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第二十三話 席取り
しおりを挟む「焼肉定食二つ!カツ丼!きつねうどんを頼んだ人!できたから取りに来て!」
「あ、はい」
もうできたのか……予想より早かったな。
というか一人一人に渡すスピードが尋常じゃなかった。
何でも作ってくれるのに、このスピードはおかしいだろ……作る人どんだけいるんだよ……
「はいおまたせ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、席をとってくれている二人のところに持って行こうか」
「おう」
ボーグンが自分が頼んだカツ丼とエザの頼んだきつねうどんを持って二人のもとへ向かう。
必然的に俺が焼肉定食二つを持っていく。
「おまたせー。持ってきたよ」
「あら、意外と早かったのですね。ありがとうボーグン」
「はいよローズ。焼肉定食だ」
「……ん……ありがとう……」
ボーグンはきつねうどんをエザに手渡し、彼女の隣に座った。
俺もローズに焼肉定食を渡し、ボーグンの向かいの席に腰掛ける。
「じゃあ、いただきます」
「「「いただきます」」」
四人そろって食べ始める。
……うん。美味い。
やっぱり焼肉定食はこうじゃないとな。
……そういえば、昨日のハンバーグもそうだけど肉は何の肉使ってるんだ……?
……もし、気色悪いモンスターとかだったら……
いや、やめよう。
こんなこと考えても食欲が損なわれるだけだ。
他のことを考えるようにしよう。
「……しかし、席とっておいて正解だったな。周りを見る限り、空いてる席がほとんどない」
「そうですわね。都合よく四席空いていて助かりましたわ。席に座れたのはミツルさんのおかげですわね」
「いや、俺は何も……」
「いえいえ。ミツルさんが席をとっておいたほうがいいと言ってくれたから、今私達は席に座れているのです。ミツルさんは周りの状況がよく見えているのですね」
「たかが席とりで大袈裟だろ……」
「そんなことありませんわ。日常生活の些細なことでも、その人の能力が現れることはありますわ」
「お、おう……まぁ、ありがとう。えっと、エザ……でいいのか?」
「ええそうですわ。私はエザ・サトー。このサトー王国の第ニ王女ですわ。改めて、よろしくお願いします。ミツルさん」
「お、おう。よろしく。エザ」
この国、サトー王国っていうのか……
しかし、サトーってあれだよな……多分だけど佐藤さんだよな……
確か日本人の中で一番多い名字が佐藤さんだったはず。
つまり前の転生者の名字は佐藤さんの可能性が高いことになるな。
まぁ、俺には関係ないんだけど。
「じゃあ、僕もローズさんに自己紹介を済ませようかな。僕はボーグン・ウェヒター。よろしくね。ローズさん」
「……ローズ・ラウト……よろしく……ボーグン……」
「……よし。ごちそうさまでした」
いやー美味かった。
この美味さなら肉が何であっても受け入れられそうだ。
……流石にめっちゃ気色悪いのは無理だけど……
「え!?早っ!もう食べ終わったの!?」
「いや、これぐらいが普通だろ……そんなに量も多くなかったし……」
「……ごちそうさまでした。私も食べ終わりましたわ」
「エザも早いね……」
「まぁ、私はきつねうどんですから」
「ご、ごめんちょっと待ってて。もうちょっとかかりそう」
「私も……」
「ええ。ゆっくり食べてください」
「そうだぞ。ゆっくり食べたらいい」
「あ、ミツルさんは今のうちに地図をしっかりと見ておいてください」
「あっはい。すみません。きちんと見ておきます」
完全に忘れてた……
ありがとうエザ。
今のうちに地図に書いてあることを全部頭に入れておくとしよう。
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