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第一章 ラバネス半島編
20.トランスベル王国からの無茶な要求!
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王都ブリタスの店舗で『ボーン食器』、香水、石鹸を売り出して二か月が過ぎた。
「各店舗の状況報告をお願いするよ」
「では、まずディルメス侯爵領の各店舗からいくね。各店舗ともに『ボーン食器』の売れ行きは好調。でもちょっと伸び悩みかも。香水は安定に伸びてる。石鹸はまだめちゃめちゃ売れてるってさ。侯爵領の工場も、王都の工場もフル稼働中。特に異常なし」
「次を教えて」
「王都ナブルの店舗では『ボーン食器』も香水も石鹸も品薄状態だって。在庫があれば回してほしいらしいよ。それから時々はシオン様も顔を見せてって、リムルの姉ちゃんが言ってたよ」
最近ではすっかり『ロンメル商会』の伝達係が板についてきたアロムがエヘンと胸を張る。
ハーフリングのアロムは魔獣使いのスキル持ちで、魔獣を従えることができるテイマーだ。
その上、魔獣と会話ができたりもする。
だからアロムの能力でスカイシーグルというカモメに似た魔獣をテイムしてもらい、各店舗や工場の伝達に役立ってもらっているんだ。
今は僕の執務室に置いてある姿見の転移ゲートを使えば、王都ナブルの店舗にも、王都ブリタスの別邸にも、ディルメス侯爵家の邸にも転移できるけど、普段はスタッフ達の使用を禁止している。
だって執務室で書類作業などをしている時に、近くをバタバタと行き来されたら、気が散って仕事に集中できないからね。
まあ……ほとんどの『ロンメル商会』の重要な仕事は、レミリアとアグウェルにしてもらって、僕はほとんど二人のお手伝いをしててるだけなんだけど……
「そういえば王都ナブルの店舗は、リムルに任せっきりになってるね。今度、遊びにいくって伝えておいて」
「わかったー。お姉ちゃんに伝えておくよ」
サキュバスのリムルは、見た目からはわからないけど、事務処理能力がすごく高いんだよね。
それの接客能力もずば抜けていて、だから今は王都ナブルの店舗の店長をしてもらっているのだ。
ちなみに王都ブリタスの店長はシャムにしてもらっていたりする。
アグウェルは『ロンメル商会』の統括、レミリアは以前と変わらず副会長のままだ。
しっかりと商会の体制を整えたことで、業務の流れで困ることはほとんどなくなった。
そんなある日の午後、執務室で紅茶を飲んでいると、姿見の転移ゲートからエドワードさんが一人で姿を現した。
「あれ? 今日はフィーネは一緒じゃないんですね」
「今回は仕事できた。城でロンムレス宰相がシオン君を呼んでるんですよ。既にディルメス侯爵は宰相閣下の元へ向かわれています。私と同行をお願いします」
「父上と僕が、わかりました。一緒に行きます」
僕とエドワードさんは店舗の建物を出て、王都へと向かった。
姿見の転移ゲートを使えば王城に転移できるだけど、転移した先はフィーネの私室だからね。
女の子を部屋を通路代わりに使うのは、なんだか心苦しくてできないんだよな。
エドワードさんに案内されて王城へ到着した僕は扉をノックしてロンムレス宰相の部屋へと入る。
すると室内ではソファに座ってロンムレス宰相と父上が話し合っていた。
僕は「失礼します」と言って、父上の隣のソファに座る。
「今、諸外国の外交官達が我が王国に集まり『ボーン食器』についての交渉が行われている。外交官達からも好評で、『ボーン食器』の取引をしたいと申し出てくる外交官もいるくらいだ。しかし、その交渉の中で問題が発生してな。トランスベル王国の外交官が『ボーン食器』の製造方法を教えろと言ってきているのだ」
トランスベル王国はブリタニス王国の北部と国境を接している王国だ。
以前から、ブリタニス王国とは対立しているだ。
製造法を教えるということは、トランスベル王国が独自で『ボーン食器』を加工生産して販売したいということだよね。
《創造魔法陣》のスキルで魔法陣を描いて、商品を作っているから、魔法陣を使わずに他の人が『ボーン食器』を作るのは無理なんだけどな……
ロンムレス宰相は眉根を指で押えて難しい表情する。
「もちろん、そのような無茶な要求はのめないと突っぱねてはいるが」
「『ロンメル商会』の工場では、僕が独自に編み出した魔法陣を使用して商品を作っています。その魔法陣は僕しか描けないので、ブリタニス王国が真似をしようとしても無理だと思うんですけど」
「それならば、いっそのこと工場で使っている魔法陣ということで、魔法陣を一枚、トランスベル王国側に譲ってみたらどうだ。どうせシオンしか魔法陣は描けないのだから、ブリタニス王国が『ボーン食器』を真似た商品を作ることは無理だろう」
「こちらは魔法陣を渡したわけだから、その魔法陣を量産できなかたのはブリタニス王国側の魔法技術に問題があることになる。そうなれば我が王国には何の落ち度もない、魔法陣を一枚でも提供しただけ、我が王国は外交に協力したと言えるからな」
それからも僕、父上、ロンムレス宰相は相談し、トランスベル王国の外交官へ僕が描いた魔法陣を渡す手筈となった。
それから三日後、ブリタニス王国側の外交官から、トランスベル王国側の外交官へ『ボーン食器』を作る時に使う魔法陣の一枚が手渡された。
