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2章
つ、遂に旅に出ます…!
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……う、寒い。なんでこんな寒いんだ…?うわ、おふとぅんが持ってかれてる…そりゃ寒いわな……おふとぅんどこ……あったあった…あったけー……なんだこれ……レンちゃんか?まぁいいや……あったかいし……。ぐぅ………。
「ん……なに……伊織か……んー……すぴぃ……」
なんかぬくぬくなのが引っ付いきたな………。あったけー…一生このままでいたい………夏以外は……。
「んう……伊織の匂いがする……」
ぬくぬくさいこー…なんか良い匂いするし……ふへぇ………
目が覚めると、俺はチハを抱き締めていた。チハも俺をしっかり抱き締めていた。…は?
「……え?」
えーっと…とりあえず下半身チェック!…うん。大丈夫、なにもしてないね。いや、そういう事じゃなくてだな…落ち着け、落ち着くんだ俺。クールになるんだ東條 伊織。昨日…なにがあったんだっけ…。
ええと、オレはチハを野宿させるのは流石にまずかろうという事でベッドで寝かせることしてだな。うーん。あー、それでチハが俺と一緒じゃないと寝ないと言い出して……仕方なく一緒のベッドに入って……ここから記憶が無い…だと…!?
「とりあえず早く出なきゃ…」
レンちゃんが起きたら大騒ぎになる。昨日はコッソリ念話でチハが寝たらソファで寝るかレンちゃんのベッドに潜り込むことで妥協してもらったんだ。
そう思ってチハを引きはがそうとすると、しっかり抱き締めて離れようとしない。いてててて!!!!どんだけ力強く抱き締めてんだよ!もっとソフトにだな…じゃなくて!
「離せ。離すんだチハ」
「やだぁ…」
「やだぁ、じゃない、離せ」
「いやだ」
「そうか。なら仕方ないな」
力づくで振りほどくと、チハを抱き抱えて窓に。
「さようなら、チハ」
「ちょ!え!起きてる!起きてるから止めて!ちょー!わー!!」
「俺のこと好きでも無いんだから抱きつかれたら振りほどけよな。ったく」
「わー、好き好き。いおりんらびゅー…だからもう1回湯たんぽになってくれYO!」
「やだよ、めんどくせえ。…ってか、そろそろ飯だ。俺もレンちゃん起こして食堂向かうから、先に顔洗って待ってろ」
「はいよー」
てててっ、と部屋から小走りに出て行くチハを見送る。あーめっちゃ眠い。もう一眠りしようかねぇ…まだうっすらと暗い空、五時半くらいかな。今日はちょっと早起きだな。
「き、きゃあああああああああああっっ!!!」
その時、宿の中に響き渡る絹を裂くかのような悲鳴!この声は…チハ!?その瞬間、俺は部屋から飛び出し、その声の聞こえた食堂へと走り出していた。
「ちょ、まっ、おおおおお!?!?」
慌て過ぎて階段から転げ落ちた。最強の防御力が無かったら死んでるぞ!とりあえず今はチハだ!何があった!
食堂の目の前で《国宝 鬼斬り》を構えビクビクと震えているチハ。
「どうしたチハ! 何かに襲われたのか!?…いや、チハが襲って誰かが叫んだのか!?」
「お、襲ってないし!あ、ああ、あそこ! そこ! ご、ごっ、Gが!!」
なん……だって……?
視界の隅を走る黒い影!
「おま…え…まさか…、お前のなのか…!」
背筋に悪寒が走る。まさかお前だと言うのか?お前が…1匹見つけたら10匹居ると言われている、忌々しいあの悪魔だと言うのか?そんな、そんなバカな!
