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12話
しおりを挟む「ち、近寄るな!! こっちに来るな!!」
ロベルト王太子殿下がカミーラに声を荒げた。
カミーラは何故ロベルト王太子殿下が声を荒げたのか理解出来ないのかポカンとしている。
「ロベルト様ぁ、なんで怒っているの~?」
呑気にカミーラは問いかける。今まで通りならロベルト王太子殿下はカミーラへ優しく微笑み、答えただろう……。
しかし、今は違う。カミーラの見た目は散々邪険に扱われてきた、今までの醜いわたくしの姿。
当然のことのようにロベルト王太子殿下はカミーラから距離を取っている。
あんなにぺったりくっついていたのに今は近寄るなですって……。正直な人……。
わたくしが心の中で軽蔑していると、騒ぎは大きくなっていく。
「お前はカミーラなのか!? 美しかったカミーラはどこだ!!」
「ロベルト様ぁ、わたしはここですよ~。なにを言っているの?」
「ええい!! うるさい!! お前みたいな醜い者がカミーラなはずがない!!」
ロベルト王太子殿下は顔を真っ赤にして言います。
そんなロベルト王太子殿下の言葉にカミーラはいつも通り泣けば解決するかのように泣く演技をはじめました。
「グスッ……。ロベルト様ひどいわ! わたしは今も綺麗じゃない! 醜いっていうのはお姉様のような者をいうんじゃない!!」
そう言いながらこちらへと指を差したカミーラ。指を差したと同時に視線もこちらへと向けた。
カミーラと目が合う。
そして、カミーラはわたくしを見て固まった……。
もちろん、ロベルト王太子殿下も固まっている。
「……な、なんで?」
ぽつりと言ったカミーラの一言がやけに周囲に響いた。
未だにこの状況が掴めていないブランシェット王国の者達。そして、カレブ様達は何かを知っているように冷静だ。
「さて、何故こんなことが起きているのか説明しようか……」
カレブ様はそう言い、ニヤリと笑いました。
カレブ様のその笑みに、周囲は息を呑みます。
「まず、今の状況を見て分かる通りにデラクール姉妹はその見た目を交換させられていたみたいだね。アーリアの見た目はカミーラに。カミーラの見た目はアーリアに。そう、生まれる前からアーリアには呪いがかかっていた……」
「の、呪い……」
わたくしが呪いにかかっていたの?
呪いと聞くと恐ろしい……。今までそのことに気づかずに過ごしていたと思うと少し震えてくる。
それに一体誰がわたくしに呪いをかけていたのか……? ましてや生まれる前からなど。
「嘘よ!! それが呪いだとは分からないじゃない!! それに、貴方がさっきした魔法こそが呪いなんじゃなくて!! わたくしの可愛いカミーラの美貌を返しなさいよ!!」
突然、話を遮ったのはカリスタ第二夫人。またもやヒステリックな言い方をしている。
だけど、カレブ様はいたって冷静だ。カリスタ第二夫人に向かって冷たく言い返す。
「我々がした魔法は解術の魔法だ。その証にアーリアの顔にあった痣が消えているだろう? もし、我々が魔法をかけたなら顔の痣もカミーラ嬢の顔に現れるはずだ……」
すると、皆の視線がカミーラの顔へと向いた。
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