悪役令嬢ですがシナリオ通りに進む気はありません!

白夜黒兎

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幼馴染みがやって来ました

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やっぱりリオンなんだ。

リオン・セレスタはミーシャの幼馴染みであり、彼女を唯一気に掛けていた二人目の攻略対象者だ。そんな彼が何故此処に居るのだろう。それに何だか・・・怒ってる?

リオンはいつもの穏やかさとは掛け離れた表情で睨みを利かせていた・・・アンリに対して。

しかし睨み付けてくるリオンにアンリは笑顔で対処している。おぉ…これが御曹司の余裕か。
 

「リオン、どうして此処に居るの?」
「そりゃあ勿論、ミーシャちゃんに会いに来たに決まってるじゃない!」

リオンはしょっちゅうミーシャに呼ばれている筈だけどミーシャが呼ばない時は自分からミーシャに近付いたりしなかったのに。だからリオンがこの屋敷に足を運ぶのが不思議で私がどうして居るのかと尋ねたらリオンはアンリを睨み付けるのをやめ、私にとびっきりの笑顔を向けたままなんと、私に会いに来たと言うではないか。どうしてパシリとして扱われてきたミーシャに自分から会いに来ようとする決断に至ったのかは分からないけど後ろに居る数人の侍女が肩で息をしてバテてるのを見るにリオンは無理に押し切ってまで此処に来たのだろう。そこまでしてまで私に話したい事とは一体何なのか。

「リオン、私に何か用?」
「・・・ん、で・・・。」

リオンは急に肩を震わせながら俯いた。

え、何。情緒不安定?

首を傾げてリオンの様子を伺っていると、突然リオンは私の肩を両手で力強く掴んできた。

「どうして、どうして最近僕を呼んでくれないんだよーー!!」

リオンはそう叫んで私の肩を掴んだまま前後に揺らしてきた。

うっ…気持ち悪い、吐きそう。

リオンが手加減なしに揺らしてくるものだからさっき食べたランチが口から出て来てしまいそうになる。

でもおかしいなぁー…。リオンってこんなキャラだっけ?確かに私はリオンの幼少期の頃を知らないけど私が知ってる学園でのリオンは誰に対しても分け隔てなく接して、暖かくて、怒ったところを見たことがないくらい穏やかな心の持ち主だった。

じゃあこれは?

捨てられた子犬の様な目をして泣いてるのか怒ってるのか分からないくらいきゃんきゃん叫んでるこの人は本当にあのリオンなのだろうか。

「・・・リオン、私貴方を呼んでないと思うんだけど。」

そう言った途端、リオンの身体が硬直した様に感じた。もしかして、地雷踏んだ?

「ハ、ハハッ…そ、そうだよね。ミーシャちゃんは僕が居なくたって別に良いんだもんね。」

リオンは膝から崩れ落ちて力無く笑った。

「あの日ミーシャちゃんは僕に言ったよね。明日、婚約するから絶対に来ないでって。ちゃんと僕約束守ったんだよ?その日だけだからって。でも次の日もまた次の日もミーシャちゃんは僕を呼んでくれなかった。僕、ミーシャちゃんに嫌われたくないからってこの日までずっと我慢してたのに、婚約者が出来たら僕はもう用済みなの!?僕達ってそこまでの関係だったの!?」

うわーお…愛が重い。

でもミーシャってリオンの事をパシリとして利用してただけだもんなぁ。リオンは親密な関係だと思ってる様だけどミーシャからしたら本当にそれまでの関係だったんだろうし。

・・・でも、なんかごめん。絶対に私が悪い訳じゃないけど本当にごめん。アンリもそんなゴミを見るような目をしないで。それはそれでときめくけど。

それよりも、さっきはびっくりしてスルーしてたけどアンリに負けず劣らずこちらもなんて美形なの。青空の様な髪に翡翠色の瞳が良く似合ってるわ。

・・・リオンを見てると何だか身体全体がうずうずして仕方が無い。ミーシャの身体だからかな?物凄く抱き締めたい衝動に駆られた。リオンは好きな子に意外とグイグイ行くタイプであり、ヒロインに出会い恋に落ちるまではミーシャに抱き着きに行ってたらしい。そんなリオンをミーシャは冷たくあしらっていた様だけど。でも私は貴方にだったら抱き着かれるの大歓迎です!むしろ抱き締めたいんですけど!