「なぜおまえが居るんだ……G!」
G。それは多くの人々を恐怖と混乱の渦に巻き込んだ台所の悪魔。主に水周りを好む音速の黒い弾丸…。好きな人よりも、大嫌いな人の方が遥かに多いだろう忌み嫌われている恐怖の生物。
「く、クソッ! 来い! 来るなら来い! チハ、お前は逃げろ!」
「ご、ごめん!あとは任せたよ!」
ゆっくりGに気付かれないように後ずさり逃げ出すチハを横目に、俺は《無限収納》からハエたたきを取り出し構える。さぁ来い…すぐに叩き潰してやる。
その瞬間、フッ、と現れる黒い弾丸────…
「そこかぁぁぁあ!!!!」
ハエ叩きを振りかぶり、一気に振り下ろす。速度、角度、位置、全てが完璧。
…─────殺った!
これを回避することは不可能だろう!さぁ、俺の前に無残な姿を見せてみよ!
勝利を確信していた俺は、その確信を見事に裏切られることになった…。Gは瞬時に、剣聖とまで呼ばれた俺の太刀筋を見極め、紙一重で躱す。その代償はあまりにも大きかった──…
Gが避けたことにより食堂の長椅子を圧壊させてしまったのだ。なん…だと…魔王すら恐れた俺の剣技を持ってしても、容易く躱すとは…これが数億年前より生き続けて来た生物…。
だけど俺は諦めねえ!人間の…人類の知恵と力を舐めるなああああ!!!!数億年前から存在するアナログな生物になんて負けねえ!地〇ジにも対応した人間の努力の結晶を喰らえ!
「《魔装 闇焔》!オルァァァア!!!!」
ハエたたきに闇の焔を纏わせた一撃…かつて邪神四天王率いる3万の軍勢を恐怖に陥れた魔装…Gよ、そっちの気なら俺も全力で行く!!
───食堂の床を完膚無きまでに切り裂き地を露出させた
しかし、悪魔はそれすらも回避し、俺を嘲笑うかのように飛び込んできた。
「ちょおおおおお!!!ぬうおあああああ!!!《神威》!フルパワー!!」
シュポッ…
や、やった……。遂にやったんだ…はは…ははは!!!!アナログな生物はやはり地〇ジに対応し、常に進化を続ける人間には勝てないんだ!俺の《神威》を喰らって生存できるGなどいない!フハハハハハ!!!
俺が勝利の余韻に浸り、不敵な笑みを浮かべていると、誰かが階段から転げ落ちるような音がする。そして勢いよく食堂に飛び込んで来たのはレンちゃんだった。
「さ、さっきの音は!?食堂が!あっ、ああ!」
やっちまった…。たかが台所の悪魔1匹の為に、魔装…神威…。
俺の周りには、《魔装》の一撃で塵となった椅子とテーブル。《神威》の威力で気絶し、泡を吹いている宿泊客…。
「ちょっとやりすぎちった!あははっ」
店主も呆然じゃん。あー、魔法でテーブル作るかぁ…うぅ、寝起きからMPが抜けていく感覚ぅぅ…
「よし、これで解決したな!」
「その前にいおりくん」
「はひゃい!?」
「私にごめんなさいは?」
店主さん…本当にすいませんでした…。
「ごめんなさい…」
『お主…神の技をゴキブリに使うとか…のぅ?』
なんか声が聞こえてきた気がするけど、無視無視。
────────────────(´・ω・`)
そんなこんな色々なことが有りつつも、無事1週間過ぎて旅支度も整いましたとさ。何があったって?そりゃ…チハが夜這いしに来たり、レンちゃんが乱〇モードになり宿の壁が吹き飛んだり、俺の俺が、性転換薬で姿を眩ませたり…、全然良い思い出ねえなぁ…。何かやらかす度に宿の主人に怒られて、魔法で直して…。
まぁ!レンちゃんもチハ曰く、中堅冒険者並には育ったみたいだし、よしとしましょう。チハって教えんの上手なのな。俺なんて、グータラしてる時に思いついたことを、そのままやってたタイプだから全然教えんの下手なのよね。
チハのロリコン親父を討伐しに行きますかねぇ…
「そんな時に便利な乗り物が欲しい訳で」
「いおりん何言っちゃってんの?」
チハが、転移すりゃ良いじゃん、みたいな目で見てくるけど、違うんだよなぁ。旅の醍醐味はやっぱり景色の移り変わりでしょ!と、言うことでドラゴンを召喚したいと思います!…馬車は嫌なんだよ。揺れると尻がな…な?
