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第四部
第二十二章 紅梅、散り急ぐ 其の四
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池田輝政からの書状が戻ってくるまでに、秀忠には、やっておかねばならない仕事があった。
まずは、関白の忠栄に文を書くこと。
江戸を発つとき、禁中に譲位承認の文を差し上げたが、昨夜、市姫が「危篤」のため、幕府としては、いましばらく待っていただくよう急ぎ、文を出した。
きっと主上は大層ご立腹だろう。忠栄殿に、うまくとりなしていただかなければ……
忠栄なら、危篤がどういう意味か理解するはず。すなわち、いつまでも、おおよそ理解してくれるはず。
改めてまた文を出さねばなるまいが……。
そして、完殿から、淀の方様へ文を差し上げてほしい。「案じている」と。
それも付け加えておかねば。
それから、高台院さまへ。ご機嫌伺いの文じゃ。
いずれ秀頼殿を説得するお力添えをいただかねばならぬ。
そして……。
まだ喪があけず申し訳ないが、もう待てぬ。
常高院様に江戸へ来ていただこう。
私と、なにより江の思いを直接聞いていただこう。そして、淀の方様にお伝え願おう。秀頼殿と千にも……。
そのためのお伺いの文。
秀忠は黙々と筆を走らせる。
幾刻かのち、秀忠は息を吐くと筆を置き、首をコキコキと鳴らした。
「うっ、あー。」
ぐいっと伸びをした秀忠の目に、部屋の掛け軸が写った。
天下非一人之天下
乃天下之天下也
同天下之利者 則得天下
擅天下之利者 則失天下
(親父の字…)
秀忠がじっと動かない気配を感じて、利勝が目を上げた。
「いかがなさいました?」
「いや、どこかで見たような気がすると思うてな。」
秀忠が、顎で掛け軸を指した。
「昨日もここにかかっておりましたし、あとは、大御所様のお部屋でございましょう。」
「親父の?」
「はい。昨日、大御所様の後ろに、もそっと大きなのがかかっておりました。」
「そうか。」
「六韜でございまするな。」
「うむ。」
秀忠がまた掛け軸をじっと見つめた。
動かない主人を見て、利勝は、再び筆を走らせに戻る。
秀忠は、そこに父がいるように掛け軸をじっと見つめた。
(「天下は一人の天下にあらず、すなわち天下の天下なり。天下の利を同じくする者は、すなわち天下を得、天下の利を擅にする者は、すなわち天下を失う」か……天下の利……天下……)
『天下は豊臣のものではない。』
父の声が聞こえた。
これを睨んでいるのだろうか。親父は。
じっとこれを見つめて耐えてきたのだろうか。
『天下は徳川のものか』という問いに、昨日、父は答えなかった。
天下は徳川のものでもないと思っているのか?
福を竹千代の乳母としたのは、戒めのためか?
天下が天下のものであれば、天下人などいらぬではないか?
どう考えているのじゃ、親父は……。
「利勝、これは『天下は仁、徳、義、道のあるところに収まる』というものであったな。」
「さようにござりまする。」
「諳じられるか?」
「はて、覚えておりますやら……」
「続きからでよい。」
「それはまた、厄介な。」
利勝は渋い顔をしたが、掛け軸を見据え、出だしをブツブツと唱えている。何度か、目線を上下させて、掛け軸の文を呟いていたが、目を閉じて、声も出さず唇を動かしたあと、にんまりと笑った。
「では。」
「うむ。」
利勝が、スッと背筋を伸ばし、朗々と吟じる。
「天に時あり、地に財あり。よく人とこれをともにする者は仁なり。
仁あるところは、天下これに帰す。
人の死を免れしめ、人の難を解き、人の患を救い、人の急を済う者は徳なり。
徳あるところは、天下これに帰す。
人と憂いを同じくし、楽しみを同じくし、好みを同じくし、悪みを同じくする者は義なり。
義あるところは、天下これに赴く。
およそ人は死を悪みて生を楽しみ、徳を好みて利に帰す。よく生を利せしむる者は道なり。
道あるところは、天下これに帰す。」
言い終わって、利勝はホッと息を吐く。
「覚えておられぬのですか?」
利勝はちろりと主を見た。
「覚えておるぞ。覚えておるゆえ、そなたが覚えておるか、試したのじゃ。」
きょろりと目を動かし、少年のような笑いを秀忠が見せる。
「さようにござりまするか。」
目を剥いて眉毛を動かし、利勝はフッといたずらを許すように笑った。
仁、徳、義、道。その内容を朧気ながら覚えてはいた。
しかし、それは父と結び付かなかった。
今、利勝に諳じさせてきちんと思い出しても父と結び付かない……。
やはり、なにか見誤っているのだろうか。
父は、日の本のために動いているのか?
