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1.開幕
美人さんは好きです(ライクの方)
しおりを挟む「最近はどうだ?」
「この前の休みにも行ったんですが、元気そうにしてました。退院はできそうにないけど、調子のいい時は院内を散歩したりしてるみたいで」
「そうか、なら良かった」
妹の有香は4歳年下で、学年でいえば中学1年生。俺は父方のクォーターで隔世遺伝が顕著に出てこんな金髪と紫目をしているけれど、妹は母方に似ていることもあってか、黒髪黒目の和風美人だ。世界一の美人だと思っている。
俺が変態ホイホイだから、妹だって病院から出たら変態ホイホイになる可能性があるので、退院する時には元気になっていてほしい。
ドナーが見つからなければ、確実に大人にはなれない。そんな運命は絶対に認められないので、いざとなれば梓種先輩に頼み込んで俺の心臓を使ってもらおうと考えている。
それを話したら、「馬鹿言ってんじゃねぇ」と一蹴されてしまったけれど。でも、どんなに馬鹿だと言われようと、俺はきっと妹が死んでしまったら生きていけない。
どんなに襲われようと、攫われかけようと、妹が笑ってくれれば辛いことも全部吹っ飛んでいった。普通なら病んでしまいたいくらい過酷な少年時代を過ごしていたと思うけれど、俺があっけらかんと笑っていられるのは妹がいたからだ。
もう、あんな悲しみには耐えられないだろうから。
「岬……?」
思わず考えに耽っていたら、右頬に温もり。ハッとして視線を上げれば、梓種先輩が隣にいて、心配そうな顔をして俺を見ていた。
「泣いてんのかと思った」
ふ、と笑い、先輩の指が目元を撫でる。その優しい動きに、へにゃりと眉が下がる。
「可愛い」
「へ?」
「あんま、さ。そういう顔、すんな」
そういう顔って? と思わず首を傾げる。
「そういうのもなぁ……自覚あるくせに無自覚ってお前、タチ悪い」
「あー、この顔のせいっすか」
「そうだけど、そういうこっちゃねぇんだよなぁ」
どうやら俺の顔面は、黒髪黒目でもある程度効いてしまうらしい。
「でも、梓種先輩自分の顔見慣れてるっしょ? 先輩の顔のが美人だと思いますけどね」
「何? お前、俺の顔好き?」
ふわりと微笑まれる。なんかキラキラしたエフェクトが舞ってる気がする。なんだこれ、顔面凶器じゃねぇか。
「ですね、美人さんだと思います」
「へえ? じゃあ、好みなんだ?」
言いながら、また頰を緩く撫でられる。……あれ? なんか雰囲気妖しい? 先輩からエロオーラが溢れ出ている気がする……。これは、R指定。
「へ? あ、いや……好みかは別として、一般論ですよ、一般論」
「一般論でも、お前は美人だって思うんだろ? カッコ良くはねぇわけ?」
「かっ、こいい、顔とも言いますね」
頰を撫でる指が、するりと下がって首筋を伝う。擽るような手付きが、落ち着かない。
なになになに!?
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