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36話 1回戦突破と現状チームデータ

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「龍様、ずいぶんとご機嫌のようですね」

「ああ、1回戦を無事に突破できたんだから当然だろ?」

 ミオが龍之介に問いかける。
 彼女の言う通り、龍之介は上機嫌であった。
 今日の練習中には鼻歌を歌っていたぐらいだ。

「でも、それだけじゃないよね? ボクはお見通しだよ」

「龍先輩、正直に言ってください。大草原高校で……浮気したんですよね?」

 アイリとノゾミが詰め寄ってくる。
 龍之介が特に上機嫌なのは、大草原高校に招かれて以降のことである。
 バレバレであった。

「す、すまない。エルが思いの外、可愛くてな……。つい……」

「どうせ龍様のことですから、エルさんのムチムチの太ももを触りたくなっただけですよね?」

「うっ……!」

 ミオに図星を突かれる龍之介。
 彼としては、さすがに今回は弁明できないと思っていた。
 だが――

「まあ……ボクは許してあげるよ。龍之介がエッチなのは分かっていたことだし」

「同じくです」

「そうですね。でも、太ももならわたしのほうが絶対にムチムチですよ?」

「3人とも、許してくれてありがとう。だが、ノゾミの太ももはムチムチどころかバキバキじゃないか。それが良いところなんだけど……」

 龍之介がノゾミの太ももに手を伸ばす。
 続けて、ミオやアイリともスキンシップをはかった。

「ではそろそろ……。ロボ1号。恒例のやつを頼む。俺たちの成長を言葉で表現してくれ。そして、現状の能力もな」

『ピピッ。承知しました。スキャンを始めます……』

 龍之介から指示を受けたロボ1号が、4人の体をスキャンしていく。
 そして、その結果を発表した。

『龍之介は【草刈り士】を取得した』
『龍之介は【走塁上手】を取得した』
『ミオのパワーが上がった』
『アイリのミートが上がった』
『ノゾミの守備力が上がった』

「やはり実戦に勝る鍛錬はない。みんな、初めての試合で学ぶことも多かったようだな」

 龍之介は、ロボ1号の報告に満足げに頷く。
 そして、続けて報告された現状の能力を脳内の情報と合わせ、整理していく。
 ロボの報告を元に整理しているだけで、最終的にはあくまで龍之介が認識しているデータ表である。


<個人データ>

龍之介
右投げ左打ち
ポジション:投手
最高球速125km 制球力E 持久力D 変化球E
ミートE パワーC 走塁力D 送球力G 守備力D
【煩悩の力】チームメイトに女子選手がいると能力アップ
【積極恋愛】恋愛に積極的になる
【夜の帝王】前*やセ**スの才能がある
【草刈り士】名前に『草・野・田・丘・原・地・山』のいずれかが入っている相手打者がパワーダウン
【走塁上手】ベースランニングが上手い
【愛情クロストレーニング・ミオ】全*で愛*されながら筋トレをするとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・アイリ】全*で愛*されながら乱取りをするとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・ノゾミ】全*でお互いに足をマッサージし合うとパワーアップ
【強敵スキルトレーニング・エル】下*姿でお互いの無駄*を処理し合うとパワーアップ

ミオ
右投げ右打ち
ポジション:一塁手
本職:ウェイトリフティング部
ミートC パワーA 走塁力D 送球力C 守備力F
【忠誠の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極打法】積極的にスイングする
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*で愛*されながら筋トレをするとパワーアップ

アイリ
右投げ左打ち
ポジション:遊撃手
本職:合気道部
ミートF パワーE 走塁力B 送球力C 守備力B
【友愛の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極守備】積極的な守備を行う
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*で愛*されながら乱取りをするとパワーアップ

ノゾミ
右投げ左打ち
ポジション:中堅手
本職:陸上部
ミートE パワーF 走塁力A 送球力D 守備力C
【感謝の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極走塁】積極的な走塁を行う
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*でお互いに足をマッサージし合うとパワーアップ


<ロボデータ>

ロボ0号 ミートF パワーF 走塁力G 送球力G 守備力G
ロボ1号 ミートF パワーG 走塁力F 送球力G 守備力G
ロボ2号 ミートF パワーG 走塁力G 送球力F 守備力G
ロボ3号 ミートF パワーG 走塁力G 送球力G 守備力F
ロボ4号 ミートG パワーF 走塁力F 送球力G 守備力G
ロボ5号 ミートG パワーF 走塁力G 送球力F 守備力G
ロボ6号 ミートG パワーF 走塁力G 送球力G 守備力F
ロボ7号 ミートG パワーG 走塁力F 送球力F 守備力G
ロボ8号 ミートG パワーG 走塁力F 送球力G 守備力F
ロボ9号 ミートG パワーG 走塁力G 送球力F 守備力F


<ベストオーダー>

1番中・ノゾミ・EFADC*
2番遊・アイリ・FEBCB*
3番投・龍之介・ECDGD*
4番一・ミ オ・CADCF
5番左・ロボ0・FFGGG
6番二・ロボ4・GFFGG
7番三・ロボ5・GFGFG
8番捕・ロボ9・GGGFF
9番右・ロボ1・FGFGG

*は左打者

投手・龍之介
最高球速125km 制球力E 持久力D 変化球E

ベンチ
ロボ2、ロボ3、ロボ6、ロボ7、ロボ8

チーム全体評価
打撃F 走塁E 守備F 投手E 控え選手G 総合力F


「みんなの成長は順調だ。だが、2回戦に向けて1つの大きな懸念がある」

「それって……キャッチャーのことですよね?」

「ああ、そうだ」

 ノゾミの言葉に、龍之介は頷く。
 1回戦では足でずいぶんと翻弄されてしまった。
 脚力に優れた大草原高校が相手という事情があるにせよ、捕手を野球ロボが務めているのは明確な弱点だ。

「ボクがやってみようか? ショートはノゾミちゃんに任せるか、あるいは野球ロボでも……」

「それはそれで厳しいな。ショートやセンターは、アウトを稼ぐ最も重要なポジションだ」

「なら、ファーストの私が!!」

「ミオには打撃に専念してほしい。ミオのホームラン2本がなければ負けていたわけだしな」

 アイリやミオがコンバートを申し出るが、龍之介は却下した。
 捕手は大事だが、遊撃手や中堅手も重要だし、4番打者に守備でも負担をかけるわけにはいかない。

「龍先輩、それではどうされるのですか?」

「またスカウトできそうな人がいないか、探してみるさ。幸い、次の試合まで日程はあいているからな」

 2099年の今、高校野球の大会スケジュールはかなり余裕のあるものとなっている。
 上手く行けば、2回戦までに新たな戦力をスカウトすることも可能だろう。
 こうして、龍之介は正捕手探しに奔走することになったのだった。
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