「・・・リオン、おいで?」

少しの期待を込め、両腕を広げてリオンが来てくれるのを待った。その時に首を傾けるのを忘れてはならない。こんな事私のキャラじゃないけどリオンが来てくれるのなら何だってする。

両腕を広げて待機してる私にリオンは瞬きをした後、先程までの落ち込みはどこに行ったのか、顔一面に人懐こい笑顔を浮かべて「ミーシャちゃ~ん!!」と抱き着いてきた。

うん、想像以上に可愛い。

周りから見たら分からないだろうけど今私の心は限界を迎えてる。

可愛い、尊い、辛い…。

色んな感情が溢れ出てくる。ずっと抱き締めていたいけど後ろの方が怖くてそれは叶いそうにない。

「貴方方は一体何をなさってるのでしょう」

アンリは窘めるように私とリオンの間に割って入ると密着していた身体を無理やり引き離される。

これは、説教タイムに入るかな。

私の考えは見事に当たり、アンリは「レディーがはしたない」とか、「貴女には警戒心と言うものがないのか」などと額に青筋を立てて小言を並べてきた。アンリは頭が固すぎると思う。また眉間に皺を寄せて。たまにその皺を伸ばしてあげたくなるくらいだ。頭が固いのは第四攻略者だけで良いのに。ヒロインに対してはとても紳士的で、凄く頼りになって、ちょっと意地悪で…。それなのに私に対してはただ苦言を言うだけで優しさの微塵も感じられない。

まぁ、その方が逆に燃えるから良いんですけどね。

だけど何故かリオンの方がお怒りの様だった。

「お前、さっきから何だその言い方は。ミーシャちゃんに失礼だろう!」

リオン、私の代わりに言ってくれてありがとう。でも、将来有望な貴族様を指で差すのは感心しないわね。

「はぁ。君も急に来て何なんですか。彼女の特訓の邪魔になるので今日のところは帰って貰えます?」
「んなっ!と、特訓だと?」

怒ってたかと思ったら次は顔を青ざめてショックを受けてる。ほんと、コロコロと表情が変わる人だ。羨ましい・・・。

「どうして特訓だなんてしてるんだ!」
「将来必要だからです。」
「そんなもの必要ない!!」

リオンは声を張り上げて再びアンリを睨み付けた。

「ミーシャちゃんにそんなもの必要ないんだ。可憐で天使なミーシャちゃんは守られて当然の存在でっ!」

これは完全にミーシャにベタ惚れな様だ。ちょっと焼ける・・・・・私だけど。

「可憐?天使?変人な魔女の間違いではありませんか?」

貴方は少し黙っていてください。

魔法がちゃんと使える様になったら先ずは貴方を宇宙の果てまでぶっ飛ばしますよ?

「・・・そうか、全部お前のせいなんだな。ミーシャちゃんが僕を頼らなくなったのもミーシャちゃんが魔法なんて危ないものを覚えようとしてるのも・・・。このままでは僕のミーシャちゃんが何処か遠くに行ってしまう。」

なんか、とてもヤバいことが巻き起こりそうな気がするのは私の気のせい?でもそんな予感程当たるもので、リオンは掴み掛かる様な目でアンリを見て言った。

「アンリ・ヴィーセル、お前に決闘を申し込む!僕が勝った暁にはミーシャちゃんを解放して貰うぞ!」

勝負事に無縁そうなリオンがドンッと効果音が付きそうなくらい決闘と言う文字を言い表してる。

なんて、なんて素敵なのだろう。

しかしアンリはこの誘いに乗るのだろうか。アンリの性格上、バカバカしいとおもって突っぱねるんじゃ。しかし、アンリの返事は意外なものだった。

「まぁ、良いですよ?・・・完膚無きまでに叩き潰して差し上げますよ。」

そう言ったアンリの瞳はギラついていた。


・・・どうしてこうなったのか分からないけど、凄くドキドキする――!!

私は一人、目の前の光景に胸をときめかせていた。
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