私は、「天下は天下の天下」だと思って政をしているか?
秀忠の頭は再び惑いに踏み込もうとしていた。
◆◇◆
輝政からの書状もほどなく届き、秀忠はすぐに伊達へと書状を送った。
翌日十三日、市姫の葬儀が行われた。
「嫌じゃ嫌じゃ。市…いち…いちーっ! ゆくな、ゆくなぁっ…いちーっ!!」
若い母は尼そぎほどに短くなった髪を隠すこともせず振り乱し、すでに枯れた声を振り絞るように叫ぶ。
いつもは凛としたお梶の方が、身も世もなく泣き崩れるのを、家康は抱き締めていた。
(もし豊臣と一戦を交えるならば、千はどうなる? 江は……)
年若いお梶の方が江の姿に重なる。
秀忠の心の奥に、またなにか重いものが沈んでいった。
◇◆
市姫の葬儀が済んだあとも幾日か、秀忠は駿府に留まった。
家康からの様々な指示を確認するとともに、もし、市姫の死因が流行り病であったとしたら、それを江戸に持ち帰らないとの考えである。
秀忠は十七日に駿府を出、途中、熱海に寄った。
市姫は流行り病でもなかったようだが、念のため、穢れを払い、身を清めようと思ったのである。
『側室を持たぬなら、子は無事に育てよ。』
駿府を発つとき、大御所に念押しをされていた。
松姫にもしものことがあったら、親父の夢は潰えよう。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
子を亡くして悲しみたくない。江の悲しみも見たくない。
秀忠にとっては、それだけの思いであった。
疲れた体にチリチリと湯の熱さが伝わる。
秀忠は湯に体を沈め、「ふぅ」と小さく息を吐いた。
柔らかな春の光を映す湯を、将軍はぼんやりと見つめている。
秀忠の、綺麗に直角を描く行儀よい肩を、風がサワサワと撫でていった。
(天下泰平。 私にそれが出来るであろうか……)
目を閉じ、秀忠は考える。
(親父に応えられるのか……)
岩にもたれ、天を仰いで溜め息をつく。
男にしては華奢な首が、水面の上に露となった。
キュキョキョッ
まだうまく啼けない鶯の声がする。
(鶯も、まだうまく鳴けぬか……)
ふっと自嘲するように、秀忠の口許が緩んだ。
「天下は天下の天下なり。」
呟いた将軍は目を閉じて肩を沈め、顔を湯に仰向けて浮かべる。
耳元で、ピシャン…ポシャ…と湯が揺れる音がした。
……例えば主上がこのように考えておられれば、親父は主上に政をお任せするのだろうか……。
そのような主上が現れれば、世は泰平になるのだろうか……
武家が治める限り、戦はなくならぬのではないか……?。親父もそう思っておるのか?
ならば、なんのための征夷大将軍じゃ?
