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しおりを挟む蒴が作ったカルボナーラと付け合わせとして出されたサラダにコンソメスープが並べられ、自分のリクエスト通りの夕飯に自然と笑みが浮かぶ。
蒴はワインの注がれたグラスを片手に持ち、テーブルに肩肘をつきながら菫が料理を頬張る姿を眺めた。
「蒴ちゃんって本当に料理上手だよね!
料理が不味かったことなんてないもん!いつも美味しいご飯だもんね」
「レシピみながら作れば誰だって美味しく出来ると思うけど?」
「私はレシピみても上手く作れないもん」
自分は蒴や周りの人のようにできがいいわけではない、そのことに拗ねて頬を膨らませると、蒴は片手に持っていたワイングラスをテーブルに置いて、菫に向かって手を伸ばし親指の先で唇の端を撫でて唇にも触れる。
ここは少女漫画の中なのではないかと疑ってしまいそうなほど、甘ったるい行動に驚いて身体を固まらせると朔が口元に笑みを浮かべる。
「菫は何歳になっても口にソースつけてるの?」
「え?ついてた?」
「うん」
親指についたソースを口に含む。指先を舐める姿が妙に艶かしく胸の鼓動が早まった。その色気にフォークを持った状態のまま目を奪われてしまう。
「どうしたの?菫」
「な、なんでもない!」
朔から視線を外し、自分の食べているパスタへと視線を落とす。
さっき唇に触れた指が蒴の口に…ってことは
それを考えただけで頭が沸騰しそうだった。必死に気を逸らした。
蒴は夕飯を食べ終わった後は食後の休憩をすぐすることはなく、キッチンに食べ終わった食器を持って行ってすぐに皿洗いを始める。
シンクに食器が残っている状態が気になって落ち着かないためすぐに皿を洗うのだが、その行動が蒴の性格の几帳面さを表している。
その性格をわかっている菫は食後で満腹になった体を強引に椅子から立たせて、シンクへと向かうと蒴は座っててと言う。
「私が蒴ちゃんと共同作業したいだけだからいいの」
「大丈夫だって
それにこの前、皿洗いして怪我したのは誰かな?」
蒴が菫の人差し指を手のひらに乗せてそっと親指で撫でる。
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