「……《召喚》!」
召喚の正しいやり方とか忘れちゃったし、召喚陣の書き方とかわからんけど無問題さ!俺には、膨大な魔力があるからな!ハッハッハッ。
魔力を注ぎ込むと淡い光からどす黒い闇が生まれ出てきた。そして、その闇が弾けたと思えば…そこには!
『お前か…我を呼び出したのは…ぬ!?お前はイオリ!!!』
半年前に切り刻んだ黒龍がいた。やっべ
「よう。おひさー!」
『何の用だ!』
こいつ未だ微塵切りにされたこと恨んでるなぁ。良いじゃん、復活したんだからさ。黒龍召喚のせいで街の人怯えちゃってるし、怒気で街が震えてるし…。
「俺と契約して召喚魔になっちゃってYO!」
キラッ。
…いや何呆然としてるんだよ。せめて、レンちゃんかチハくらい反応してくれないと、この内股でゲ〇ツとかやってる恥ずかしいポーズ解除できないじゃん。…ねぇ?
『お前は………』
「なんだよ」
『情けない………』
「………喰らえ!激おこスティックファイナリアリーぷんぷんドリーム!!!!!」
説明しよう!げきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム!とは、伊織の煽り耐性を突き破りし時のみ発動する究極の拳骨だ!
『ぬ!?ちょ、おまっ!待って!待て待て待て!!!契約するから!!!まっ…うんあああああああああああ!!!!!!!!』
ドラゴンが吹き飛んだ!
「い、いおりんも…す、すっげえことするよねぇ…」
「イオリさんって実は凄い人なんですかね…」
チハもレンちゃんも呆然。
黒い鱗に包まれたドラゴン…黒龍。黒龍が現れれば街は滅び、王国は、全ての民は混沌に包まれ息絶える。《厄災》の象徴。…だったっけな。
…とりあえず、黒龍が吹っ飛んだ場所に《転移》
おお、いたいた。気絶してんじゃん。早く起き上がれよな…、よし、善意から《水球》に全力で魔力を込めて…
『ん、う…とてつもない魔力の気配…ちょおおおおお!!!伊織!ストップ!ギブじゃあああああ!!!!!契約する!!契約するから我に名を与えよおおおおお!!!!』
問答無用! と言いたいところだけど死なれては困るので、やめてあげよう。
「じゃーお前の名前は……孫 ごく『その名前はやめよ!!』 …仕方ねえなぁ」
「じゃあ……ベジ『その名前もダメだ!!』 …チッ」
「ならお前はクロな。クロ」
ようやく名前が決まり、名を与えると、契約完了とばかりにクロの体が光り、光が収まると
『我が主の仰せのままに』
なんか凄く従順になった。
『で、何をすれば良いんですか?世界を滅ぼしますか?』
「あー…、アトランタまで旅行気分で飛んでくれ!俺達を乗せてな!」
『……は?』
えっ、俺なんかまずいこと言った?なんでクロはこんな呆然としてんのよ。
『そ、そんなことの為にワシを呼んだのかーーーァァァッッッ!!!!!!!』
うるせええええ!!!!なんだよコイツ!!いきなり吠えんなよ!従順になったと思ったらこれかよ!!!!!
「空の旅しようぜ、空の旅。よろぴく」
『はぁ…わかったわい…、もういいわい…』
タラッタッタッタッタッターン!
クロが仲間になった!
よっしゃ。準備万端!
怯えながらも、しっかりクロの背に乗るレンちゃんとチハの姿を確認して、風避けするために結界を張ってだな…よし!