将軍は顔をあげ、再びりりしい眼をゆっくりと開いた。
(いや、武家が治めずとも争いは起こる。天下の利を奪い合う限り。)
「…江…」
天を見つめ、秀忠は小さく妻の名を呼んだ。
楓が、捻れたような新芽をぶら下げている。
将軍の目の光が、徐々に堅く強く満ちる。
「天下は一人の天下に非ず。則ち天下の天下なり。」
挑むように、体の中に入れ込むように、小さく口ずさむと、フーッと大きく息を吐き、将軍は両手で顔にパシャンと湯を当てた。
きりっと顔を上げ、ザバリと湯から上がる。
堅く引き締まった艶やかな肌が湯を弾き、春の陽射しにキラキラと輝き溶けた。
[第二十二章 紅梅、散り急ぐ 了]
*****
【常高院】京極初。淀の方(茶々)の妹で御台所(江)の姉。
【六韜】 中国の兵法書。掛け軸の一節は『文師』に収められている。
これを踏まえた「天下は天下の天下なり」という言葉は、家康公の名言ともされている。
以下、なんちゃって現代語訳です。
「天下?天下は一人のものではございませんな。天下にすむ人々すべてのもんでござりましょう。天下のものを分け与えるお人は天下を得、天下のものをほしいままにするお人は、まぁ、天下を失いますわな。
天地に恵みがあります。山の恵み、地の恵み、海の恵み、川の恵み。これは時と天の恵みが作る。天下を君主が独り占めせず、これを万民と分かち合うこと。これを仁といいますな。仁のあるところに天下の人々は集まってきて従いますんやな。
人々を死の恐れから遠退け、困っている人を助け、病人や苦しんでいる人を救う。こういう心細い人を助けてあげることを徳といいますな。「あの人の元にいったら助けてくれはる」そういう徳のあるところにも、天下の人々は集まって従いますな。
人々と悲しいこと辛いことも楽しみも喜びも、また「ええこと」「悪いこと」の考え方もいっしょにすることを義というのやな。簡単なようやけど、これがなかなか難しい。けど、義のあるところに天下の人々は集まってきますな。
人間は死ぬことを嫌がるし、長生きしたいと思う。助けてくれる人を求めて、お金になびくので、これを真面目にしておればきちんと安心して生活できると保証してやるのが道やな。これらに則った政治を行えば、 おのずから天下の人々の心が集まります。それで自然と王となることができるんやな」
(by 太公望)
まずは、関白の忠栄に文を書くこと。
江戸を発つとき、禁中に譲位承認の文を差し上げたが、昨夜、市姫が「危篤」のため、幕府としては、いましばらく待っていただくよう急ぎ、文を出した。
きっと主上は大層ご立腹だろう。忠栄殿に、うまくとりなしていただかなければ……
忠栄なら、危篤がどういう意味か理解するはず。すなわち、いつまでも、おおよそ理解してくれるはず。
改めてまた文を出さねばなるまいが……。
そして、完殿から、淀の方様へ文を差し上げてほしい。「案じている」と。
それも付け加えておかねば。
それから、高台院さまへ。ご機嫌伺いの文じゃ。
いずれ秀頼殿を説得するお力添えをいただかねばならぬ。
そして……。
まだ喪があけず申し訳ないが、もう待てぬ。
常高院様に江戸へ来ていただこう。
私と、なにより江の思いを直接聞いていただこう。そして、淀の方様にお伝え願おう。秀頼殿と千にも……。
そのためのお伺いの文。
秀忠は黙々と筆を走らせる。
幾刻かのち、秀忠は息を吐くと筆を置き、首をコキコキと鳴らした。
「うっ、あー。」
ぐいっと伸びをした秀忠の目に、部屋の掛け軸が写った。
天下非一人之天下
乃天下之天下也
同天下之利者 則得天下
擅天下之利者 則失天下
(親父の字…)
秀忠がじっと動かない気配を感じて、利勝が目を上げた。
「いかがなさいました?」
「いや、どこかで見たような気がすると思うてな。」
秀忠が、顎で掛け軸を指した。
「昨日もここにかかっておりましたし、あとは、大御所様のお部屋でございましょう。」
「親父の?」
「はい。昨日、大御所様の後ろに、もそっと大きなのがかかっておりました。」
「そうか。」
「六韜でございまするな。」
「うむ。」
秀忠がまた掛け軸をじっと見つめた。
動かない主人を見て、利勝は、再び筆を走らせに戻る。
秀忠は、そこに父がいるように掛け軸をじっと見つめた。
(「天下は一人の天下にあらず、すなわち天下の天下なり。天下の利を同じくする者は、すなわち天下を得、天下の利を擅にする者は、すなわち天下を失う」か……天下の利……天下……)
『天下は豊臣のものではない。』
父の声が聞こえた。
これを睨んでいるのだろうか。親父は。
じっとこれを見つめて耐えてきたのだろうか。
『天下は徳川のものか』という問いに、昨日、父は答えなかった。
天下は徳川のものでもないと思っているのか?
