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14 自業自得ですわね
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「君は……」
私の顔を見て、夜会で会ったことを思い出したのか、見ていておかしいほど、エドウィンの表情がコロコロと変わる。
この調子だと、自分に言った事も思い出したのかしら。
「まぁ、エドウィン様。先日の夜会以来ですわね。その前はいつだったかしら?三年は全く連絡もありませんでしたし、戻るというお話も聞きませんでしたからあの時は驚きましたわ。恋人と参加されてましたものね」
嫌味のように言ってやったけど、不味いと思ったのね。慌てふためいている姿が、まるで陸に上がった魚のように見えますわ。
「いや…、そういう…君も……」
「私ですか?私は使える主人に出ろと言われれば参加しなければならない身ですから、あなたのような恋人とは参加しておりませんが」
この男は自分のことを棚において、何を言い出すのかと思えば、私も他の男と一緒だっただろうも言いたいのよね。それなら言わせてやろうかしら。
そして隣の部屋で呼ばれるのを待っているロドニー様を部屋に来てもらうように執事に目配せして、しばらくするとドアがノックされた。
「失礼。ベイモント侯爵家のロドニーです。今日はアシュリー嬢の証人としてこの場に参加させていただきます」
ロドニー様はいつもの騎士服を纏ったいつも見ている服。あの夜会の時の様な貴族然とした姿よりもこちらの方が何だか慣れかしらね?安心できるわ。
その姿を見ているタウナー伯爵家の皆様は、一様に驚いている様子。ああ、トラヴィス様は状況理解済みって感じかしら。
「先日のベイモント侯爵家での夜会。その場で私に声をおかけになりましたわよね。そしてロドニー様からの問いに、先程、私が言った内容の事を返答されたことをこの耳ではっきりと聞いておりますわ」
「私も覚えているが、まさか君は、私が嘘をついているとか言うつもりか?」
ロドニー様…そのように睨まれては、委縮してしまいます。折角、タウナー一家の言い分を聞いてみようかと思いましたのに。残念ですわね。でも、少し虐めてみようかしら。
「タウナー伯爵様、エドウィン様。何かおっしゃりたい事がありますか?今なら、ちゃんと聞きますわよ」
これを逃せば聞くつもりはないという意味を込めて言ったのだけど、理解してるのかしら?フランシス様はなんだか倒れそうなほどの顔色ですわね。申し訳ないけれど、皆様同罪ですから諦めてくださいませ。
「君は…シェリーだと……」
「そもそも、なぜ私がロドニー様と夜会に出ていたとお思いですか?」
「それは……君がロドニー殿と親密な関係だからとか…」
何とも言いにくそうにおっしゃるのね。自分でもそう思っていないことは見え見えです。
「私は王太子殿下の婚約者でもあるカサンドラ様の侍女をしておりますので、その関係で王太子殿下の護衛騎士であるロドニー様とは交流もございます」
「カサンドラ様の侍女ですと?」
タウナー伯爵様が私の言葉に食い付きました。釣りです。釣り。小物でしょうかね…
「ええ。エドウィン様への手紙にもそう書いてお送りしました。私の髪の色も変わりましたと書いたはずですが、お読みになっていない様ですわね。そうですわよね。かれこれ三年。全く返事がありませんし、その前の二年も数えるほどだけですから、私の事など頭の隅にもなかったのですわよね。殿下方もこのことに憤慨されまして、今回の夜会でその証拠を掴んで来いとおっしゃられ、殿下方のご命令でロドニー様にエスコートされる形で参加しておりましたの」
「殿下方が…憤慨されていると……」
「ええ。トラヴィス様が殿下に『弟が帰ってきた』と二カ月ほど前にお話になられたのでしょう?それで私に『もう会ったのか?』と聞かれましたので素直に『かれこれ三年は音信不通です』とお答えしましたの」
