「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「甘え上手、聞き上手」

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 蒼汰の仕事の話は、基本的に面白い。

「今日さぁ~」

 この一言から始まって、変なお客さんの話とか、
 ちょっといい話とか、気づくと俺は箸を止めて聞いている。

「それで、その人がな……」

 楽しそうに話す蒼汰を見るのが、わりと好きだ。
 ……でも、たまにある。少し、疲れてる日。

「いや、ほんま今日はさすがにしんどかったわ」

 いつもより声が落ちていて、
 愚痴っぽいのも珍しい。

「どんなことあったんだ」
「あるねん。聞いてくれる?」

 その言い方が、もう少し甘えてる。

「聞くに決まってるだろ」

 うんうんって頷きながら聞いてたら、
 蒼汰は最後に、ふっと力を抜いた。

「……ごめんな」
「ん?」
「俺ばっかり喋ってるやん……」

「いいよ」
「ほんま?」
「蒼汰がそれで、明日また頑張ろうって思えるなら」

 冷蔵庫からプリンを出して、
 蒼汰の前に置く。

「ほら。糖分補給」
「……うん」
 蒼汰は笑いながらスプーンを取って、
 一口食べて、目を細めた。

「……生き返るわぁ」
 その横顔を見ていたら、少しだけ本音が出る。

「正直さ」
「蒼汰のこと、ちょっと羨ましい」
「え、なんで?」

「いろんな人と関わって、ちゃんと関係を作ってるだろ?
 俺、人付き合い苦手だけど、最近、外の仕事も増やそうかなって」

 蒼汰はきょとんとしてから、照れたみたいに笑った。
「それ、俺の影響ちゃう?」
「たぶんな」
「なんやそれ……」

 そう言いながら、蒼汰は立ち上がって、
 そのまま俺をぎゅっと抱きしめてきた。

「悠真の話、俺は聞きたい……愚痴でも、弱音でも……
 悠真みたいになりたいって、思う時、実はあるねん」
「こんな俺でよかったら、いつでも言うて。逆に、嬉しいし」

 耳元で、少し照れた声。
 胸の奥が、静かに温かくなる。

「……仕事のやり方、少し変えようかなって。
 まだ、考え中だけど」
「決まったら教えてや、俺にできることがあったら、協力体制やで」

 頼もしいことを言いながら、さらに力を込めて抱きついてくる。

「こうやって、充電しよぉ」
「……プリン、口についてる」
「え、ほんまぁ?」
「取るから動くな」

 思わず笑って、そのまま軽くキスをした。
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