素直になれない平凡はイケメン同僚にメスイキ調教される

天野カンナ

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70.な、これで付き合ってないなんておかしいだろ

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「凄い、本人だ」

 旭が目を輝かせながら新を見ていると、敦は不機嫌そうに恋人を睨んだ。

「本当、旭ってイケメンに弱いよな」

 愚痴を無視して見つめているうちに、新がこちらに駆け寄ってきて、合流する。

「こちらが、噂の敦の恋人?」
「は、は、初めまして」

 顔を赤くしながら緊張してソワソワしている旭を見た新は、微笑みながら手を差し出してきた。


「こちらこそ、初めまして。旭の話はよく明から聞いてるよ。これからよろしくね」

 こんな挙動不審な自分を目の前にしても何とも思わないなんて、なんて優しいんだろうと旭も手を差し出す。
 暖かくて大きな手と、細長くて綺麗な指に手を握られて、握手しただけでも気絶してしまいそうになる。

「ほら、旭もういいだろ」

 新といちゃついている旭を敦は後ろから抱きしめると、耳元に唇を近づけた。

「あまり新さんと目合わせてると、石になっちゃうぞ」

 耳元で怖い話でもするように声のトーンを落としながら、そう囁かれるとゾクっとしてしまう。
 まさかとは思うが、新さんの目は敦と同じように、長い事見つめていると吸い寄せられて石のように固まってしまうような、澄んだ目をしていた。
 だから、あながち敦の言うことは間違っていないのかもしれない
 そんな二人に新は呆れながら、肩を落とした。

「俺はメデューサかよ。って、明はどこに行く気だ」

 新はこっそり売店に行こうとしている明を素早く見つけると、睨みを効かせる。
 目が合った明はイタズラがバレた子供のようにしょげていた。

「暑いからアイス食べたいなって」
「アイスならさっき機内で食べただろ。1日2個食べたら糖質と脂質の摂りすぎになるからダメだ」
「え~っ。いいじゃん別に」
「ダメだろ。それで明が体壊したりしたら俺はどう悔やんだらいいのか……」

 上目遣いでアイスをおねだりする明に、新は悲しそうに目を潤ませながら、子供を叱る親のように言い聞かせた。
 その表情を見た明も悲しそうな顔をして、新を見つめる。
 
「分かった。辞めるから、そんな悲しそうな顔するなって」
「本当か!じゃあ、ご褒美に頭を撫で撫でしような」
「うん」

 新はニコニコと微笑みながら、頭に手を置くと小動物を撫でるような優しい手つきで明を撫でる。
 そんな二人を敦と旭は呆れながら見ていた。

「な、これで付き合ってないっておかしいだろ」
「うん」

 最初は明にも子供みたいに可愛い一面があるのかと、ほっこりしながら見ていた旭だったが、途中から繰り広げられるバカップルの会話に呆気に取られてしまっていた。
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