「いけ!クロ!チハの故郷アトランタまで!」
『もうどうにでもなれ!!了解じゃあ!!!』
「ちょ、いおりん!?私の故郷はアトランタじゃなくてピストエールだから!!!」
「……いけ!クロ!チハの故郷ピストエールまで!」
『締まらんなぁ…』
締まらんなぁ…
「ん……なに……伊織か……んー……すぴぃ……」
なんかぬくぬくなのが引っ付いきたな………。あったけー…一生このままでいたい………夏以外は……。
「んう……伊織の匂いがする……」
ぬくぬくさいこー…なんか良い匂いするし……ふへぇ………
目が覚めると、俺はチハを抱き締めていた。チハも俺をしっかり抱き締めていた。…は?
「……え?」
えーっと…とりあえず下半身チェック!…うん。大丈夫、なにもしてないね。いや、そういう事じゃなくてだな…落ち着け、落ち着くんだ俺。クールになるんだ東條 伊織。昨日…なにがあったんだっけ…。
ええと、オレはチハを野宿させるのは流石にまずかろうという事でベッドで寝かせることしてだな。うーん。あー、それでチハが俺と一緒じゃないと寝ないと言い出して……仕方なく一緒のベッドに入って……ここから記憶が無い…だと…!?
「とりあえず早く出なきゃ…」
レンちゃんが起きたら大騒ぎになる。昨日はコッソリ念話でチハが寝たらソファで寝るかレンちゃんのベッドに潜り込むことで妥協してもらったんだ。
そう思ってチハを引きはがそうとすると、しっかり抱き締めて離れようとしない。いてててて!!!!どんだけ力強く抱き締めてんだよ!もっとソフトにだな…じゃなくて!
「離せ。離すんだチハ」
「やだぁ…」
「やだぁ、じゃない、離せ」
「いやだ」
「そうか。なら仕方ないな」
力づくで振りほどくと、チハを抱き抱えて窓に。
「さようなら、チハ」
「ちょ!え!起きてる!起きてるから止めて!ちょー!わー!!」
「俺のこと好きでも無いんだから抱きつかれたら振りほどけよな。ったく」
「わー、好き好き。いおりんらびゅー…だからもう1回湯たんぽになってくれYO!」
「やだよ、めんどくせえ。…ってか、そろそろ飯だ。俺もレンちゃん起こして食堂向かうから、先に顔洗って待ってろ」
「はいよー」
てててっ、と部屋から小走りに出て行くチハを見送る。あーめっちゃ眠い。もう一眠りしようかねぇ…まだうっすらと暗い空、五時半くらいかな。今日はちょっと早起きだな。
「き、きゃあああああああああああっっ!!!」
その時、宿の中に響き渡る絹を裂くかのような悲鳴!この声は…チハ!?その瞬間、俺は部屋から飛び出し、その声の聞こえた食堂へと走り出していた。
「ちょ、まっ、おおおおお!?!?」
慌て過ぎて階段から転げ落ちた。最強の防御力が無かったら死んでるぞ!とりあえず今はチハだ!何があった!
食堂の目の前で《国宝 鬼斬り》を構えビクビクと震えているチハ。
「どうしたチハ! 何かに襲われたのか!?…いや、チハが襲って誰かが叫んだのか!?」
「お、襲ってないし!あ、ああ、あそこ! そこ! ご、ごっ、Gが!!」
なん……だって……?
視界の隅を走る黒い影!
「おま…え…まさか…、お前のなのか…!」
背筋に悪寒が走る。まさかお前だと言うのか?お前が…1匹見つけたら10匹居ると言われている、忌々しいあの悪魔だと言うのか?そんな、そんなバカな!
「なぜおまえが居るんだ……G!」
G。それは多くの人々を恐怖と混乱の渦に巻き込んだ台所の悪魔。主に水周りを好む音速の黒い弾丸…。好きな人よりも、大嫌いな人の方が遥かに多いだろう忌み嫌われている恐怖の生物。
「く、クソッ! 来い! 来るなら来い! チハ、お前は逃げろ!」
「ご、ごめん!あとは任せたよ!」
ゆっくりGに気付かれないように後ずさり逃げ出すチハを横目に、俺は《無限収納》からハエたたきを取り出し構える。さぁ来い…すぐに叩き潰してやる。
その瞬間、フッ、と現れる黒い弾丸────…
「そこかぁぁぁあ!!!!」
ハエ叩きを振りかぶり、一気に振り下ろす。速度、角度、位置、全てが完璧。
…─────殺った!
