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九尾の狐の菊の陰謀
8☆役目の重さ
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「今は僕があやかしが悪さしないように見張ってるのにこんなことになっちゃうなんて、職務怠慢に思われちゃうのは困るし、なにより、ばーちゃんの縁を変えようとするなんて孫の僕が許せない!絶対妖術を解いて見せようね!橘!」
紺太は、『眠る狐』に自分の使命を邪魔された事を改めて考えるとプンプン怒る。
祖母のウカノミタマの力を上回ろうとするのも気に食わない。
紺太は見た目は温厚に見えて凄くプライドが高い。
「うん、それは、もちろんのことだわ!」
橘も同意するけれど、どこか、なだめるように、頷いているだけなような感じがして紺太は不服だ。
「橘と威津那の子供は殿下の瑞兆になる子供が生まれることは決まった事なのに変えちゃうのはいけない事なんだよ」
紺太はウカノミタマの孫のため、神に血筋の力がより強くあやかしや神の力の危険度を察することが出来る。
「それも、寿ぐ為の殿下と結ばれたら瑞兆が生まれないんだよ」
「そんなの困る!すっごく迷惑だわ!」
橘はやっと本当のことの重要さを察して青くなる。
恋愛云々だけではなく今後の将来の日和の吉兆に関わるほどなんて!
「そうだよ!一大事なの!わかった?」
「うん!」
橘は真剣にうなづく。
「橘の子が、僕の瑞兆になるの?」
あやかしごとに疎い殿下はにこにこと二人の様子を見ていたけれど、気になりお声をかけられた。
瑞兆とは神獣が帝位につく時に帝の世を寿ぐためにあらわれる。
(瑞兆が橘と威津那という、男性の子供とはいかなるものなのか?)と、不思議に思う。
「はい、ウカノミタマ様から私と威津那の子が殿下が皇になられた時の瑞兆になる神呪をしてもらったのです。」
そう言って、お腹を撫でる。
「あ、まだ、お腹の中には何も宿っていないですけどね」
と言って照れ笑いをする。
いつか威津那と結ばれて大切な子供ができると思うととても幸せな気分になるし未来は楽しいものになると思えて、
「陛下の御世もこれからもっと発展して素晴らしい世の中になる……平和になった日和を殿下の御世はきっとずっと平和で争いもなく国民豊かになること間違いなしです。」
橘は祝皇陛下治める未来を心から寿ぐ。
「そういう時代を私たちの子供や孫が日和を支えてくれる…そう信じてます。」
ニカッ!と花が咲いたような笑顔を殿下に向けた。
殿下はその笑顔に、未来を寿ぐ言霊に目を見開き、胸元に手を当てて、俯く。
「うん、橘の寿ぎはとても嬉しいよ…」
少し困ったお顔をなされて微笑む。
「殿下?」
「帝になるのは少し重圧の責任を感じちゃうよね……まだまだ先のことだけど、覚悟決めているけれど……」
殿下は日和を継ぐ重さを密かに一人で抱えていらっしゃると橘は畏れ多くも察する。
帝というものは周りに支えられていても帝としての悩みは誰にも相談できないものだと晴綛が言っていた事を思い出す。
「私たち国民は祝皇陛下が幸せになれるように幸せになります。」
橘は畏れ多くも殿下のお手に触れて瞳を合わせて伝える。
「祝皇陛下の治めていらっしゃる、我が国の幸せが、今も続いていることに心から安心しているんです。」
祝皇陛下、皇太子殿下、皇族殿下方が日和にいらっしゃることが国民の魂からの安心と幸せだということを橘は伝えた。
十年前はそれすらも危うかったのに今も続いて平和への道に進んでいる。
たとへ、無くしたものは多くても未来に進み無くしたものを取り戻すことだって出来るようになるはずと信じている。
それは、祝皇と国民とでいつまでも支え歩んでいく事が幸せに導くのだから……
殿下は橘の手を強く握り返して、
「うん……未来を寿ぐ言霊をありがとう。未来の瑞兆の母君」
と、お頷きになり、身を引き締められた。
「でも、神獣てことは、動物のはずなのに、人間なのかな?」
実はそこが一番疑問だった。
「狐耳尻尾の私みたいな、かわいいあやかしだったりして、カーちゃんみたいなカラスの御霊の場合もあるわね、黒御足の血筋も入るんだから…でも、それじゃ、人間を宿すって事じゃないわよね……?」
それとも、狐とカラスの合わさったみたこともないあやかしになった、子供が瑞兆だったらと……橘は悶々と瑞兆について妄想の世界に入ってしまうところに紺太は橘に声をかけて、
「そこは未来のお楽しみでいいよ、その方が楽しいよ。」
(まぁ、単純にばーちゃんそっくりな立派な神狐だと僕は想像するけどね)
と紺太は心の中で確信していた。
紺太は、『眠る狐』に自分の使命を邪魔された事を改めて考えるとプンプン怒る。
祖母のウカノミタマの力を上回ろうとするのも気に食わない。
紺太は見た目は温厚に見えて凄くプライドが高い。
「うん、それは、もちろんのことだわ!」
橘も同意するけれど、どこか、なだめるように、頷いているだけなような感じがして紺太は不服だ。
「橘と威津那の子供は殿下の瑞兆になる子供が生まれることは決まった事なのに変えちゃうのはいけない事なんだよ」
紺太はウカノミタマの孫のため、神に血筋の力がより強くあやかしや神の力の危険度を察することが出来る。
「それも、寿ぐ為の殿下と結ばれたら瑞兆が生まれないんだよ」
「そんなの困る!すっごく迷惑だわ!」
橘はやっと本当のことの重要さを察して青くなる。
恋愛云々だけではなく今後の将来の日和の吉兆に関わるほどなんて!
