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18.デートと予期せぬ遭遇②
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慶弥さんと付き合うと決めた時点で、いつかは結婚を考える相手なんだろうと思いはしたけれど、実際は私も職場が変わることになったり、刻々と状況は変化している。
少なくともルサルカを離れる時点で、物理的な距離が近くなるのも手伝って、慶弥さんと顔を合わせる機会は増えるだろうし、お互いを知るにはいいチャンスだと思う。
だけど仕事が変わることで見えてくるものもあるだろうし、今すぐ結婚どうこうっていう話には決してならない。
(まだ慶弥さんのご両親への罪悪感が、消えてないのかな)
慶弥さんの自宅の近くには結構社員が住んでるという理由で、電車に乗って移動すると、二人で会話しているのに、私はどこか上の空でそのことばかり考えてしまう。
二人でいると、どうしても付き合った先の関係を考えずにはいられない。
それが結婚なのか別れなのか、そこまでは分からないけれど、いつか二人の、自分の人生を決める日はやってくるんだ。
そしてモヤモヤしたまま、目的地に着いてすぐに買った洋服に着替え、少し休憩がてらカフェに行く途中、予想だにしなかった人とすれ違い、案の定呼び止められてしまった。
「あれ、瑞穂じゃないか」
「……お兄ちゃん⁉︎ なんでここに」
「休みだからな。家族で買い物だよ」
兄の和彦は、すぐ先の雑貨屋さんを指差して状況を説明すると、慶弥さんに会釈してから、紹介しろと私を軽く睨む。
「こちらは私がお付き合いしてる草壁慶弥さん。慶弥さん、この人は兄の和彦です」
「初めまして。草壁です」
「どうも、初めまして。妹がお世話になってます」
なんとなく気まずい雰囲気に、早々にその場を立ち去ろうとすると、そんな私たちの元に元気な声で駆け寄ってくる子どもたちが姿を現した。
「パパ! 遅いよ」
「遅いー。あ! 瑞穂ちゃんだ」
「健ちゃん、日菜ちゃん、久しぶりだね」
私を取り囲む二人に圧倒されていると、後からやってきた兄嫁の由華ちゃんが二人を止めに入る。
「こら。瑞穂ちゃん困ってるでしょ。でも偶然ね、元気だった?」
「由華ちゃんも。相変わらずみんな元気そうだね」
兄一家に捕まってしまい、その場を離れるタイミングを失うと、兄はなにを思ったのか、せっかくだからと慶弥さんにどこかで休憩しないかと話しかけている。
「やだなに、瑞穂ちゃんデート中だったの⁉︎ パパ、せっかくのデートの邪魔しちゃダメじゃない」
「いえいえ、私たちなら構いませんよ。ね? 瑞穂」
慶弥さんがにっこりと笑うと、由華ちゃんは驚いた様子で私の袖を掴み、なにか言いたげに口をパクパクさせて私をみる。
(由華ちゃん、イケメンに弱いもんな……)
きっとあれこれ聞きたいのだろうなと思ったものの、子どもたちが早くも騒ぎ始めたため、とりあえず場所を移動しようと、ショウウインドウにパフェが並ぶ近くの喫茶店に入ることにした。
「大人しくしてるのよ」
「はーい」
「ねえ、パパだっこ」
「静かに出来るなら抱っこしてあげる」
家庭を持つとはこういうことなんだろうかと、兄一家を眺めながら喫茶店に入る。
チラッと覗き見た隣に並ぶ慶弥さんは、お兄さんやタラントさんたちがいるからか、子どもがいる特有の騒がしさに驚く気配がない。
一気に賑やかになった私たちは、お店の奥の四人掛けテーブル席に子ども用の椅子をセッティングしてもらって、兄夫婦と、私と慶弥さんが向かい合って座る形になった。
「せっかくのデートなのにごめんなさいね。瑞穂ちゃんだって久々の休みでしょ? もう、パパは強引なのよ」
パフェが食べたいと騒ぐ子どもたちの相手をしながら、由華ちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「本当にね。お兄ちゃんは強引すぎる」
「いえいえ。お誘いありがとうございます。こんな機会もないとご挨拶出来ませんから」
