淫神の孕み贄

沖田弥子

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受胎の儀 2

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獰猛なそれは柔らかい唇を食むと、唇の合わせに濡れたものを挿し込む。ぬるりと歯列が割られた。

「あ、ふ、ふぁ……」

それがハリルの唇と舌だと理解する頃には、初心な舌根を攫われていた。ずちゅる、と啜り上げられて体の芯が痺れたように硬直する。

「ん、く……」

肉厚の舌を擦り合わされ、濃密な口づけに頭がぼうっとする。体から力が抜けて膝から頽れそうになるが、力強い腕にしっかりと抱き留められていた。
ちゅ、ちゅく、と淫靡な水音を撒き散らしながら角度を変えて深く貪られる。交わり合う唾液が、甘い。鼻孔を濃厚な雄の香りがくすぐった。
ようやく唇が解放されたとき、耳元に低い声音が響く。

「待ってたぞ。孕ませてやる」

ぞくりと足下から背筋にかけて恐怖が這い上がる。セナは必死に拘束する腕から逃れようと暴れた。

「は、はなしてください、ハリルさま……!」
「何を言ってる。俺の精を呑むまでこの室からは出られないぞ」

悠々と体を抱え上げられ、寝台へ運ばれてしまう。黄金の鎖がじゃらんと音高く鳴った。
受胎の室は窓のない部屋の中央に天蓋付きの寝台が据えられている。一脚だけ置かれた燭台が、ぼんやりと紗の薄布を浮かび上がらせた。見れば寝台もリネンもすべて真紅に染め上げられている。
まるで、血の色だ。
セナを抱いたまま真紅の寝台に倒れ込んだハリルは、華奢な体をきつく抱きしめた。ハリルの逞しい体は、火傷しそうなほどに熱い。

「ようやく抱けるな。このときを待ち望んでいたぞ。おまえを初めて見たときから、犯したいと思っていた」

喉元にきつく吸いつかれて紅い痕を散らされる。乾いた大きな手は平らな胸を撫で下ろし、突起を飾る三日月の装飾ごと弄った。
早急な愛撫と男の熱い体温についていけず、セナは首を振って抗う。

「やっ……いやだ……!」

燭台の灯りに映し出されたハリルが黒い影となってセナに伸し掛かる。
こわい。
恐怖に支配されたセナは己に課せられた使命などすっかり忘れ去っていた。
必死に抵抗して男の胸を押し戻そうとするが、強靱な体躯はびくともしない。

「好きなだけ暴れろ。そのほうが犯しがいがある」
「ひっ」

がぶりと金具ごと乳暈に歯を立てられる。そのまま尖らせた舌先で乳首を幾度も突かれた。
湧き上がる鋭い快楽に、背筋をぶるりと震わせる。
いやだ。感じてなんかいない。
脳裏で否定しながら体を硬くして与えられる愛撫をやり過ごそうとするが、ハリルはもう片方の乳首にも指先を這わせてきた。
巧妙に三日月の装飾を弄り、乳首を刺激する。神具により既に硬く尖らされた乳首は、痛いほど張り詰めた。

「ん、ん……いたい……感じすぎて……」

唇を戦慄かせて涙声を上げると、ハリルは噛みついていた胸元から口を離した。

「優しくできない。舐めてやる」

歯形がつけられた乳暈も、張り詰めた乳首も、ねっとりと舌で舐め上げられる。舌は鳩尾を伝い下りて臍の窪みを辿り、脇腹を執拗に往復する。
肌を飾る神具の鎖が、ハリルの舌が這わされるたびに、しゃらしゃらと鳴り響いた。

「は……ふ、……ん、あ、そこ、いや」

下腹の淫紋までも、紋様に沿うように濡れた舌でなぞられる。途端に淫紋が熱く疼いた。
快楽を得て疼く淫紋は、触れれば直に神経を掴まれたかのような激しい快感を与えられてしまう。
イルハーム神の淫紋を舌で辿るなんて不敬だ。奉納の儀では、誰も淫紋に触れることはしなかった。
身を捩り、やめさせようとするセナを不遜な眼差しが見上げてくる。

「ここが感じるんだろう。おまえが腰を振れば淫紋が蠢くからな」
「やだ……あっ、あ……」

じっくりと真紅の淫紋に舌を這わせられ、びくり、びくりと体が跳ね上がる。快感を覚えた花芯は先端に蜜を滲ませて、頭を擡げ始めた。
それは淫紋を舐めるハリルの喉元をくすぐる。苦笑したハリルは位置をずらした。

「こっちもか」

手のひらで愛しげに淫紋を撫で回しながら、ぬろりと裏筋を舌で舐め上げる。巧みな愛撫を与えられた花芯はきつく屹立する。

「んっ……くぅ……」

けれど嵌められたリングが勃ち上がった花芯の根元を締めつけた。
つらい。外してほしい。
快感を得るほどに神具はセナを淫らに縛りつけていく。花筒に挿入されている金の棒も、柔らかい内壁を冷酷に犯していた。
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