「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「洗濯物が乾かない日」

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 冬の日の曇り空。外に干しても洗濯物が乾かない。
 結局部屋干しにしたけど……湿気がこもって空気がちょっと重い。

 洗濯物の前で俺は眉を寄せた。
「……生乾き臭する? これ」
 ぽつりと言った瞬間。

「えっ、ちょとぉ~、俺くさいん!?」
 蒼汰が勢いよく振り返る。目がめっちゃ不安そう。

「だから服の話だって。お前じゃない」
「でも俺の服ちゃう?ちょ……悠真?……嗅がせて!」
「なんで俺で確認するんだよ」
 言いかけた瞬間、蒼汰が俺のパーカーの裾つまんで鼻を近づけてきた。

 すんっ。

「ん、あ。悠真のは……安心の匂いやん、ええにおい……」
「当たり前だろ。俺は生乾きじゃない」
「じゃあ俺のも嗅いでみてや!」
「いや、なんでそうなる!?」

 けど蒼汰はもうTシャツをひらひら持ち上げて――
 自分の匂いを真剣な顔ですんっ。

「…………セーフ!!!! よかったぁぁぁ……」
 ほっと息を吐き、次の瞬間には俺の腕に抱きついてくる。

「おい、どうして抱きつくんだよ」
「生乾きじゃなかったご褒美やねんって」
「意味がわからないけど……」

 蒼汰はそのまま俺の胸に顔を押しつけ、もそもそ言う。

「でもさ……生乾きって嫌やん。悲しい匂いやん」
「まぁ……わかるけど」
「俺は、いい匂いで気持ち上げたいねん。ほら、悠真の匂い吸って中和……」
「いや俺を芳香剤みたいに扱うな」
「でもええ匂いやし……ほら、もうちょい吸わせて?」
「吸わせてって言うな」

 そう言いながらも、蒼汰はぎゅーっとしがみついたまま離れない。
 胸に顔を埋めて、深呼吸みたいにすー……すんっ。
(完全にワンコだな。)

「なぁ悠真……今日このまま乾くまで、ここで抱きついててええ?」
「なんでだよ」
「悠真の温度で乾燥、そして芳香……お得やん」
「……は?」
「ほら、ぎゅーってしたら、服は乾いて、心はぽかぽか
 そんなわけないだろ、と思うけど。
 でも、蒼汰がこうやって甘えてくるのも、嫌いじゃない。

 生乾き臭は確かに嫌だけど――
 蒼汰がくっついてくる理由になるなら、
 まあ、今日くらいは許してやるか。

「はいはい……ちょっとだけな」
「うん、うん、わかっとうって……ちょっとだけな」

 結局、洗濯物が乾くより先に、俺の胸元が“あったまっりそうだ”
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