慶弥さんはにっこり笑うと、静かにテーブルの下で私の手を握って、大丈夫だよとサインをくれる。
そんな些細な気遣いにホッとしながら、兄一家と賑やかなティータイムを過ごすことになった。
少なくともルサルカを離れる時点で、物理的な距離が近くなるのも手伝って、慶弥さんと顔を合わせる機会は増えるだろうし、お互いを知るにはいいチャンスだと思う。
だけど仕事が変わることで見えてくるものもあるだろうし、今すぐ結婚どうこうっていう話には決してならない。
(まだ慶弥さんのご両親への罪悪感が、消えてないのかな)
慶弥さんの自宅の近くには結構社員が住んでるという理由で、電車に乗って移動すると、二人で会話しているのに、私はどこか上の空でそのことばかり考えてしまう。
二人でいると、どうしても付き合った先の関係を考えずにはいられない。
それが結婚なのか別れなのか、そこまでは分からないけれど、いつか二人の、自分の人生を決める日はやってくるんだ。
そしてモヤモヤしたまま、目的地に着いてすぐに買った洋服に着替え、少し休憩がてらカフェに行く途中、予想だにしなかった人とすれ違い、案の定呼び止められてしまった。
「あれ、瑞穂じゃないか」
「……お兄ちゃん⁉︎ なんでここに」
「休みだからな。家族で買い物だよ」
兄の和彦は、すぐ先の雑貨屋さんを指差して状況を説明すると、慶弥さんに会釈してから、紹介しろと私を軽く睨む。
「こちらは私がお付き合いしてる草壁慶弥さん。慶弥さん、この人は兄の和彦です」
「初めまして。草壁です」
「どうも、初めまして。妹がお世話になってます」
なんとなく気まずい雰囲気に、早々にその場を立ち去ろうとすると、そんな私たちの元に元気な声で駆け寄ってくる子どもたちが姿を現した。
「パパ! 遅いよ」
「遅いー。あ! 瑞穂ちゃんだ」
「健ちゃん、日菜ちゃん、久しぶりだね」
私を取り囲む二人に圧倒されていると、後からやってきた兄嫁の由華ちゃんが二人を止めに入る。
「こら。瑞穂ちゃん困ってるでしょ。でも偶然ね、元気だった?」
「由華ちゃんも。相変わらずみんな元気そうだね」
兄一家に捕まってしまい、その場を離れるタイミングを失うと、兄はなにを思ったのか、せっかくだからと慶弥さんにどこかで休憩しないかと話しかけている。
「やだなに、瑞穂ちゃんデート中だったの⁉︎ パパ、せっかくのデートの邪魔しちゃダメじゃない」
「いえいえ、私たちなら構いませんよ。ね? 瑞穂」
慶弥さんがにっこりと笑うと、由華ちゃんは驚いた様子で私の袖を掴み、なにか言いたげに口をパクパクさせて私をみる。
(由華ちゃん、イケメンに弱いもんな……)
きっとあれこれ聞きたいのだろうなと思ったものの、子どもたちが早くも騒ぎ始めたため、とりあえず場所を移動しようと、ショウウインドウにパフェが並ぶ近くの喫茶店に入ることにした。
「大人しくしてるのよ」
「はーい」
「ねえ、パパだっこ」
「静かに出来るなら抱っこしてあげる」
家庭を持つとはこういうことなんだろうかと、兄一家を眺めながら喫茶店に入る。
チラッと覗き見た隣に並ぶ慶弥さんは、お兄さんやタラントさんたちがいるからか、子どもがいる特有の騒がしさに驚く気配がない。
一気に賑やかになった私たちは、お店の奥の四人掛けテーブル席に子ども用の椅子をセッティングしてもらって、兄夫婦と、私と慶弥さんが向かい合って座る形になった。
「せっかくのデートなのにごめんなさいね。瑞穂ちゃんだって久々の休みでしょ? もう、パパは強引なのよ」
パフェが食べたいと騒ぐ子どもたちの相手をしながら、由華ちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「本当にね。お兄ちゃんは強引すぎる」
「いえいえ。お誘いありがとうございます。こんな機会もないとご挨拶出来ませんから」
慶弥さんはにっこり笑うと、静かにテーブルの下で私の手を握って、大丈夫だよとサインをくれる。
そんな些細な気遣いにホッとしながら、兄一家と賑やかなティータイムを過ごすことになった。
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