これを回避することは不可能だろう!さぁ、俺の前に無残な姿を見せてみよ!
勝利を確信していた俺は、その確信を見事に裏切られることになった…。Gは瞬時に、剣聖とまで呼ばれた俺の太刀筋を見極め、紙一重で躱す。その代償はあまりにも大きかった──…
Gが避けたことにより食堂の長椅子を圧壊させてしまったのだ。なん…だと…魔王すら恐れた俺の剣技を持ってしても、容易く躱すとは…これが数億年前より生き続けて来た生物…。
だけど俺は諦めねえ!人間の…人類の知恵と力を舐めるなああああ!!!!数億年前から存在するアナログな生物になんて負けねえ!地〇ジにも対応した人間の努力の結晶を喰らえ!
「《魔装 闇焔》!オルァァァア!!!!」
ハエたたきに闇の焔を纏わせた一撃…かつて邪神四天王率いる3万の軍勢を恐怖に陥れた魔装…Gよ、そっちの気なら俺も全力で行く!!
───食堂の床を完膚無きまでに切り裂き地を露出させた
しかし、悪魔はそれすらも回避し、俺を嘲笑うかのように飛び込んできた。
「ちょおおおおお!!!ぬうおあああああ!!!《神威》!フルパワー!!」
シュポッ…
や、やった……。遂にやったんだ…はは…ははは!!!!アナログな生物はやはり地〇ジに対応し、常に進化を続ける人間には勝てないんだ!俺の《神威》を喰らって生存できるGなどいない!フハハハハハ!!!
俺が勝利の余韻に浸り、不敵な笑みを浮かべていると、誰かが階段から転げ落ちるような音がする。そして勢いよく食堂に飛び込んで来たのはレンちゃんだった。
「さ、さっきの音は!?食堂が!あっ、ああ!」
やっちまった…。たかが台所の悪魔1匹の為に、魔装…神威…。
俺の周りには、《魔装》の一撃で塵となった椅子とテーブル。《神威》の威力で気絶し、泡を吹いている宿泊客…。
「ちょっとやりすぎちった!あははっ」
店主も呆然じゃん。あー、魔法でテーブル作るかぁ…うぅ、寝起きからMPが抜けていく感覚ぅぅ…
「よし、これで解決したな!」
「その前にいおりくん」
「はひゃい!?」
「私にごめんなさいは?」
店主さん…本当にすいませんでした…。
「ごめんなさい…」
『お主…神の技をゴキブリに使うとか…のぅ?』
なんか声が聞こえてきた気がするけど、無視無視。
────────────────(´・ω・`)
そんなこんな色々なことが有りつつも、無事1週間過ぎて旅支度も整いましたとさ。何があったって?そりゃ…チハが夜這いしに来たり、レンちゃんが乱〇モードになり宿の壁が吹き飛んだり、俺の俺が、性転換薬で姿を眩ませたり…、全然良い思い出ねえなぁ…。何かやらかす度に宿の主人に怒られて、魔法で直して…。
まぁ!レンちゃんもチハ曰く、中堅冒険者並には育ったみたいだし、よしとしましょう。チハって教えんの上手なのな。俺なんて、グータラしてる時に思いついたことを、そのままやってたタイプだから全然教えんの下手なのよね。
チハのロリコン親父を討伐しに行きますかねぇ…
「そんな時に便利な乗り物が欲しい訳で」
「いおりん何言っちゃってんの?」
チハが、転移すりゃ良いじゃん、みたいな目で見てくるけど、違うんだよなぁ。旅の醍醐味はやっぱり景色の移り変わりでしょ!と、言うことでドラゴンを召喚したいと思います!…馬車は嫌なんだよ。揺れると尻がな…な?
