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しおりを挟む先週の金曜日、自分から積極的に洗い物をやると言って始めたのはいいが、シンクの中に入っていた包丁に気づかず指を浅く切ってしまい、それに気づいた蒴は大袈裟に反応して、救急外来にまで連れて行こうとした。
菫は傷は浅いから大丈夫という説得をなんとか聞き入れて、絆創膏1枚で済むような傷だったのにしばらく菫の指には包帯がぐるぐる巻きにされていた。
そんなようなことがあり、蒴はできるだけ危険から遠ざける為、皿洗いをさせないことにしたようだ。
「だってそれじゃあ…私のできることは?」
俯けていた顔から目線だけあげて問いかけると、蒴は唇を内側に巻き込んで、んーと言いながら考えこむ。
「じゃあ、俺が洗った食器拭いてもらっていい?」
「わかりました!」
蒴から頼まれた仕事を喜んで受け入れる。
皿洗いが終わり、テレビの前のソファに並んで座り菫がレンタルしてきた海外の恋愛ロマンス映画を見る。
家で2人で映画を見ることは多いが、いつも菫の好みのものばかりを見ているため恋愛映画ばかりにジャンル偏る。
蒴もそれに意見することなく、菫の選んだ映画を一緒に見るのだが大体10分ほどで飽きてしまう。
今日は映画が始まって5分ほどで隣からはあくびをする声が聞こえてきた。最短記録かもしれない。
「蒴ちゃん、眠い?」
「大丈夫、見てるよ」
右隣に座る菫の頭を適当にポンポンと撫でて、ソファに投げ出していたスマートフォンを手に取りそれを片手でいじる。
蒴の肩に頭を預けて両腕で蒴の片腕を抱く。本当は足も朔の太もものところに乗せて全身拘束したいところだが流石にそれは負担が大きいと諦めた。
会話はなく、映画の音声だけが響く。
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