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海
雨の海
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目覚めると、クロの腕の中に包まれて、温もりを分かち合っていた。
聖は起こさないように、そっと腕の中から抜け出し、内風呂でシャワーを浴びて、露天風呂に向かった。
朝から露天風呂って贅沢だよね…。
聖は昨日と同じ場所で、海を眺めていた。
ふと、視線を感じ振り向くと、クロが窓辺に立って、こちらを見てる。
「…おはよう」
「おはよう。…クロは入らないの?」
聖が問いかけると、クロは苦笑いする。
「一緒に入ると、昨日の夜みたいになりそうだから、内風呂にしておく…」
「…昨日の…」
聖は思い出して赤面する。
…そうだった!!
昨日、ココでクロに覆い被されて…、擦り付けられて…。
「思い出させないでよ!」
聖が真っ赤になって、そう言うと、クロは笑いながら内風呂に向かっていった。
朝食は、別部屋の海の見えるダイニングで食べて、部屋に戻ると、布団は片付けられていて、テーブルが置かれていた。
…そうだ…シーツぐしゃぐしゃにしたから、夜、何をしていたか、気付かれてるよね…。
…何か、恥ずかしい…。
聖は頬を染めながら座り、テーブルの上に上半身を乗せた。
「…楽しかった…」
「…聖。まだ、終わりでは無いぞ。家に着くまでが、旅行だ」
クロにそう言われて、身体を起こす。
「…帰り道、まだ、楽しめるだろ」
そう言って、クロは微笑んだ。
…そうだ、まだ、今日は始まったばかり…。
「…どこへ行きたい?」
「海に行きたい」
「了解」
クロは微笑んで、荷物を片付け始めた。
駐車場にたどり着いたとき、どんよりと黒い雲が空を覆っていて、一昨日とは違って、海は荒れていた。
…雨が降ってくるかも…。
高波が堤防に当たり、時々、水飛沫が駐車場にまで、降り注いでくる。
「聖、危ないからソレ以上近付くなよ!」
聖はクロに腕を掴まれた。
荒波が見たいと、クロと一緒に堤防近くまで見に来たのだが、もっと近くで…と、思わず近付いてしまう。
高波は怖いが、見ていて飽きない。
「…全然違うね…」
聖はのんびりと高波を見て答えた。
「…もう良いだろ?車に戻ろう」
クロの心配そうな声に、聖は見るのを諦めた。
もっと安全な場所から海を眺めよう。
「…そうだね」
聖がそう言って、車に足を向けた瞬間、空から大粒の雨が叩きつけるように降り出した。
聖とクロは慌てて、車に戻り、後部座席に飛び乗る。
「ずぶ濡れだ…」
「…着替え、多めに持ってきて良かった…」
二人は止まない雨を見上げ、互の視線が合い、笑い出してしまった。
「…本当だ。家に着くまでが旅行だ」
聖は楽しくなって、笑ってしまった。
旅行に行って、雨に打たれるのも、また、良い思い出になる。
クロはタオルで髪を拭きながら、タオルを渡してくれて、聖は濡れた髪を拭き始めた。
「風邪引くから、着替えてしまおう」
そう言って、車のカーテンを閉め、後部座席の扉を閉めた。
「ほら、聖…」
クロが聖のシャツのボタンを外しだす。
「…。クロも濡れてる…」
そう言って、クロのTシャツをめくり上げた。
「「…。」」
二人は目を見合せ、クスクスと笑いながら、互いに脱がし始めた。
濡れて身体に張り付いている服を脱ぎ、タオルで拭き合ってじゃれ合う。
…どうしよう。
こんな事でも、クロと一緒なら楽しい…。
…ずっと側に居てくれたら、ずっと楽しいのかな…。
聖は無意識に、そんなことを考えていた。
聖は起こさないように、そっと腕の中から抜け出し、内風呂でシャワーを浴びて、露天風呂に向かった。
朝から露天風呂って贅沢だよね…。
聖は昨日と同じ場所で、海を眺めていた。
ふと、視線を感じ振り向くと、クロが窓辺に立って、こちらを見てる。
「…おはよう」
「おはよう。…クロは入らないの?」
聖が問いかけると、クロは苦笑いする。
「一緒に入ると、昨日の夜みたいになりそうだから、内風呂にしておく…」
「…昨日の…」
聖は思い出して赤面する。
…そうだった!!
昨日、ココでクロに覆い被されて…、擦り付けられて…。
「思い出させないでよ!」
聖が真っ赤になって、そう言うと、クロは笑いながら内風呂に向かっていった。
朝食は、別部屋の海の見えるダイニングで食べて、部屋に戻ると、布団は片付けられていて、テーブルが置かれていた。
…そうだ…シーツぐしゃぐしゃにしたから、夜、何をしていたか、気付かれてるよね…。
…何か、恥ずかしい…。
聖は頬を染めながら座り、テーブルの上に上半身を乗せた。
「…楽しかった…」
「…聖。まだ、終わりでは無いぞ。家に着くまでが、旅行だ」
クロにそう言われて、身体を起こす。
「…帰り道、まだ、楽しめるだろ」
そう言って、クロは微笑んだ。
…そうだ、まだ、今日は始まったばかり…。
「…どこへ行きたい?」
「海に行きたい」
「了解」
クロは微笑んで、荷物を片付け始めた。
駐車場にたどり着いたとき、どんよりと黒い雲が空を覆っていて、一昨日とは違って、海は荒れていた。
…雨が降ってくるかも…。
高波が堤防に当たり、時々、水飛沫が駐車場にまで、降り注いでくる。
「聖、危ないからソレ以上近付くなよ!」
聖はクロに腕を掴まれた。
荒波が見たいと、クロと一緒に堤防近くまで見に来たのだが、もっと近くで…と、思わず近付いてしまう。
高波は怖いが、見ていて飽きない。
「…全然違うね…」
聖はのんびりと高波を見て答えた。
「…もう良いだろ?車に戻ろう」
クロの心配そうな声に、聖は見るのを諦めた。
もっと安全な場所から海を眺めよう。
「…そうだね」
聖がそう言って、車に足を向けた瞬間、空から大粒の雨が叩きつけるように降り出した。
聖とクロは慌てて、車に戻り、後部座席に飛び乗る。
「ずぶ濡れだ…」
「…着替え、多めに持ってきて良かった…」
二人は止まない雨を見上げ、互の視線が合い、笑い出してしまった。
「…本当だ。家に着くまでが旅行だ」
聖は楽しくなって、笑ってしまった。
旅行に行って、雨に打たれるのも、また、良い思い出になる。
クロはタオルで髪を拭きながら、タオルを渡してくれて、聖は濡れた髪を拭き始めた。
「風邪引くから、着替えてしまおう」
そう言って、車のカーテンを閉め、後部座席の扉を閉めた。
「ほら、聖…」
クロが聖のシャツのボタンを外しだす。
「…。クロも濡れてる…」
そう言って、クロのTシャツをめくり上げた。
「「…。」」
二人は目を見合せ、クスクスと笑いながら、互いに脱がし始めた。
濡れて身体に張り付いている服を脱ぎ、タオルで拭き合ってじゃれ合う。
…どうしよう。
こんな事でも、クロと一緒なら楽しい…。
…ずっと側に居てくれたら、ずっと楽しいのかな…。
聖は無意識に、そんなことを考えていた。
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