調教ホテル 堕ちる夜

黒猫と夜

文字の大きさ
50 / 59
第四章 調教の館

第九節:疲弊

しおりを挟む
美咲のペニスバンドに打ちのめされ、初めて絶頂を経験してしまった玲奈は、晒し台に項垂れたまま、荒い呼吸を続けていた。

「はぁっ……はぁっ……ひゅ……ひゅうっ……」
喉奥で擦れるような呼吸音。汗と涙で濡れた頬を、冷たい空気がひやりと撫でる。
胸は上下を繰り返し、乳首が硬く立っているのを自分でも感じてしまう。
羞恥と恐怖がないまぜになり、脳が焼けるように混乱していた。

(違う……これは違う……。感じてなんかいない。あれは無理やりで、痛みと羞恥で……でも……身体が……)
思考の中で否定と肯定がせめぎ合い、頭の奥でぐるぐると回る。

足枷についた錘がずしりと重く、膝を閉じようとしてもびくともしない。
力を抜けば首の拘束が食い込み、呼吸が詰まる。だから玲奈は中腰の姿勢を必死に維持するしかない。
ふくらはぎが痙攣し、太腿が熱を帯びてぷるぷると震えた。

「んっ……あぁ……」
呻きに似た声が漏れるたび、羞恥で胸の奥がかきむしられる。

(なぜ……私が……。どうして美咲が、あんな……。親友のはずだったのに……)
玲奈の瞳に、裏切られた記憶がよみがえる。
美咲の家に誘われ、安心して眠り込んでしまった自分。
目覚めたら、足を開かされ、首と腕を拘束され……気づいたときには、美咲が「ご主人様」に従う奴隷になっていた。

「っ……だめ……こんなこと……絶対に許されない……」
声を振り絞る。だが、乾いた喉から漏れる声は弱々しく、誰にも届かない。
それでも自分を奮い立たせるように、玲奈は心の中で必死に繰り返した。

(誰かがきっと気づいてくれる。父が……友人が……助けに来てくれるはず……!)
その希望に縋るしかなかった。

けれど同時に――美咲の舌がクリトリスを舐め上げた感覚、ペニスバンドが膣壁を擦り上げた快感が、脳裏に生々しく焼き付いて離れない。
「っ……やめて……思い出すな……っ……」
首を振っても、淫らな感覚は瞼の裏に蘇り、再び下腹部が熱を持ちはじめる。

(だめ……いや……感じてなんかいない……私は……私は……)
必死に否定する心と裏腹に、愛液がじわりと滲み出しているのを自覚してしまう。

「いやぁ……やめてぇ……」
涙声で呟きながら、玲奈は拘束された首を晒し台に押しつけた。
鼻にかかる呼吸音、ひくっ……すんっというすすり泣きが、暗い部屋に木霊する。

やがて夜は深まり、館の静寂が玲奈を包む。
美咲も男もこの部屋を去り、残されたのは重苦しい沈黙と、錘に引かれて足が震える感覚だけだった。

(痛い……重い……苦しい……)
しかしそれ以上に、心を抉るのは「自分が快感に敗北した」という屈辱だった。

――夜明け。
窓のない地下室にわずかに灯るランプの光が揺れ、玲奈は荒い息を繰り返したまま、疲弊した身体を晒し続けていた。
羞恥と絶望を抱えながら、それでも「明日は必ず誰かが助けに来る」と自分に言い聞かせて。

だがその希望こそが、翌日以降のさらなる奈落に引きずり込む罠であることを、玲奈はまだ知らなかった。

地下室の空気は、夜明けを迎えてもなお淀んでいた。
分厚い扉に遮られて外の気配は一切なく、時間の流れはとうに失われている。

玲奈は一晩中、中腰の姿勢で晒し台に縛られたまま耐え続けていた。
首と両手は木の枠に固定され、足首には錘が付いた枷。
足を閉じようとすれば錘が重く、膝を寄せることも叶わない。
ひたすら腰を突き出した格好を保ち、もし力尽きて膝を折れば首が台に引かれて窒息する――そんな状況が、彼女の全神経を削っていた。

「はぁっ……ひゅ、っ……あぁ……」
荒く短い息。呼吸のたびに肩が小刻みに震え、乾いた喉から**ひゅっ…ひゅっ…**と擦れる音が漏れる。
ふくらはぎは痙攣し、太腿は熱を帯びて痺れ、全身からは汗が滴り落ちて床に斑点を作っていた。

(もう……立っていられない……でも崩れたら……首が……)
涙は乾いて頬に筋を描き、眼差しは焦点を失いかけている。
それでも気丈に踏ん張り続けたのは――自分は令嬢であり、屈するわけにはいかないという最後の矜持だった。

そのとき、**ぎぃ……**と扉が開く音が響いた。
重たい靴音が、石床に冷たく反響する。
玲奈の身体がびくんと震え、こわばった喉から声がにじみ出る。

「だ、誰……っ。誰なの……?」

現れたのは、あの男。そしてその傍らに従順な影のように付き従う美咲の姿。
二人の姿を見た瞬間、玲奈の胸に再び怒りと絶望がないまぜになって込み上げる。

「ご主人様……」
美咲が静かに頭を垂れる。
玲奈はその言葉に耳を疑った。親友の口から迷いなく放たれる呼び名――それが心をぐしゃぐしゃに掻き乱す。

「美咲……っ! どういうことなの!?」
張り詰めた声で叫ぶ。
「昨日のことは夢なんでしょう? 遊びに行ったはずなのに……なぜこんな……!」

必死に問いただす玲奈を見下ろし、美咲は悪びれもせず唇を開いた。
「夢なんかじゃないわ、玲奈。ここから先は現実。ご主人様の命令で、私はあなたを堕とすの」

「堕とす……? な、何を言ってるの……。親友の私を……?」
「そう。もう私はご主人様の奴隷。命令なら親友でも従うの」
淡々と、しかし嬉しげに告げる美咲の目は揺らがない。

玲奈は涙に滲む視界の中で、必死に言葉を探した。
「ふざけないで……! こんなことして許されると思ってるの!? 誰か……誰か助けてっ!」

だが、その叫びは石壁に吸い込まれて反響するだけ。
ご主人様は口角を上げ、冷たい声を落とした。
「叫んでも無駄だ。ここはお前の世界とは切り離された場所だ。――だが安心しろ。今日からはちゃんと“気持ち良く”してやろう」

「っ……やめて……!」
玲奈は晒し台の中で必死に首を振る。
だが枷がぎちりと音を立て、抵抗がかえって自らを苦しめるだけだった。

男はゆっくりと歩み寄り、晒し台の金具に手を掛ける。
がちゃんと錠が外れる音。
「……っ!」
玲奈の心臓が跳ねる。
ついに両手と首を固定していた板が上げられ、解放された。

だが同時に、足の錘はまだ重くぶら下がったまま。
長時間の拘束で痺れきった足はふらつき、崩れ落ちそうになる。
「ひっ……!」
慌てて耐えるが、その姿は痛々しく、屈辱的だった。

「よく耐えたな、令嬢」
男の冷ややかな声が落ちる。
「だが、今日はまだ始まったばかりだ」

玲奈は荒い呼吸の中で、必死に震える瞳を上げた。
「なにを……する気なの……?」

横に立つ美咲の唇が、柔らかく、しかし残酷に綻ぶ。
「これからあなたに教えてあげるわ。――ご主人様の奴隷として生きる悦びを」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...