「そうだよ!一大事なの!わかった?」
「うん!」
橘は真剣にうなづく。
「橘の子が、僕の瑞兆になるの?」
あやかしごとに疎い殿下はにこにこと二人の様子を見ていたけれど、気になりお声をかけられた。
瑞兆とは神獣が帝位につく時に帝の世を寿ぐためにあらわれる。
(瑞兆が橘と威津那という、男性の子供とはいかなるものなのか?)と、不思議に思う。
「はい、ウカノミタマ様から私と威津那の子が殿下が皇になられた時の瑞兆になる神呪をしてもらったのです。」
そう言って、お腹を撫でる。
「あ、まだ、お腹の中には何も宿っていないですけどね」
と言って照れ笑いをする。
いつか威津那と結ばれて大切な子供ができると思うととても幸せな気分になるし未来は楽しいものになると思えて、
「陛下の御世もこれからもっと発展して素晴らしい世の中になる……平和になった日和を殿下の御世はきっとずっと平和で争いもなく国民豊かになること間違いなしです。」
橘は祝皇陛下治める未来を心から寿ぐ。
「そういう時代を私たちの子供や孫が日和を支えてくれる…そう信じてます。」
ニカッ!と花が咲いたような笑顔を殿下に向けた。
殿下はその笑顔に、未来を寿ぐ言霊に目を見開き、胸元に手を当てて、俯く。
「うん、橘の寿ぎはとても嬉しいよ…」
少し困ったお顔をなされて微笑む。
「殿下?」
「帝になるのは少し重圧の責任を感じちゃうよね……まだまだ先のことだけど、覚悟決めているけれど……」
殿下は日和を継ぐ重さを密かに一人で抱えていらっしゃると橘は畏れ多くも察する。
帝というものは周りに支えられていても帝としての悩みは誰にも相談できないものだと晴綛が言っていた事を思い出す。
「私たち国民は祝皇陛下が幸せになれるように幸せになります。」
橘は畏れ多くも殿下のお手に触れて瞳を合わせて伝える。
「祝皇陛下の治めていらっしゃる、我が国の幸せが、今も続いていることに心から安心しているんです。」
祝皇陛下、皇太子殿下、皇族殿下方が日和にいらっしゃることが国民の魂からの安心と幸せだということを橘は伝えた。
十年前はそれすらも危うかったのに今も続いて平和への道に進んでいる。
たとへ、無くしたものは多くても未来に進み無くしたものを取り戻すことだって出来るようになるはずと信じている。
それは、祝皇と国民とでいつまでも支え歩んでいく事が幸せに導くのだから……
殿下は橘の手を強く握り返して、
「うん……未来を寿ぐ言霊をありがとう。未来の瑞兆の母君」
と、お頷きになり、身を引き締められた。
「でも、神獣てことは、動物のはずなのに、人間なのかな?」
実はそこが一番疑問だった。
「狐耳尻尾の私みたいな、かわいいあやかしだったりして、カーちゃんみたいなカラスの御霊の場合もあるわね、黒御足の血筋も入るんだから…でも、それじゃ、人間を宿すって事じゃないわよね……?」
それとも、狐とカラスの合わさったみたこともないあやかしになった、子供が瑞兆だったらと……橘は悶々と瑞兆について妄想の世界に入ってしまうところに紺太は橘に声をかけて、
「そこは未来のお楽しみでいいよ、その方が楽しいよ。」
(まぁ、単純にばーちゃんそっくりな立派な神狐だと僕は想像するけどね)
と紺太は心の中で確信していた。
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