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15 すべて元には戻らないのですよ
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「私からも言わせてもらうが…」
ロドニー様も言いたい事があるのかしら?お優しい方ですわね。さすがに王太子殿下が信頼されるだけありますわ。
「エドウィン殿の噂は私も耳にしていたので、王太子殿下の命を受けずとも助力を申し出るつもりでした。それがまさか夜会で婚約者ともわからずに声をかける場面に出くわすとは思いもしませんでしたが」
エドウィン様に冷たく刺さるような視線を向けるロドニー様。
容赦ありませんわね。なにやらまだ細かく言っている様ですが、そのままにしておきましょう。あの人たちに打撃を与えられるのなら、一向にかまいませんし。
「それで、エドウィン様は私との婚約を破棄されて、トレイル伯爵家のミランダ様とご婚約される…そういう事でよろしいのですか?というか、それを希望されていらっしゃるのでしょう?エドウィン様には婚約者はいないらしいですからねぇ」
嫌味のように言うと、エドウィン様はなんだか言いにくそうな顔をしながら目を伏せられたのですが、エドウィン様の代わりに伯爵様が突然、生き返ったかのように熱弁し出しましたわ。
「アシュリー嬢!それはすべて誤解です!このエドウィンのしでかしたことは償わせますので、どうか婚約は継続という事でお願いしたい!」
「父上!!なにを!」
トラヴィス様もエドウィン様も、そして言葉を発することのない他のご家族様も、驚きの表情をしております。いえ…私も驚きですわね。もちろん私の両親もロドニー様もです。
「タウナー伯爵。今更何を言っているのだ?今の今まで婚約していたことなど忘れていた分際で、よくもまあそんなことを言える」
「そうですね。王太子殿下の覚えめでたいアシュリー嬢を手放すことが惜しくなりましたか?それとも殿下方の怒りを収める為ですか?だが、それはもう遅いと思われますが」
お父様とロドニー様に図星を指摘されて、なんだか皆様、震えていらっしゃるわね。
でも同情も何もしませんわよ。
トラヴィス様も、次に出仕された時に殿下から何か言われるでしょう。私は知りませんけれど。
「伯爵。この書類にサインをしてくれるかな?」
お父さまが伯爵様の目の前のテーブルに広げたのは、私達の婚約を白紙にするための書面。
今回は家同士の契約の意味合いも強いですから、当主のお名前の必要があるのよね。だから、お父様と私の名前はもう記入済み。当り前ですわよ。
婚約の継続なんてものは頼まれても嫌ですし、さっさとサインしてほしいですわ。
破棄の方がすっきりするのだけれど、王太子殿下が後々の私の事を考えると白紙が良いのではと進言くださったのよね。ただ、私の結婚適齢期を無駄に過ごさせた慰謝料請求は認めようと言ってくださったし、本当に殿下には感謝しかないですわ。
「サインをお願いします。もし、サインをされないのであれば、こちらから正式に訴えを起こす用意がありますが、それでよろしいのですか?」
「訴え…」
「ええ。殿下方が手を貸してくださるそうで、私としましてはこの場で結論が出ることがベストなのですが」
あらあら。手が震えていますわね。仕方ありませんわ。訴えられれば自分の子供がしたことも、親として、当主としても、交わした契約を守ることも出来ない人間だと吹聴するに等しいのですからねぇ。
まあ、書きましたわね。
字が震えていますわ。
お父様が確認をしてから「確かに」と言って、「追って慰謝料について連絡をしますので、支払いは速やかにお願いします」と言ったところ、なんだかおかしな顔をしております。
そちらの有責ですが、破棄ではなく白紙にしたことに感謝していただきたいですわ。それなのにそれで終わりと思っていたのですか?
それはないですわね。
ロドニー様も言いたい事があるのかしら?お優しい方ですわね。さすがに王太子殿下が信頼されるだけありますわ。
「エドウィン殿の噂は私も耳にしていたので、王太子殿下の命を受けずとも助力を申し出るつもりでした。それがまさか夜会で婚約者ともわからずに声をかける場面に出くわすとは思いもしませんでしたが」
エドウィン様に冷たく刺さるような視線を向けるロドニー様。
容赦ありませんわね。なにやらまだ細かく言っている様ですが、そのままにしておきましょう。あの人たちに打撃を与えられるのなら、一向にかまいませんし。
「それで、エドウィン様は私との婚約を破棄されて、トレイル伯爵家のミランダ様とご婚約される…そういう事でよろしいのですか?というか、それを希望されていらっしゃるのでしょう?エドウィン様には婚約者はいないらしいですからねぇ」
嫌味のように言うと、エドウィン様はなんだか言いにくそうな顔をしながら目を伏せられたのですが、エドウィン様の代わりに伯爵様が突然、生き返ったかのように熱弁し出しましたわ。
「アシュリー嬢!それはすべて誤解です!このエドウィンのしでかしたことは償わせますので、どうか婚約は継続という事でお願いしたい!」
「父上!!なにを!」
トラヴィス様もエドウィン様も、そして言葉を発することのない他のご家族様も、驚きの表情をしております。いえ…私も驚きですわね。もちろん私の両親もロドニー様もです。
「タウナー伯爵。今更何を言っているのだ?今の今まで婚約していたことなど忘れていた分際で、よくもまあそんなことを言える」
「そうですね。王太子殿下の覚えめでたいアシュリー嬢を手放すことが惜しくなりましたか?それとも殿下方の怒りを収める為ですか?だが、それはもう遅いと思われますが」
お父様とロドニー様に図星を指摘されて、なんだか皆様、震えていらっしゃるわね。
でも同情も何もしませんわよ。
トラヴィス様も、次に出仕された時に殿下から何か言われるでしょう。私は知りませんけれど。
「伯爵。この書類にサインをしてくれるかな?」
お父さまが伯爵様の目の前のテーブルに広げたのは、私達の婚約を白紙にするための書面。
今回は家同士の契約の意味合いも強いですから、当主のお名前の必要があるのよね。だから、お父様と私の名前はもう記入済み。当り前ですわよ。
婚約の継続なんてものは頼まれても嫌ですし、さっさとサインしてほしいですわ。
破棄の方がすっきりするのだけれど、王太子殿下が後々の私の事を考えると白紙が良いのではと進言くださったのよね。ただ、私の結婚適齢期を無駄に過ごさせた慰謝料請求は認めようと言ってくださったし、本当に殿下には感謝しかないですわ。
「サインをお願いします。もし、サインをされないのであれば、こちらから正式に訴えを起こす用意がありますが、それでよろしいのですか?」
「訴え…」
「ええ。殿下方が手を貸してくださるそうで、私としましてはこの場で結論が出ることがベストなのですが」
あらあら。手が震えていますわね。仕方ありませんわ。訴えられれば自分の子供がしたことも、親として、当主としても、交わした契約を守ることも出来ない人間だと吹聴するに等しいのですからねぇ。
まあ、書きましたわね。
字が震えていますわ。
お父様が確認をしてから「確かに」と言って、「追って慰謝料について連絡をしますので、支払いは速やかにお願いします」と言ったところ、なんだかおかしな顔をしております。
そちらの有責ですが、破棄ではなく白紙にしたことに感謝していただきたいですわ。それなのにそれで終わりと思っていたのですか?
それはないですわね。
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