トランスベル王国側の外交官は意気揚々と母国へ帰っていったという。
「各店舗の状況報告をお願いするよ」
「では、まずディルメス侯爵領の各店舗からいくね。各店舗ともに『ボーン食器』の売れ行きは好調。でもちょっと伸び悩みかも。香水は安定に伸びてる。石鹸はまだめちゃめちゃ売れてるってさ。侯爵領の工場も、王都の工場もフル稼働中。特に異常なし」
「次を教えて」
「王都ナブルの店舗では『ボーン食器』も香水も石鹸も品薄状態だって。在庫があれば回してほしいらしいよ。それから時々はシオン様も顔を見せてって、リムルの姉ちゃんが言ってたよ」
最近ではすっかり『ロンメル商会』の伝達係が板についてきたアロムがエヘンと胸を張る。
ハーフリングのアロムは魔獣使いのスキル持ちで、魔獣を従えることができるテイマーだ。
その上、魔獣と会話ができたりもする。
だからアロムの能力でスカイシーグルというカモメに似た魔獣をテイムしてもらい、各店舗や工場の伝達に役立ってもらっているんだ。
今は僕の執務室に置いてある姿見の転移ゲートを使えば、王都ナブルの店舗にも、王都ブリタスの別邸にも、ディルメス侯爵家の邸にも転移できるけど、普段はスタッフ達の使用を禁止している。
だって執務室で書類作業などをしている時に、近くをバタバタと行き来されたら、気が散って仕事に集中できないからね。
まあ……ほとんどの『ロンメル商会』の重要な仕事は、レミリアとアグウェルにしてもらって、僕はほとんど二人のお手伝いをしててるだけなんだけど……
「そういえば王都ナブルの店舗は、リムルに任せっきりになってるね。今度、遊びにいくって伝えておいて」
「わかったー。お姉ちゃんに伝えておくよ」
サキュバスのリムルは、見た目からはわからないけど、事務処理能力がすごく高いんだよね。
それの接客能力もずば抜けていて、だから今は王都ナブルの店舗の店長をしてもらっているのだ。
ちなみに王都ブリタスの店長はシャムにしてもらっていたりする。
アグウェルは『ロンメル商会』の統括、レミリアは以前と変わらず副会長のままだ。
しっかりと商会の体制を整えたことで、業務の流れで困ることはほとんどなくなった。
そんなある日の午後、執務室で紅茶を飲んでいると、姿見の転移ゲートからエドワードさんが一人で姿を現した。
「あれ? 今日はフィーネは一緒じゃないんですね」
「今回は仕事できた。城でロンムレス宰相がシオン君を呼んでるんですよ。既にディルメス侯爵は宰相閣下の元へ向かわれています。私と同行をお願いします」
「父上と僕が、わかりました。一緒に行きます」
僕とエドワードさんは店舗の建物を出て、王都へと向かった。
姿見の転移ゲートを使えば王城に転移できるだけど、転移した先はフィーネの私室だからね。
女の子を部屋を通路代わりに使うのは、なんだか心苦しくてできないんだよな。
エドワードさんに案内されて王城へ到着した僕は扉をノックしてロンムレス宰相の部屋へと入る。
すると室内ではソファに座ってロンムレス宰相と父上が話し合っていた。
僕は「失礼します」と言って、父上の隣のソファに座る。
「今、諸外国の外交官達が我が王国に集まり『ボーン食器』についての交渉が行われている。外交官達からも好評で、『ボーン食器』の取引をしたいと申し出てくる外交官もいるくらいだ。しかし、その交渉の中で問題が発生してな。トランスベル王国の外交官が『ボーン食器』の製造方法を教えろと言ってきているのだ」
トランスベル王国はブリタニス王国の北部と国境を接している王国だ。
以前から、ブリタニス王国とは対立しているだ。
製造法を教えるということは、トランスベル王国が独自で『ボーン食器』を加工生産して販売したいということだよね。
《創造魔法陣》のスキルで魔法陣を描いて、商品を作っているから、魔法陣を使わずに他の人が『ボーン食器』を作るのは無理なんだけどな……
ロンムレス宰相は眉根を指で押えて難しい表情する。
「もちろん、そのような無茶な要求はのめないと突っぱねてはいるが」
「『ロンメル商会』の工場では、僕が独自に編み出した魔法陣を使用して商品を作っています。その魔法陣は僕しか描けないので、ブリタニス王国が真似をしようとしても無理だと思うんですけど」
「それならば、いっそのこと工場で使っている魔法陣ということで、魔法陣を一枚、トランスベル王国側に譲ってみたらどうだ。どうせシオンしか魔法陣は描けないのだから、ブリタニス王国が『ボーン食器』を真似た商品を作ることは無理だろう」
「こちらは魔法陣を渡したわけだから、その魔法陣を量産できなかたのはブリタニス王国側の魔法技術に問題があることになる。そうなれば我が王国には何の落ち度もない、魔法陣を一枚でも提供しただけ、我が王国は外交に協力したと言えるからな」
それからも僕、父上、ロンムレス宰相は相談し、トランスベル王国の外交官へ僕が描いた魔法陣を渡す手筈となった。
それから三日後、ブリタニス王国側の外交官から、トランスベル王国側の外交官へ『ボーン食器』を作る時に使う魔法陣の一枚が手渡された。
トランスベル王国側の外交官は意気揚々と母国へ帰っていったという。
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