「……《召喚》!」
召喚の正しいやり方とか忘れちゃったし、召喚陣の書き方とかわからんけど無問題さ!俺には、膨大な魔力があるからな!ハッハッハッ。
魔力を注ぎ込むと淡い光からどす黒い闇が生まれ出てきた。そして、その闇が弾けたと思えば…そこには!
『お前か…我を呼び出したのは…ぬ!?お前はイオリ!!!』
半年前に切り刻んだ黒龍がいた。やっべ
「よう。おひさー!」
『何の用だ!』
こいつ未だ微塵切りにされたこと恨んでるなぁ。良いじゃん、復活したんだからさ。黒龍召喚のせいで街の人怯えちゃってるし、怒気で街が震えてるし…。
「俺と契約して召喚魔になっちゃってYO!」
キラッ。
…いや何呆然としてるんだよ。せめて、レンちゃんかチハくらい反応してくれないと、この内股でゲ〇ツとかやってる恥ずかしいポーズ解除できないじゃん。…ねぇ?
『お前は………』
「なんだよ」
『情けない………』
「………喰らえ!激おこスティックファイナリアリーぷんぷんドリーム!!!!!」
説明しよう!げきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム!とは、伊織の煽り耐性を突き破りし時のみ発動する究極の拳骨だ!
『ぬ!?ちょ、おまっ!待って!待て待て待て!!!契約するから!!!まっ…うんあああああああああああ!!!!!!!!』
ドラゴンが吹き飛んだ!
「い、いおりんも…す、すっげえことするよねぇ…」
「イオリさんって実は凄い人なんですかね…」
チハもレンちゃんも呆然。
黒い鱗に包まれたドラゴン…黒龍。黒龍が現れれば街は滅び、王国は、全ての民は混沌に包まれ息絶える。《厄災》の象徴。…だったっけな。
…とりあえず、黒龍が吹っ飛んだ場所に《転移》
おお、いたいた。気絶してんじゃん。早く起き上がれよな…、よし、善意から《水球》に全力で魔力を込めて…
『ん、う…とてつもない魔力の気配…ちょおおおおお!!!伊織!ストップ!ギブじゃあああああ!!!!!契約する!!契約するから我に名を与えよおおおおお!!!!』
問答無用! と言いたいところだけど死なれては困るので、やめてあげよう。
「じゃーお前の名前は……孫 ごく『その名前はやめよ!!』 …仕方ねえなぁ」
「じゃあ……ベジ『その名前もダメだ!!』 …チッ」
「ならお前はクロな。クロ」
ようやく名前が決まり、名を与えると、契約完了とばかりにクロの体が光り、光が収まると
『我が主の仰せのままに』
なんか凄く従順になった。
『で、何をすれば良いんですか?世界を滅ぼしますか?』
「あー…、アトランタまで旅行気分で飛んでくれ!俺達を乗せてな!」
『……は?』
えっ、俺なんかまずいこと言った?なんでクロはこんな呆然としてんのよ。
『そ、そんなことの為にワシを呼んだのかーーーァァァッッッ!!!!!!!』
うるせええええ!!!!なんだよコイツ!!いきなり吠えんなよ!従順になったと思ったらこれかよ!!!!!
「空の旅しようぜ、空の旅。よろぴく」
『はぁ…わかったわい…、もういいわい…』
タラッタッタッタッタッターン!
クロが仲間になった!
よっしゃ。準備万端!
怯えながらも、しっかりクロの背に乗るレンちゃんとチハの姿を確認して、風避けするために結界を張ってだな…よし!
「いけ!クロ!チハの故郷アトランタまで!」
『もうどうにでもなれ!!了解じゃあ!!!』
「ちょ、いおりん!?私の故郷はアトランタじゃなくてピストエールだから!!!」
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『締まらんなぁ…』
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