福を竹千代の乳母としたのは、戒めのためか?
天下が天下のものであれば、天下人などいらぬではないか?
どう考えているのじゃ、親父は……。
「利勝、これは『天下は仁、徳、義、道のあるところに収まる』というものであったな。」
「さようにござりまする。」
「諳じられるか?」
「はて、覚えておりますやら……」
「続きからでよい。」
「それはまた、厄介な。」
利勝は渋い顔をしたが、掛け軸を見据え、出だしをブツブツと唱えている。何度か、目線を上下させて、掛け軸の文を呟いていたが、目を閉じて、声も出さず唇を動かしたあと、にんまりと笑った。
「では。」
「うむ。」
利勝が、スッと背筋を伸ばし、朗々と吟じる。
「天に時あり、地に財あり。よく人とこれをともにする者は仁なり。
仁あるところは、天下これに帰す。
人の死を免れしめ、人の難を解き、人の患を救い、人の急を済う者は徳なり。
徳あるところは、天下これに帰す。
人と憂いを同じくし、楽しみを同じくし、好みを同じくし、悪みを同じくする者は義なり。
義あるところは、天下これに赴く。
およそ人は死を悪みて生を楽しみ、徳を好みて利に帰す。よく生を利せしむる者は道なり。
道あるところは、天下これに帰す。」
言い終わって、利勝はホッと息を吐く。
「覚えておられぬのですか?」
利勝はちろりと主を見た。
「覚えておるぞ。覚えておるゆえ、そなたが覚えておるか、試したのじゃ。」
きょろりと目を動かし、少年のような笑いを秀忠が見せる。
「さようにござりまするか。」
目を剥いて眉毛を動かし、利勝はフッといたずらを許すように笑った。
仁、徳、義、道。その内容を朧気ながら覚えてはいた。
しかし、それは父と結び付かなかった。
今、利勝に諳じさせてきちんと思い出しても父と結び付かない……。
やはり、なにか見誤っているのだろうか。
父は、日の本のために動いているのか?
私は、「天下は天下の天下」だと思って政をしているか?
秀忠の頭は再び惑いに踏み込もうとしていた。
◆◇◆
輝政からの書状もほどなく届き、秀忠はすぐに伊達へと書状を送った。
翌日十三日、市姫の葬儀が行われた。
「嫌じゃ嫌じゃ。市…いち…いちーっ! ゆくな、ゆくなぁっ…いちーっ!!」
若い母は尼そぎほどに短くなった髪を隠すこともせず振り乱し、すでに枯れた声を振り絞るように叫ぶ。
いつもは凛としたお梶の方が、身も世もなく泣き崩れるのを、家康は抱き締めていた。
(もし豊臣と一戦を交えるならば、千はどうなる? 江は……)
年若いお梶の方が江の姿に重なる。
秀忠の心の奥に、またなにか重いものが沈んでいった。
◇◆
市姫の葬儀が済んだあとも幾日か、秀忠は駿府に留まった。
家康からの様々な指示を確認するとともに、もし、市姫の死因が流行り病であったとしたら、それを江戸に持ち帰らないとの考えである。
秀忠は十七日に駿府を出、途中、熱海に寄った。
市姫は流行り病でもなかったようだが、念のため、穢れを払い、身を清めようと思ったのである。
『側室を持たぬなら、子は無事に育てよ。』
駿府を発つとき、大御所に念押しをされていた。
松姫にもしものことがあったら、親父の夢は潰えよう。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
子を亡くして悲しみたくない。江の悲しみも見たくない。
秀忠にとっては、それだけの思いであった。
疲れた体にチリチリと湯の熱さが伝わる。
