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それよりこの人のおかげでなんとか助かった!
お礼を言わなければ…


「あ、あの…」


恐る恐る声をかけてみると、僕にも鋭い目つきを向けられた
いざ、自分にその眼を向けられると怖くて仕方ない

「あ?」

「ひっ」

やっぱり怖い
こんな綺麗な顔してるのに…


「あの…ありがとうございます…」

「は?何が?」

「えっと…何がって…」


本当にわからないといった態度を向けてくるから、僕も戸惑ってしまう
もしかして、助けたとかじゃなくて単なる偶然??

だとしたら僕は中々恥ずかしいやつだ
いきなりありがとうございますなんて、通りすがりの舎弟みたいになってしまった

「さっきこいつ、林に絡まれたんだよ
その時、うるさいからって律が起きて林が帰ったって感じ」

固まってしまっている僕の代わりかどうかわからないけど、周りにいた人達が僕の代わりに説明してくれる


「あ、そういうこと?」

「そうです
なので、ありがとうございました…
助かりました…」

「ふうん」


白金さんは頬杖をつくと、じっと僕の顔を見てくる

名前がわからないから勝手に白金さんなんて呼ばせてもらおう


次の講義の時間も近づいていたため、早く移動したいところだけど、これは移動していいのかわからない

偶然ではあるけど助けてもらった人だし、このまま去るのも考えてしまうところ

それに、白金さんは僕の目線を捉えたまま全く逸らそうとしない



「ねえ、ちょっとこっち来てよ」
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