「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「クリスマスの朝は、もこもこ」

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 クリスマスの朝、キッチン。

 いつもと少し違う空気……
 理由は分かってる。
 足元が、もこもこしてるから。

 も-るで一緒に選んだ、クリスマスの靴下。
 動くたびに、床をすべる感触が変で、
 それがなんだか楽しい。

 テーブルの上には、
 コーヒーと、小さなケーキ。

「朝からケーキとか、
 お母んに見られたら、めっちゃ怒られそう」

 蒼汰がそう言いながら、フォークを持つ。

「でも、今日はクリスマスだから特別やんなぁ」

 そう言って、嬉しそうに笑う。

 その瞬間、テーブルの下で、
 蒼汰の足先が、俺の足にちょん、と触れてきた。

「……なにしてる」
「寒い」

 嘘だ。さっきまで、
「暑いくらいや」って言ってたくせに。
 足先が、わざとらしく、くいっと絡んでくる。

「蒼汰……?」
「嫌?」

 ちらっと上を見ると、蒼汰が悪い顔で笑ってる。

「……嫌じゃない」
「やろぉ」

 満足そうに、また足を動かす。
 ケーキを一口食べて、蒼汰がぽつっと言った。

「ああ……ほんまはさぁ……昨日の続きで、
 もっと布団でくっついてたかった」

 フォークを止めて、少しだけ、肩をすくめる。残念そうで、
 でもどこか可愛い言い方。

 俺は、そのまま後ろから蒼汰を抱きしめた。

「……甘えすぎ」
「悠真が悪いねん……」

 背中越しに、体温が伝わる。

「頑張って行ってこい」
「うん……」

 耳元で、続ける。

「帰り、迎えに行くから」
「……ほんま?」
「イルミネーション、見に行こう」

 一瞬、間があって。

「うん、約束やで、絶対迎えに来て」

 そう言いながら、蒼汰は振り返って、俺の胸に額を当ててきた。
 そのまま、おそろいで買ったマフラーを、ぐるっと首に巻く。

「これ、あったかいな」
「おそろいだからな」

 名残惜しそうにしながら、玄関へ。

「じゃあ、行ってくる」
「おぅ、いってらっしゃい」

 靴を履いたあと、蒼汰は一歩戻ってきて、
 俺の頬に、軽くキスをした。

「メリークリスマス、悠真」
「……メリークリスマス」

 ドアが閉まったあとも、
 キッチンには、
 甘いケーキと、
 もこもこの余韻が残っていた。

 25日の朝は、それだけで、
 十分だった。
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