「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「初詣、静かな道」

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 人混みを避けて、近所の神社へ向かった。
 有名な場所じゃない分、夜の空気は静かで、足音がよく響く。

「思ったより人、少ないな」
「そのつもりで来たんだろ」

 蒼汰はそう言いながら、周りをきょろきょろ見ている。
 何もないと思っていたのか、境内の端に見えた出店に気づいて、
 少し目を輝かせてる。

「悠真……あ、あれ」
「やっぱり見つけるんだな……さっき蕎麦食べたとこだろ」
「それとこれは別やん」

 理屈になっていない。
 でも、そういうところに苦笑しながらも可愛いと思ってしまう
 
 参道を並んで歩く。
 肩が触れるたびに、蒼汰が少しだけ距離を詰めてくるのが分かる。
 去年のことを思い返す。
 一緒に暮らし始めたこと。
 生活の癖が分かってきたこと。
 帰る場所を、無意識に「ここ」だと思うようになったこと。

 賽銭箱の前で、蒼汰が先に立った。
 手を合わせる横顔は、さっきまでの軽さが嘘みたいに真剣だった。

 何を願っているんだろう、と考える。
 たぶん、仕事のこととか、健康のこととか。
 それか、これからの生活。

 俺は、決まっている。

 蒼汰と、これからも。
 特別なことはいらない。
 当たり前みたいに、隣にいられる一年でありますように。
 参拝を終えて、蒼汰が振り返る。
 
「何お願いしたん?」
「秘密」
「ずるいな」

 そう言いながら、蒼汰が俺の袖をつかむ。
 離れない、と言われているみたいで、胸の奥が少し温かくなる。

 帰り道、結局屋台に寄ることになる。
 新年早々、蒼汰の食欲には勝てない。

 人の少ない初詣。
 静かで、あたたかくて、ちょうどいい。
 今年も、こんなふうに隣にいられたらいいと思った。
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