87 / 150
「元旦、家族の輪」
しおりを挟む
元旦は、祖母と姉が待つ実家へ。
玄関に近づくにつれて、少しだけ背筋が伸びる。
隣の蒼汰は、相変わらず自然体だ。
扉を開けた瞬間、スモモが突進してきた。
「こら、スモモ。落ち着け」
「うわ、元気すぎやろ。正月から全力やん」
尻尾に押されてよろける蒼汰を、反射で支える。
「まあまあ、来たねえ」
祖母が笑う。
「ばあちゃん、あけましておめでとう。」
「あけまして、おめでとうございます!」
蒼汰の声が少しだけ大きい。
緊張してるのが分かって、なんとなく嬉しい。
居間の机いっぱいに、おせち。湯気の立つ雑煮。
一気に正月だ。
「……すご。」
「声、出てる」
雑煮を一口。蒼汰の目が丸くなる。
「……うま」
「だろ。毎年これ,ばあちゃん特製」
連れてきてよかった。
そう思うたび、胸の奥が静かに満たされる。
姉ちゃんとあきらさんは、並んで座って、もう家族みたいだ。
「蒼汰、これも」
「え、ええん? 絶対うまいやつやん」
箸の進み方が素直すぎる。
気づけば、俺は蒼汰の皿にさりげなく一品足していた。
気づかれないくらいで、ちょうどいい。
姉ちゃんがあきらさんを肘でつつく。
「今じゃない?」
「……そうだね」
「加奈さんと、結婚できたらと思っています」
一瞬の静けさ。祖母が一番に言った。
「はいはい、おめでたいねえ」
「軽いな」
思わず言うと、
「正月に重たい話は似合わんやろ。おめでとうございます!」
蒼汰の声で、場がふっと和む。
帰り際、蒼汰が小声で言った。
「……悠真。ええな、こういうの」
「何が」
「家族って感じ。幸せ感ある」
「……そうだな」
言葉は少ない。でも、歩幅を合わせる。
それで伝わればいい。
俺たちは、俺たちのペースで。
一緒に、ゆっくり先へ行こう……
玄関に近づくにつれて、少しだけ背筋が伸びる。
隣の蒼汰は、相変わらず自然体だ。
扉を開けた瞬間、スモモが突進してきた。
「こら、スモモ。落ち着け」
「うわ、元気すぎやろ。正月から全力やん」
尻尾に押されてよろける蒼汰を、反射で支える。
「まあまあ、来たねえ」
祖母が笑う。
「ばあちゃん、あけましておめでとう。」
「あけまして、おめでとうございます!」
蒼汰の声が少しだけ大きい。
緊張してるのが分かって、なんとなく嬉しい。
居間の机いっぱいに、おせち。湯気の立つ雑煮。
一気に正月だ。
「……すご。」
「声、出てる」
雑煮を一口。蒼汰の目が丸くなる。
「……うま」
「だろ。毎年これ,ばあちゃん特製」
連れてきてよかった。
そう思うたび、胸の奥が静かに満たされる。
姉ちゃんとあきらさんは、並んで座って、もう家族みたいだ。
「蒼汰、これも」
「え、ええん? 絶対うまいやつやん」
箸の進み方が素直すぎる。
気づけば、俺は蒼汰の皿にさりげなく一品足していた。
気づかれないくらいで、ちょうどいい。
姉ちゃんがあきらさんを肘でつつく。
「今じゃない?」
「……そうだね」
「加奈さんと、結婚できたらと思っています」
一瞬の静けさ。祖母が一番に言った。
「はいはい、おめでたいねえ」
「軽いな」
思わず言うと、
「正月に重たい話は似合わんやろ。おめでとうございます!」
蒼汰の声で、場がふっと和む。
帰り際、蒼汰が小声で言った。
「……悠真。ええな、こういうの」
「何が」
「家族って感じ。幸せ感ある」
「……そうだな」
言葉は少ない。でも、歩幅を合わせる。
それで伝わればいい。
俺たちは、俺たちのペースで。
一緒に、ゆっくり先へ行こう……
10
あなたにおすすめの小説
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
とあるΩ達の試練
如月圭
BL
吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。
この話はフィクションです。更新は、不定期です。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
定時後、指先が覚えている
こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。
それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。
触れるはずのなかった指先。
逸らさなかった視線。
何も始まっていないのに、
もう偶然とは呼べなくなった距離。
静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、
等身大の社会人BL。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる