓流が流れている。
 蒼汰が縁側に腰を下ろし、足をぶらぶらさせた。

「悠真、ここ選んでくれてありがとう……めっちゃいい」
「いや、選んだっていうより……空いてたのここだけだった……」
「……ちょっと、今は自慢するところやん!」

 嬉しそうに笑って、蒼汰は軽く肩を寄せてくる。
 その体温が近くて、ようやく二連休が始まった実感がふわっと湧いた。

「風呂、どっち行く? 外湯めぐり?」
「このええ感じの露天風呂は、あとでゆっくり一緒でええやん?」
 蒼汰が悪戯っぽく言う。

「お前……そういう冗談言うと期待するだろ」
「んー? じゃあ期待してええで」
 そう言って、俺の袖を軽くつまんで甘えてくる。

「悠真、顔赤い」
「黙れ。ほら、行くぞ」

 外湯へ向かう小道では、
 木の橋を渡るたびに川の音が近づいてくる。
 山の匂いと、冷たい空気。
 どこかレトロな温泉街。
 まさに“俺たち二人にピッタリ”の場所だった。
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