Ωの皇妃

永峯 祥司

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第1部

戦場と軍人の

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もう駄目だと腹を括った。

 第2部隊は一瞬にして壊滅せしめられ、自分がいる防御役であるはずの第3部隊が前線に押し出されてしまった。攻撃的な戦闘を得意としない仲間達は次々に倒れていっている。これでは、死んでも仕方ない。

 銃に弾を込めながら、あの出っ張った腹が脳裏をちらつく。

 ──そもそも、ミリス総督が指揮を執る事が間違いなのだ。

 あのカネとコネで出来ているような人間に、帝国軍の指揮が務まるはずがない。Ωだろうが何だろうが、前の指揮官──ラヴォル総指揮官の方がよかった。指揮官がΩでもこちらの命に別状はないが、能無しでは命に関わる。

「くそっ……何であんなクソ野郎の命令で死ななきゃならねぇんだよ!」

 馬上の敵兵の胸を撃ち抜き、悪態をつく。
 状況的に死んでも仕方がないとは思うが、ミリス総督の命令で死ぬのは我慢ならない。

 怒りに任せてもう1弾撃ち込もうとし、補充用の弾丸がひとつも残っていない事に気付いた。

「畜生! 弾切れか……!」

 味方が減っている分、自分に向かって来る敵は増える。絶体絶命。最早ここまでかと目を閉じたその時、

「いい腕だ」

 凛とした声が降って来た。驚いて見上げる。
 目に入ったのは汚れひとつないカーキ色。そして、“鮮やかな”黒。


◇◇◇


「あんたは……!」

 自分を仰ぎ見る青年の目が見開かれる。直後、肩と太腿から鮮紅が噴き出した。土埃と血と汗にまみれた体がよろめく。倒れるかというところで踏み留まり、呻くように言う。

「あんた……ラヴォル指揮官、だろ……」

 驚いた。2か所撃たれてなお、正気を保っている。が、出血量からして長くは持たないだろう。

 思ったより戦局は悪化している。出来る限り敵の侵攻を食い止めるしかない。

「第3部隊、直ちに退却せよ!!」

 リューシの号令に、生き残っている兵士達が反応する。ホッとしたような表情を浮かべ、続々と後方へ下がって行く。
 ふと視線を下げると、青年兵士はまだそこにいた。

「何をしている。退却だ」

 ぞんざいに言うと、以外にも彼は強く見返して来た。

「俺は……まだ戦う」

 芯のある口調にまた驚く。

 ──第3部隊にこんな骨のある奴がいたのか。

 しかし、今の彼は、気持ちはあっても体力が付いて来ていない。このまま戦場に残しておいても戦力にはならない。

「肩と太腿を撃たれた奴がどうやって戦うんだ。早く下がれ」

 軍刀を抜き、敵を見据えて言う。が、青年は頑なに動かなかった。

「あんたの盾ぐらいには、なるだろ」

 なぜこいつは戦う事にこだわるのか。

「動きの悪い盾はいらん。下がれ」

 困惑しながら、冷たく切り捨てる。

「嫌だ……俺は、今戦いたい……!」
「まだ言うか。──ロドス軍医長! 手当てを!」

 後ろに向かって怒鳴ると、既に返り血まみれのバルトリスがのこのこと登場する。彼は自らも前線で戦うタイプの軍医である。

「了解。──ほれ、行くぞ。撤退だ撤退」
 
 無理矢理引き摺って行かれる彼に声を掛けたのは気紛れか──

「生きて帰れば、第1部隊に入れてやる」

 彼の瞳が、ギラリと輝いた気がした。

 恐らく退却せずに残っていた最後の第3部隊兵士であろう青年を見送り、敵に向き直る。
 こちらの損害に対し、それ程打撃を受けていないらしい。多勢に無勢。が、諦めるわけにはいかない。

「第1部隊、1段、鉄砲構え──」

 整然と並んだ銃口が敵軍を一斉に捉える。

「撃て!!」

 轟音と共に歩兵がバタバタと倒れる。驚いた馬が棹立ちになり、馬上の兵士が転げ落ちる。

「2段、鉄砲構え──」

 後列の鉄砲隊が入れ替わるように前へ出る。

「撃て!!」

 再び空気を切り裂く轟音。先程と同じ光景が繰り返される。

「3段、鉄砲構え──」

 第1部隊は一定のリズムで撃ち掛け続け、先に体力を消耗している第4部隊は後方からの攻撃に備える。その間に第7特別編成部隊が背後に回り、攻撃する。それを第5、第6部隊が左右から援護する。これがリューシの導き出した最も効率的な戦法だった。

