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第三十二話 剣術の修行
しおりを挟む「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「おつかれミツル。ちゃんと走りきったわね。でも、もっと早く、そしてこれで疲れないようにしていきましょう」
「は、はい……」
け、結構キツイ……!っていうか前世でなにも運動してなかったのに急にしようって言うんだ……。キツくて当たり前か……。
「少し休憩してから、剣術の修行に入りましょうか。はい水」
「あ、ありがとうございます……」
寮の玄関の前にある小さい階段に座り、アテナさんから貰った水を一気に喉に流し込む。
はぁ~……。生き返る~……。
「剣術の修行は、寮の裏側でやりましょう。水を飲み終わったら、裏側に移動するわよ」
「ぷはぁ!分かりました。もう飲み終わりましたし、行きましょう」
「ええ。着いてきて」
階段から立ち上がり、アテナさんの後ろを着いていく。
それにしてもアテナさんが教えてくれる剣術はどんな感じなのだろうか。
超攻撃型とか……後はカウンター型とかか?まぁ、剣術はラノベの知識しかないから、全然詳しくないけども。
「さぁ、寮の裏側に着いたことだし、始めるわよ」
アテナさんはそう言って、二本持っている剣の内の一本を俺に渡してきた。
その剣を受け取り、構えてみる。どうやら片手剣のようだ。しかし、構えてもそんなに重くない……というか軽い。剣ってこんなに軽いものなのか?
「あの、剣が軽すぎる気がするんですが……気のせいですか?」
「気のせいじゃないわ。その剣は模造剣よ」
「あ、そうですか。そうですよね。本物の剣がこんなに軽いわけ無いですもんね」
「ええ。最初から本物の剣を使わせるわけにはいかないしね。だから、まずは模造剣で型を作って、その後に真剣で慣れていきましょう」
「はい」
やっぱり模造剣だったか。でも、俺からするとこれぐらいからがちょうどいい。
俺には戦闘に関して基礎が全くないし、技術もない。それらすべてを、一から叩き込まないといけないからな。
「じゃあ、模擬戦するわよ」
「は!?いやちょっと待ってください!アテナさん相手に勝てるわけ無いでしょ!?アテナさんがの戦い方を教われるんじゃないんですか!?」
「戦い方はその人のスキルに合った物にするべきなの。私のスキルは攻撃系だから、攻撃型の戦い方になったけど、ミツルのスキルは回復系。なら、ガンガン攻撃するより、カウンターを狙ったりしたほうがいいと思うわ」
「えっと、それは分かったんですが、なぜ模擬戦を?カウンターとかも教えてくれればそれで……」
「戦い方は経験よ。戦いの中で、自分の戦いが見えてくるはずだわ。ミツルはミツルの戦い方を、自分で見つけていけばいいのよ。取り敢えず、やってみましょう。もちろん、手加減はするから。さぁ、どこからでもかかって来なさい」
そう言って、アテナさんが模造剣を構える。
素人目でも分かる。その構えは完璧だ。スキが全く見えない。
これで、手加減してるのか?全然手加減してるようには見えないんですけど……。
まぁ、それでも戦うしかない。俺にはそれ以外の選択肢はないのだから。
「うおおおおおおおお!!」
俺はそう雄叫びを上げながら模造剣を振りかざし、アテナさんに向かって突っ込んでいった。
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