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領主様のご子息の婚礼が一ヶ月後に迫り、領内は慌ただしい雰囲気になっていた。
街は相変わらずお祭り騒ぎで、領主様のお屋敷はその準備に抜けていることがないように何度も確認をしたり、当日の使用人たちへの注意事項なども改めて行っているらしい。
私は頼まれた分のアニバーサリーカードの刺繍も終わり、後はマルグリットさんから次の工程の担当者へと引き継がれるようだ。聞いた話では、私の仕上がりが思ったよりも早かったため、余裕を持って仕事ができると喜んでいるらしい。そう言われると頑張った甲斐があるというものだ。
そしてこの日は久しぶりにレイモンドと遊びに出かけることにしていて、朝から可愛い息子はごきげんだった。
「ねえ、お母さん。今日はどこに行くのー?」
「今日はね、領主様が屋敷の庭園を開放してくれてるのよ。だから一度行ってみようかと思って。レオナルドも見て見たくなぁい?」
「領主様のおうちのお庭、見てみたい」
飛び上がって笑顔になるレイモンドを見ていると、この子が気に入るような何かがあればいいなと思ってしまう。
流石に遊ぶような施設はないだろうし、一廻りしたら近くで美味しいものでも食べて帰ろうかな。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
領主様のお屋敷はアンスリー地区にあり、私達の住むエデン地区からだいぶん離れているから、今回は辻馬車を利用して移動しよう。レイモンドも普段、馬車に乗ることがないから楽しみみたい。
辻馬車乗り場は本通りに出るとすぐあるから、そこで乗って、アンスリー地区のお屋敷へと向かった。そうね、時間は2時間程かかったかしら。途中で人の乗り降りで停車するし、こればっかりは仕方ないわよね。でもレイモンドは今まで来たことの無い地域の景色を楽しんでいて、嬉しそうに笑っている。
「ねえ、お母さん。あの建物、大きいね。僕、初めて見た」
「そうね。大きいね。レイモンドと住んでる場所は小さなお家ばっかりだからね」
「僕、おウチ好きだよ。友達もたくさんいるもん」
街は相変わらずお祭り騒ぎで、領主様のお屋敷はその準備に抜けていることがないように何度も確認をしたり、当日の使用人たちへの注意事項なども改めて行っているらしい。
私は頼まれた分のアニバーサリーカードの刺繍も終わり、後はマルグリットさんから次の工程の担当者へと引き継がれるようだ。聞いた話では、私の仕上がりが思ったよりも早かったため、余裕を持って仕事ができると喜んでいるらしい。そう言われると頑張った甲斐があるというものだ。
そしてこの日は久しぶりにレイモンドと遊びに出かけることにしていて、朝から可愛い息子はごきげんだった。
「ねえ、お母さん。今日はどこに行くのー?」
「今日はね、領主様が屋敷の庭園を開放してくれてるのよ。だから一度行ってみようかと思って。レオナルドも見て見たくなぁい?」
「領主様のおうちのお庭、見てみたい」
飛び上がって笑顔になるレイモンドを見ていると、この子が気に入るような何かがあればいいなと思ってしまう。
流石に遊ぶような施設はないだろうし、一廻りしたら近くで美味しいものでも食べて帰ろうかな。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
領主様のお屋敷はアンスリー地区にあり、私達の住むエデン地区からだいぶん離れているから、今回は辻馬車を利用して移動しよう。レイモンドも普段、馬車に乗ることがないから楽しみみたい。
辻馬車乗り場は本通りに出るとすぐあるから、そこで乗って、アンスリー地区のお屋敷へと向かった。そうね、時間は2時間程かかったかしら。途中で人の乗り降りで停車するし、こればっかりは仕方ないわよね。でもレイモンドは今まで来たことの無い地域の景色を楽しんでいて、嬉しそうに笑っている。
「ねえ、お母さん。あの建物、大きいね。僕、初めて見た」
「そうね。大きいね。レイモンドと住んでる場所は小さなお家ばっかりだからね」
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