 本来なら戦略家で有名な敵大将に対抗する為にゲリラ戦を仕掛ける。しかし、ゲリラ戦は小規模部隊で奇襲してなんぼ。こう真っ正面から大軍でぶつかってしまってはどうにもならない。そこで捻り出した苦肉の策が織田信長気取りの“鉄砲三段撃ち”である。実際にはこの戦法も武田の騎馬隊も存在自体が怪しいらしいが、少なくとも今回においては有効な手段であった。

 狙い通り、前方の鉄砲隊に気を取られた相手は第7部隊への対応が遅れている。このまま押せば何とかなる。部下達にも少しの余裕が見られるようになった頃、リューシを乱暴に怒鳴りつける声がした。

「ラヴォル!! これはどういう事だ!!」

 聞き慣れた濁声。やっとご登場かと心中で冷笑する。

「これは総督、随分お見事な指揮をなさったようで」
 
 あの癪に障る男爵を思い浮かべ、嫌味たっぷりに言う。ミリスの顔が赤黒く染まった。

「貴様……! どういうつもりだ! 指揮官は私だぞ!!」
「勿論そうですが、急を要しやむを得ず」
「急だろうが関係ない! 指揮官は私だ! 話も通さず勝手な命令を出すなど許さん!!」

 血が上ってどす黒い顔に、リューシは心中に収めていた冷笑を浴びせかけた。

「その勝手な命令に、全軍が喜んで従ったのではありませんか?」

 ミリスの両拳がわなわなと震える。ぐうの音も出ないと言ったところか。

「総督、前線は危険です。お退き下さい」
「何だと?」
「宜しい、はっきり申し上げましょう」

 あまり汚れの目立たない軍服を睨む。一瞬、相手は怯んだ色を見せた。肝の小さい男だ。軍人には向かない。

「──足手まといだ。とっとと帰れ」

 護衛付きでお帰り頂くようにと近くにいた元気そうな兵士に言いつける。入隊したばかりであろう、若い兵士。何も知らない彼は喚き立てる総督を力ずくで連れて行った。

 後で面倒な事になるだろう。
 しかし、その後に続くものに比べれば小さな問題だった。


◇◇◇


「坊ちゃん!!」

 ヤスミーがバタバタと廊下を駆けて来る。そのまま全身でぶつかるのを受け止めた。

「突然出陣などなさって……! ばあやは生きた心地がしませんでした……!!」

 ──戦は、ルバルア帝国軍の勝利に終わった。続行しても無益な長期戦になるだけだと、相手側が見切った結果だ。決して綺麗な勝ち方ではない。それでも勝利は勝利。一先ひとまず国民の生活は守られた。

 涙声で訴える彼女に、また胸が痛む。近頃はこの女に心配をかけてばかりだ。

「すまない。知らせる間もなかった」
「良いのですよ、ばあやは……坊ちゃんが無事でおられさえすれば、それで良いのでございます」

  ──まただ。

 また、こうやって俺を許す。

「……すまない」

 謝罪の言葉が無意識に口をついて出る。ヤスミーの目が大きく見開かれた。

「まあまあまあ、どうなさったのです! そんなしおらしい様子だと、ばあやは余計に心配してしまいます! 余程お疲れが溜まっておられるに違いありません。早く体をお清めになって、ぐっすりお眠り下さいな」

 俺を何だと思っているんだと、リューシは思わず苦笑する。が、疲れているのは事実だ。風呂にも入りたい。

「……そうだな、とりあえず風呂にする」
「ええ、そうなさいませ。直ぐにしたくしますから」

 にっこり微笑み、ヤスミーはパタパタと浴場に走って行った。その背を見送っていると、不意に肩を掴まれた。

「よう、第1隊長さん」

 振り向くと、ニヤついた浅黒い顔。

「……お前か。人の家に上がり込んで何してる」

 戦場では職務上何事もなかったかのように振る舞っていたが、やはり、気不味い。

「何だよ、そんな緊張した顔しやがって……この間の事なら、悪かったよ。今度飲み直しに行こうや。なぁ?」

 黙っていると、バルトリスの眉が下がる。
 
「おい、怒ってんのか?」
「……いや。俺も、悪かった」

 深緑の双眸が見開かれた。先程のヤスミーと重なる。「何だ、何でそんなにしおらしいんだ」とぶつぶつ呟く彼に、なぜみんながみんなこういう反応なのだと理不尽に思う。今日はやたら謝ってばかりな気がする。