あら?タウナー一家の顔色が青を通り越して白くなってますわね。
まあ、自業自得ですわ。
私の顔を見て、夜会で会ったことを思い出したのか、見ていておかしいほど、エドウィンの表情がコロコロと変わる。
この調子だと、自分に言った事も思い出したのかしら。
「まぁ、エドウィン様。先日の夜会以来ですわね。その前はいつだったかしら?三年は全く連絡もありませんでしたし、戻るというお話も聞きませんでしたからあの時は驚きましたわ。恋人と参加されてましたものね」
嫌味のように言ってやったけど、不味いと思ったのね。慌てふためいている姿が、まるで陸に上がった魚のように見えますわ。
「いや…、そういう…君も……」
「私ですか?私は使える主人に出ろと言われれば参加しなければならない身ですから、あなたのような恋人とは参加しておりませんが」
この男は自分のことを棚において、何を言い出すのかと思えば、私も他の男と一緒だっただろうも言いたいのよね。それなら言わせてやろうかしら。
そして隣の部屋で呼ばれるのを待っているロドニー様を部屋に来てもらうように執事に目配せして、しばらくするとドアがノックされた。
「失礼。ベイモント侯爵家のロドニーです。今日はアシュリー嬢の証人としてこの場に参加させていただきます」
ロドニー様はいつもの騎士服を纏ったいつも見ている服。あの夜会の時の様な貴族然とした姿よりもこちらの方が何だか慣れかしらね?安心できるわ。
その姿を見ているタウナー伯爵家の皆様は、一様に驚いている様子。ああ、トラヴィス様は状況理解済みって感じかしら。
「先日のベイモント侯爵家での夜会。その場で私に声をおかけになりましたわよね。そしてロドニー様からの問いに、先程、私が言った内容の事を返答されたことをこの耳ではっきりと聞いておりますわ」
「私も覚えているが、まさか君は、私が嘘をついているとか言うつもりか?」
ロドニー様…そのように睨まれては、委縮してしまいます。折角、タウナー一家の言い分を聞いてみようかと思いましたのに。残念ですわね。でも、少し虐めてみようかしら。
「タウナー伯爵様、エドウィン様。何かおっしゃりたい事がありますか?今なら、ちゃんと聞きますわよ」
これを逃せば聞くつもりはないという意味を込めて言ったのだけど、理解してるのかしら?フランシス様はなんだか倒れそうなほどの顔色ですわね。申し訳ないけれど、皆様同罪ですから諦めてくださいませ。
「君は…シェリーだと……」
「そもそも、なぜ私がロドニー様と夜会に出ていたとお思いですか?」
「それは……君がロドニー殿と親密な関係だからとか…」
何とも言いにくそうにおっしゃるのね。自分でもそう思っていないことは見え見えです。
「私は王太子殿下の婚約者でもあるカサンドラ様の侍女をしておりますので、その関係で王太子殿下の護衛騎士であるロドニー様とは交流もございます」
「カサンドラ様の侍女ですと?」
タウナー伯爵様が私の言葉に食い付きました。釣りです。釣り。小物でしょうかね…
「ええ。エドウィン様への手紙にもそう書いてお送りしました。私の髪の色も変わりましたと書いたはずですが、お読みになっていない様ですわね。そうですわよね。かれこれ三年。全く返事がありませんし、その前の二年も数えるほどだけですから、私の事など頭の隅にもなかったのですわよね。殿下方もこのことに憤慨されまして、今回の夜会でその証拠を掴んで来いとおっしゃられ、殿下方のご命令でロドニー様にエスコートされる形で参加しておりましたの」
「殿下方が…憤慨されていると……」
「ええ。トラヴィス様が殿下に『弟が帰ってきた』と二カ月ほど前にお話になられたのでしょう?それで私に『もう会ったのか?』と聞かれましたので素直に『かれこれ三年は音信不通です』とお答えしましたの」
あら?タウナー一家の顔色が青を通り越して白くなってますわね。
まあ、自業自得ですわ。
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