秀忠は湯に体を沈め、「ふぅ」と小さく息を吐いた。
柔らかな春の光を映す湯を、将軍はぼんやりと見つめている。
秀忠の、綺麗に直角を描く行儀よい肩を、風がサワサワと撫でていった。
(天下泰平。 私にそれが出来るであろうか……)
目を閉じ、秀忠は考える。
(親父に応えられるのか……)
岩にもたれ、天を仰いで溜め息をつく。
男にしては華奢な首が、水面の上に露となった。
キュキョキョッ
まだうまく啼けない鶯の声がする。
(鶯も、まだうまく鳴けぬか……)
ふっと自嘲するように、秀忠の口許が緩んだ。
「天下は天下の天下なり。」
呟いた将軍は目を閉じて肩を沈め、顔を湯に仰向けて浮かべる。
耳元で、ピシャン…ポシャ…と湯が揺れる音がした。
……例えば主上がこのように考えておられれば、親父は主上に政をお任せするのだろうか……。
そのような主上が現れれば、世は泰平になるのだろうか……
武家が治める限り、戦はなくならぬのではないか……?。親父もそう思っておるのか?
ならば、なんのための征夷大将軍じゃ?
将軍は顔をあげ、再びりりしい眼をゆっくりと開いた。
(いや、武家が治めずとも争いは起こる。天下の利を奪い合う限り。)
「…江…」
天を見つめ、秀忠は小さく妻の名を呼んだ。
楓が、捻れたような新芽をぶら下げている。
将軍の目の光が、徐々に堅く強く満ちる。
「天下は一人の天下に非ず。則ち天下の天下なり。」
挑むように、体の中に入れ込むように、小さく口ずさむと、フーッと大きく息を吐き、将軍は両手で顔にパシャンと湯を当てた。
きりっと顔を上げ、ザバリと湯から上がる。
堅く引き締まった艶やかな肌が湯を弾き、春の陽射しにキラキラと輝き溶けた。
[第二十二章 紅梅、散り急ぐ 了]
*****
【常高院】京極初。淀の方(茶々)の妹で御台所(江)の姉。
【六韜】 中国の兵法書。掛け軸の一節は『文師』に収められている。
これを踏まえた「天下は天下の天下なり」という言葉は、家康公の名言ともされている。
以下、なんちゃって現代語訳です。
「天下?天下は一人のものではございませんな。天下にすむ人々すべてのもんでござりましょう。天下のものを分け与えるお人は天下を得、天下のものをほしいままにするお人は、まぁ、天下を失いますわな。
天地に恵みがあります。山の恵み、地の恵み、海の恵み、川の恵み。これは時と天の恵みが作る。天下を君主が独り占めせず、これを万民と分かち合うこと。これを仁といいますな。仁のあるところに天下の人々は集まってきて従いますんやな。
人々を死の恐れから遠退け、困っている人を助け、病人や苦しんでいる人を救う。こういう心細い人を助けてあげることを徳といいますな。「あの人の元にいったら助けてくれはる」そういう徳のあるところにも、天下の人々は集まって従いますな。
人々と悲しいこと辛いことも楽しみも喜びも、また「ええこと」「悪いこと」の考え方もいっしょにすることを義というのやな。簡単なようやけど、これがなかなか難しい。けど、義のあるところに天下の人々は集まってきますな。
人間は死ぬことを嫌がるし、長生きしたいと思う。助けてくれる人を求めて、お金になびくので、これを真面目にしておればきちんと安心して生活できると保証してやるのが道やな。これらに則った政治を行えば、 おのずから天下の人々の心が集まります。それで自然と王となることができるんやな」
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