「俺だって、謝罪するぐらいの脳はある」

 そう言うと、バルトリスは相好を崩した。

「そうむくれるなよ。からかってるわけじゃねぇんだ」

 わしわしと頭をかき回される。本当はお前が緊張してたんじゃないのかという台詞を呑み込み、「子供扱いするな」とだけ言った。

「悪い悪い……」
「──で、結局何の用なんだ」

 軽く睨んで尋ねると、彼は待ってましたとばかりに言った。

「風呂に入りたいと思ってな」
「……は? 自分の家で入ればいいだろうが」

 意味がわからない。

「いやな、俺んの風呂がぶっ壊れちまってよ……戦の後じゃ公衆浴場にも行きにくいだろ? な、頼むよ」

 確かに、血と汗と埃まみれの体で公衆浴場へ行くのはいくら図太くても憚《はばか》られる。

「……仕方ないな」

 ため息をつくと、バルトリスの目が輝いた。

「おっ、いいのか」
「今日だけだからな」

 まったく、手のかかる悪友だ。


◇◇◇


「──なぜ一緒に入らなきゃならないんだ」

 乱雑に軍服を脱ぎ捨てるバルトリスの逞しい身体を睨む。
 後で入るからと遠慮するような玉ではないのはわかっているが、一緒に入るというのは一番風呂を掠めとるよりたちが悪い。

「いいじゃねぇか。その方が速いだろ?」

 そう言って脱衣場に押し掛けて来た悪友は、早くも湯槽に飛び込んでいる。

「馬鹿、体を洗ってから入れ!」
「大丈夫だっつの。泥なんかは流したって」

 悠々と入浴剤で濁った湯に浸かる彼に、最早怒る気も起こらなくなってきた。

「気持ちいいぞ。お前も早く入れよ」

 なぜ野郎2人で同じ湯槽に浸からなければならないんだ。
 絶対嫌だと毒づきつつ、観念して体を洗うべく脱衣に取り掛かる。バルトリスが上がるまで待てる程汚れに無頓着ではない。

「……何を見てるんだ」

 視線を感じ、軍服を脱ぐ手を中途半端に止める。

「いや、お前、そこで止めるなよ。脱ぐならさっさと脱げ」

 目を覆って言う彼を不審に思いながらも、手早く全裸になって湯を頭から被った。石鹸できちんと洗ってから浴槽に浸かるのは日本人だった時からの習慣だ。

「意外に几帳面だよなぁ、お前って」

 浴槽の縁で頬杖をついて言うバルトリスに、そうでもないだろと答える。十中八九彼が大雑把過ぎるのだ。

 頭から爪先まで余す事なく洗い終え、さあ湯に入ろうとするが、やむなく仁王立ちの状態で立ち止まった。

「おい、出ろ。いつまで入ってる」

 変わらず悠々と身を沈めるバルトリスを急かす。が、彼は子供のように「やーだよ」とリューシに湯をひっかけて来た。

「……おい」

 こめかみに青筋が立つのがわかる。いい加減出ないと放り出すぞと言いかけたその時、手首を掴まれた。ぐっと力が込められ、抵抗する間もなく湯槽に引き摺り込まれる。大きな音と共に、派手な水飛沫が上がった。

「……っにすんだテメェ……!」

 危うく飲みかけた乳白色の液体を咳き込んで吐き出すと、バルトリスはカラカラと笑った。

「はははっ……リューシお前、素が出てんぞ」
「……うるせぇ」

 妙に気恥ずかしくなる。温かい湯のせいではなく、頬が火照った。

「口が悪ぃのは昔っから治らねぇな」
「お互い様だろうが」

 ツンとそっぽを向くと、頭をぐりぐりと撫でられる。精神年齢は自分が上なんだと心の中で抗議してみるが、なぜか彼のその手を邪険に振り払う事は出来ない。それも昔からだった。

「そう言えば、総督サマに喧嘩売ったんだってな」

 好き勝手に頭髪をかき回していた手を離し、バルトリスが言った。一体どこから聞いたのか。

「喧嘩を売ったつもりはない」

 元の軍人の口調に戻って答える。
 リューシとしては、あれは「喧嘩を売った」の域ではなかった。物分かりの悪いお子様に事実を述べたまでだ。勝手に軍を指揮したのも、必要な処置を総督に代わって施したものである。何処ぞのチンピラのように喧嘩の安売りをしているつもりはない。

「そうは言ってもなぁ……怒り心頭らしいぜ、あのドテッ腹」

 “ドテッ腹”のところを強調してみせる。

「お前は、俺の判断が間違っていたと思うか?」

 尋ねると、バルトリスはかぶりを振った。

「まさか。お前のした事は正当だった。誰だってそう思ってるさ」
「……いや、そうとも限らない」
「どういう意味だ?」
「総督は勿論そうだろうが、その上──皇太子は今回の件を良く思わないだろう」

 皇太子。その名を出すと、彼はピクリと反応した。

「……夫になる男の目が気になるか?」
「そうじゃない」

 なぜそんな言い方をするのかと驚きながら否定する。

「俺が皇妃になるという事は、皇后補佐──あの娘のお守りをしなければならないという事だ」
「……つまり?」
「今も毛嫌いされているのに、輪を掛けて嫌われてみろ。お嬢ちゃんのお守りにもひっきりなしに“いちゃもん”をつけられる。そんな状態で、円滑な運用が出来ると思うか?」

 バルトリスがううむと唸る。

「そりゃあ……無理だろうな」

 ──そう。皇妃になると避けられないのは、皇太子との接触。10年の間、必要最低限に抑えていた事だ。今から考えるだけで気が滅入る。

「皇妃になるのを辞退するってのは──」
「出来ない」
「……だよな」

 皇室との婚約は絶対。皇太子との結婚は何があろうと拒否出来ない。

「聞く話によると、皇后のお嬢ちゃんはなーんにも知らねぇ異世界人なんだろ? そっちとも仲良しこよしは難しいんじゃねぇか?」
「ああ、それはそうだろう。あれでは皇后の役目はままならん。殆どの仕事が俺任せになるだろうな。仲良くなんてしている場合じゃない」
「そりゃお前……働き過ぎで死ぬぞ」

 過労死。
 日本語にはそんな言葉があった。まさかそれが我が身に降りかかろうとしているとは。

「軍の務めに皇室の運用……どっちか休めねぇのかよ」

 ブラック企業に勤める旦那を心配する嫁のような事を言う。それがおかしくて、フッと笑みが漏れた。

「おいおい……笑い事じゃねぇぞ」

 こっちは本気で心配してやってんのに、とバルトリスが眉を情けなく下げる。

「わかってる」
「じゃあ──」
「それより問題なのは、軍の方だ。たった1日、俺が離れただけであの始末……救い様のない阿呆だ、あの総督は」

 勝ったとはいえ、今回の戦は前代未聞の損害を受けた。自分が介入していなければどうなっていたか。
 ただし、この荒療治も2度は出来ない。

 ──自分が指揮官であれば。

 どうしようもない腹立たしさにきつく下唇を噛んだ。

「だよなぁ……あのオッサンが仕切ってんじゃ、今度こそ敗戦だ──って、噛むな噛むな。切れちまうだろ」

 バルトリスの指が触れる。

「お前なぁ、ムカつくと下唇噛むの悪い癖だぞ」

 親指の腹で撫でられ、虐めていた唇をゆっくりと解放した。やはり切れてしまったのだろう。曖昧な鉄の味がする。

「……先に上がる。長風呂し過ぎた」
「え、もう出るのか」

 ざぱりと立ち上がる。甘い香りの湯が髪から滴った。短い癖に、張り付いた前髪が鬱陶しい。無造作に掻き上げる。

「お前も適当に上がれ。逆上のぼせるぞ」

 顔に朱が差し始めている彼に肩越しに言い、脱衣場へ出た──



 パタンと閉められた扉の奥に、均整の取れた筋肉質な身体が消える。

 浴槽の縁に背中を預け、バルトリスは大きく息をついた。ちらと下へ視線を降ろしてみる。触って確かめるまでもない。湯槽が入浴剤で濁っていて良かった。

 ──ガキだと油断してりゃ、このざまか。

 彼が入隊したばかりの頃から実弟のように思って可愛がっていたつもりだ。兄貴分の気でいたというのに、何という事か。
 子供の成長は速いとはよく言ったものだ。ここまで自分の方に影響が出るとは思っていなかった。最初から大人びた少年ではあったが、成人してからの彼は──

 よそう、と首を振って考えを飛ばす。
 これ以上追及してはいけない。

 ぱしゃんと顔に湯をかけると、甘ったるさが広がる。水なら頭も冷えたかも知れないが、逆効果だった。
 取り敢えず、色々と落ち着いてから出よう。そう決めて、もう一度乳白色の中に身を委ねた。
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